「これはとても自分にはできない」――阿部寛が断ろうとした台詞
「これはとても自分にはできない」
台本を読んで、阿部寛はそう思った。
大学時代、『メンズノンノ』の初代表紙モデル。23歳で俳優デビュー。
来るのは爽やかな青年役。やがて仕事は減り、CMも激減した。
週刊誌の「あの人は今⁉」の取材対象にまでなった。
「役者以外の仕事はしたくないと思ったんです」
ある日、演出家つかこうへいに、次の舞台のオーディションを「受けろ」と言われた。
役はゲイの部長刑事。台本には「きゃー、やめて」。
「この台詞は断ろう。明日こそ、つか先生に言おう」
「ずっと、その繰り返しでした」
本番は派手なメイクとドレスで、その台詞を絶叫した。
「大ウケして、嘘だろうって思いました」
ある週刊誌に、こう書かれた。
「この舞台に出ている阿部寛を評価しないわけにはいかない」
「それまで一度も褒められたことがなかったですから」
「あの一行が、僕の人生を変えてくれたんです」
29歳だった。7年後、『TRICK』が大ヒット。
2013年、『テルマエ・ロマエ』で日本アカデミー賞 最優秀主演男優賞。
(出典:Yahoo!ニュース 特集 2018年8月 阿部寛インタビュー/日経xwoman 2021年7月)
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映像:舞台『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン』(つかこうへいアーカイブ)・CM・映画の予告編・イベント映像を解説のために使用しています。
♪ BGM:「lost」しゃろう(OpenTracks)
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