🔴『べらぼう』横浜流星の蔦重に初回から痺れた! 現代人にも響く田沼意次の問いかけ🔴

『べらぼう』横浜流星の蔦重に初回から痺れた! 現代人にも響く田沼意次の問いかけ

 ときは江戸中期。武士が腰に刀を携えて町を闊歩していたとはいえ、すでに武力よりも資本が世の中を動かす時代になっていたという意味では、人々が暮らす感覚は現代ともそう遠くはないように感じた。

 どうしたら生活はより良くなるのか。人びとが抱える苦悩はいつの時代も変わらないのかもしれない。しかし、そこからどう動くかどうかが、時を経ても語り継がれる存在になるかどうかの分かれ目。

 蔦重は、時の老中・田沼意次(渡辺謙)まで直接訴えに行くのだ。一市民が、時の権力者にまでダイレクトに意見をするなんて、今の世の中でも多くの人が尻込みしそうなシチュエーション。ましてや、身分制度が厳しい江戸の時代に、これだけの勇気と度胸を持って行動することができる重三郎に初回から痺れた。

 蔦重が暮らすのは、幕府公認の遊郭・吉原。しかし、日本を代表する遊郭であるはずの吉原は深刻な問題を抱えていた。世の中には気軽に利用できる非公認の風俗街がはびこり、高価でしきたりの多い吉原への敷居は高くなるばかり。その困窮っぷりは、どんなに厳しい生活であっても白いごはんは食べられると売られてきた女郎たちが食事にもありつけないほどだ。

 思い詰めた女郎の中には、放火をする者まで出てくる。これは、1772年に起きた明和の大火で吉原が「仮宅」と呼ばれる臨時営業を行なった際、独自のルールや料金が下げられたことにより客が押し寄せたため。火をつければ、またあのように客足が戻って来るのではと考えてのことだった。

 食べるものさえ困っていなければ命を落とすことのない病で、女郎たちは次々と死んでいく。そのなかには、蔦重をかわいがってくれた朝顔(愛希れいか)もいた。幼い頃に捨て子となった蔦重にとって、唯一愛情を賭けてくれた恩人のような存在だ。

 体を張って稼ぐ女郎たちによって支えられている吉原。にも関わらず、女郎屋の主人たちは「次々に死んで入れ替わってくれたほうが客も喜ぶ」なんて人でなしな発言を繰りだし、女郎たちはぞんざいな扱いを受けるばかり。

 このままでは女郎も減り、客足は更に遠のき、吉原は廃れる一方だ。そんな事態を変えるべく蔦重は、女郎屋の主人たちに掛け合い、さらに奉行所に向かい岡場所の取締りを行うようにと訴え、どうにか女郎たちの暮らしが改善されるようにと駆け回るのだ。

 一体、この初回だけで蔦重はどれだけ殴られたのだろう。しかし、人はどれだけ強い拳よりも、たった一言で脳天を揺さぶられる瞬間がある。蔦重にとっては、意次の「では、人を呼ぶ工夫が足りぬのではないか? お前は何かしているのか? 客を呼ぶ工夫を」という言葉だった。その言葉を投げかけられた蔦重の、いや横浜流星のカッと見開いた瞳に、観ているこちらまでカッとまぶたが持ち上がるのを感じた。

 上が変わらないから。誰も動いてくれないから。そう思っているうちは、きっと何も変わらないのだろう。まずは自分が変わらなければ、世の中だって変わらない。自分ができることで、今より少しでもいい明日を呼び寄せる。それが、今の時代に蔦屋重三郎が大河ドラマで描かれる理由のようにも思えた。

「お言葉、目が覚めるような思いがいたしやした! まこと、ありがた山の寒がらすにございます」

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 立ち去る意次の背中にむかって、感謝を述べた蔦重。その叫びが意次の耳に届いているのかどうかわからない。しかし、この2人の縁はここでは終わるまい。次に蔦重が意次と対面するときには、どのような状況になっているのか今から楽しみだ。

 蔦重は、ここから吉原に人を呼び寄せる工夫をしていく。まず、目をつけたのが「吉原細見」と呼ばれる案内書。そして、今や世界中に知られる浮世絵をプロデュースし、喜多川歌麿や葛飾北斎ら有名絵師たちの才能を見出すという。

 さらに、黄表紙の普及にも一役買う。黄表紙とは、絵をメインにして余白に文章を綴ったという絵物語……そう現代でいうマンガのようなメディアだ。どうしたら人が集まり、熱中するのか。その仕掛けを創り出すことは、どこか停滞感漂う令和の世の中にも必要とされていることでもあるといえる。

 自分には今、何ができるのか。蔦重だって、もともとは何も持たない男だった。親はいない。金もない。目に見えて特別な力があったわけでもない。それでも自分が望む世界に少しでも近づけようと工夫を続けていったのだから。私たち1人ひとりにも、きっと明日を変える何かができるはず。

「お前は何かしているのか?」

 蔦重を突き動かしたこの意次の声は、時代を超えて今を生きる私たちにも問いかけているように思う。仕事始めのタイミングに、この言葉のパンチはとても重い。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』写真提供=NHK 横浜流星が主演する2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう』がついに始まった。最大9連休と言われた2025年のお正月休み。その最終日となる1月5日に放送された第1回「ありがた山の寒がらす」は、多くの人が仕事始めとなる前夜に、思わず「よしっ!」と気合が入るような回だった。横浜扮する蔦屋重三郎(蔦重)が、後の「江戸のメディア王」と呼ばれるようになる「目覚め」のときが描かれたのだ。

【写真】美しき花魁・花の井を演じる小芝風花

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佐藤結衣

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