【実話の物語】「誕生日を祝うのはマザコンだ」70歳の誕生日をドタキャンした息子の冷酷な一言。だから私は息子の為に遺すはずだった貯金2000万円を全て自分の為に使うと決めた【60代以上の方へ】

お母さん、まさか自分の財産を全部使い 切るつもりなんですか?冷たいと問いかけ 見にくくそしてよく深い言葉が心の奥底 から湧き上がってきた。そんな言葉が口に されることがどれほど驚くべきことか。 そしてそれが自分の母親に向けられたもの だということがさらに驚くべきことだった 。皆さん、そして皆さん、私たちの チャンネルに再びお戻りいただき ありがとうございます。今日は私たちが1 つの物語に耳を傾けて参りましょう。荒川 千子72歳。1人暮らしの未亡人である 彼女の人生は3年前の秋の日に大きく 変わってしまった。それまでの43年間に 渡る結婚生活は静かながらも深い愛情に 満ちた日々だった。夫の晴れ人は科目な 性格の男性だったが、千声の愛情は海の ように深く毎朝のコーヒーを入れること から始まって彼女の好きな和菓子を買って 帰る小さな気遣いを欠かさない人だった。 あの日のことを千お子は今でも鮮明に覚え ている。秋の穏やかな午後のことだった。 病院の窓から差し込む優しいが真っ白な 病室の壁を温かく照らしていた。晴れ人の 顔は痩せて方がこけていたが、千を 見つめる瞳には変わらぬ優しさが宿ってい た。最後の言葉は千こありがとうだった。 その瞬間千この世界は音もなく崩れ落ちた 。43年という長い歳月を共に歩んできた 人生の判の突然の旅立ちは彼女にとって 受け入れることのできない現実だった。 葬儀が終わってから家は恐ろしいほどの 静寂に包まれるようになった。それまで 晴れ人の存在で満たされていた空間が一瞬 にして巨大な空洞のように感じられた。 千おは自分の孤独感を日々痛いほど 感じ取っていた。洗濯物を干している最中 に太手を止めて振り返るとハルトがよく 座っていた今のソファーに誰もいないこと に改めて気づく。夕食の支度をしている時 についの茶碗を用意してしまい、1つ余っ た茶碗を見て現実に引き戻される。晴れ人 がよく使っていた湯みが食器棚の元の場所 にそのまま置かれているのを見つけた時、 千お子は小さくつぶいた。もうここに置い ておく意味もないのに。しかし誰も答えて くれない。かつて夫婦の間で買わされてい た何げ内会は今日は温かいですね。そう ですね。桜ももうすぐ先そうですといった 日常の温かいやり取りに変わって重い沈黙 だけが家を支配していた。物質的な面では 千この生活に深刻な不足はなかった。 アレ人の遺族年金と2人でコツコツと蓄え てきた小さな貯金があれば、1人で つましく生活していくことは十分に可能 だった。最大の問題は心に開いた巨大な 空洞だった。朝起きておはようという相手 がいない。今夜の夕食は美いしくできまし たねという何気ない感想は勝ち合う人がい ない。テレビを見ていて面白い場面があっ ても、あら、これは面白いわねと言って 振り返る先に微笑み返してくれる人がい ない。日常の何気ない会は生活の小さな 喜びや発見を共有するやり取りが完全に 千この生活から消え去ってしまったのだ。 時々千おは晴れ人との思い出の中に 逃げ込むことがあった。新婚の頃、ハルト が不用ながらも彼女のために作ってくれた 朝食のこと。子育てで疲れ果ていた時期に 黙って方を揉んでくれたこと。年を重ねて からも2人で近所を散歩しながらもない話 をした夕暮れ児のこと。そうした記憶は 温かく同時に現在の孤独感を一層深くさせ た。悲しみに沈みながらも千子は自分に 強く聞かせていた。 こんな風にずっと泣いてばかりいたら きっとあの人も天国で心配するでしょう。 私がしっかりしなければ彼女は1人でも 前向きで積極的な人生を送ろうと心に決め ていた。しかし実際にはその決意を実行に 移すことは容易ではなかった。外出する 機会も少なくなり、人と話をすることも 滅多になくなった。近所の人たちとの挨拶 も依前のような自然な笑顔ではなく 作り笑いのようなものになってしまった。 千にはカイトという1人息子がいた。 カイトは38歳で皆という女性と結婚して おり、2人は都市部のマンションに住んで いた。カイトは大手勝者で働いており、 出張も多くいつも忙しそうにしていた。今 は地方銀行で働いており、きちんとした 女性だという印象を地は持っていた。父親 の葬儀の際にはカトは実によく動いてくれ た。手続きから文客への対応まで全てを 率戦していってくれた。千お子は息子の 頼もしさに感謝し、同時にハルトが息子を しっかりとした男性に育ててくれたのだと 感じていた。葬儀が終わった後もカトは何 度か実家を訪れ、お母さん何か困ったこと があったらすぐに連絡してくださいね。 1人で抱え込まないでくださいと優しく 言ってくれた。しかし時間が経つにつれて カイトからの連絡は徐々に少なくなって いった。最初は週に1度だった電話が2 週間に1度になり、1ヶ月に1度になり、 そしてついには数ヶ月に1度という頻度に なってしまった。長い間落がなかった後、 ある日の夕方、カイトから久しぶりに電話 がかかってきた。お母さん、最近どうです か?元気にしていらっしゃいますか?千お は思わず涙が出走になるほど感動した。 息子の声を聞くだけで心が温かくなるのを 感じた。ありがとう、カイト。お母さんは 元気を。あなたこそお仕事をお疲れ様です 。そう答えながら千お子はもっと色々な話 をしたいと思った。しかしすぐに電話の 向こうから嫁のリナの声が聞こえてきた。 もう電話を切ってよ。料理が覚めちゃう じゃない。早くしてその声は明らかに 苛立ちを含んでおりたった一言だったが 千お子の心を一瞬で冷たくするには十分 だった。カトは慌てたようにあ、お母さん ちょっと給容ができたのでまた今度 ゆっくりお話ししましょうと言って早々に 電話を切ってしまった。千お子はカイトの 変化を思い返していた。結婚前のカイトは 本当に高校息子だった。大学を卒業して 就職してからも好きに2回は必ず実家を 訪れ塩こと晴れ人に近況を報告してくれた 。お父さん、お母さんいつも本当に ありがとうございます。何か困ったことが あったら遠慮しないですぐに連絡して くださいねという言葉を心から言ってくれ ているのが伝わってきた。しかしリナと 結婚してから母子の距離は日に日に大きく なっていった。最初はリナへの気遣いも あるだろうと千こは理解しようとした。 新婚生活は大切にすべきだし、嫁にとって シュートとの関係は微妙なものだという ことも分かっていた。しかし時間が経って も状況は改善されるどころか悪化していく ばかりだった。ある日の昼下がり、千お子 は思い切ってカ藤に電話をかけてみた。 最近体調を崩しがちで少し心配になった からだった。カトは電話に出たが、声は 非常によそよそしく、まるで知らない人と 話しているかのようだった。お母さん、 すみません。今ちょっと忙しいので後で僕 の方から電話しますね。背後でリナの 不満げな声がかかに聞こえた。しにはリナ が何を言っているのか正確には聞き取れ なかったが、明らかに自分のことで文句を 言っているのだろうという予感があった。 冷たく寂しい気持ちが心を占めた。そして 当然のことながらカイトが約束した後で 電話するという言葉は守られることなく、 その日もその後の数日間も電話がかかって くることはなかった。し子はリナに対して 特別な悪感情を抱いているわけではなかっ た。嫁の立場も理解しようと務めていた。 シュートとの関係は確かに難しいものだし 、新しい家庭を気づく上で夫が実家に ばかり気をやっていては皆も不安になる だろう。しかしそれでも嫁の一元一が意図 的に自分を息子から遠ざけようとしている ように感じられてならなかった。電話の時 の冷たい公が実家の話をする時のリナの 表情以前1度だけ2人が実家を訪れた時に 見た。そして何よりカト自身の態度の変化 全てが地に1つの事実を突きつけていた。 自分はもう歓迎されていないのだと。子供 たちに迷惑をかけたくない一心で千お子は 自分から連絡を控えるようになった。あの 子たちは忙しいのだから私が頻繁に電話を かけて邪魔をするべきではない。きっと 2人にも2人の生活があるのだから。そう 自分に生聞かせて千お子は徐々に心を 閉ざしていった。しかし本当は息子の声が 聞きたかった。孫はまだいなかったが2人 の生活がうまくいっているのかが健康で 仕事も順調なのか。そういった当たり前の 親としての心配をは勝ち合いたかった。で もその当たり前の願いさえも今では叶わぬ ものになってしまっていた。日々の生活の 中でし子は自分の置かれた状況を痛感する ことが多くなった。近所の奥さんたちとの 立ち話でうちの息子は毎週必ず電話を くれるのよ。娘夫婦が孫を連れて遊びに来 てくれるのといった話を聞くたびに胸が 締めつけられる思いがした。自分だけが 取り残されているような世界から忘れ去ら れているような感覚に襲われることがあっ た。73歳の誕生日が近づいたある日の こと千おはカイトから思いがけない電話を 受けた。それは久しぶりの連絡だったので 千お子は心臓が早金を打つのを感じた。 お母さん、来週お母さんの誕生日ですよね 。もしよろしければお食事でもいかがです か?久しぶりにゆっくりお話ししましょう 。カイトが自分から誘ってくれたのだ。 そしてさらに嬉しいことにリナも一緒に 行くと言っていますと付け加えた。千お子 は言葉にできないほど嬉しかった。まるで 夢でも見ているような気分だった。息子が 自分の誕生日を覚えていてくれただけで なく、わざわざ食事に誘ってくれるなんて 。そしてリナも一緒に来てくれるという。 もしかしたらこれまでの冷たい態度は自分 の思い過ごしだったのかもしれない。嫁も 本当は自分のことを気遣ってくれているの かもしれない。千おの心に久しぶりに 明るい希望の光が差し込んだ。その日から 誕生日当日までしお子は子供のように そわそわしていた。クローゼットの前に 立って何を切ればいいのか何度も考えた。 あまり派手すぎても嫁に良い印象を与え ないだろうしかと言って地味すぎても息子 に吹け込んだと思われるかもしれない。 何年ぶりかでショッピングセンターに 出かけ上品だが少し華やかさもアルコ色の ブラウスを購入した。店員さんにお似合い ですね。きっと特別な日なのでしょうと 言われて千お子は顔あめながら息子夫婦と 食事をするんですと答えた。誕生日の当日 しこは朝早くから準備を始めた。普段は ほとんど化粧をしないのだが、この日は鏡 に向かって丁寧にお化粧をした。薄く口紅 を引き、少しだけチークを入れた。新しく 買ったブラウスに袖を通した時、久しぶり に女性としての自分を感じることができた 。約束の時間は午後6時。場所は駅前の レストランだった。千おは約束の時間より 30分も早く駅に到着した。自分が早く 着きすぎたとは勝っていても興奮と期待を 抑えることができなかった。駅の 待ち合わせ場所で息子夫婦の姿を探して キョロキョロと辺りを見回していた。6時 になった。しかしと森も姿を表さなかった 。千こは時計を何度も確認した。もしかし て自分が時間を間違えたのだろうか?それ とも場所を間違えたのだろうか?不安が胸 の奥でじわじわと広がり始めた。6時15 分。まだ誰も来ない。千お子は携帯電話を 取り出してカイトからの連絡がないか確認 した。着信もメッセージもなかった。 きっと電車が遅れているのだろう。平日の 夕方だから電車も混雑している日がいない 。千おはそう自分に言い聞かせた。6時 30分千お子の不安は確信に変わり始めて いた。何かあったのだろうか。事故でも あったのだろうか。それとも本当に自分が 場所を間違えたのだろうか。千こは駅の 案内版を見上げて約束した場所を再確認し た。間違いない。ここで会っている。その 時千おの携帯電話が小さく震えた。 メッセージが届いたのだ。カイトからだっ た。千お子は急いで画面を開いた。 お母さんすみません。リナが大事な用事が あることを忘れていたと言っています。 今日は行けなくなりました。また後で連絡 します。メッセージを読み終えると千こは 呆然とその場に立ち尽くした。周りを 生きう人々の声や足音がまるで遠い世界の 出来事のように聞こえた。リナに本当に 急用があったのかもしれない。そう自分を 慰めようとした。でもなぜもう少し早く 知らせてくれなかったのだろう。1時間も 前に連絡してくれればこんな風に1人で レストランの前に立ち尽くすこともなかっ たのに。そしてまた後で連絡しますという 言葉はこれまで何度も聞いてきた空気な 約束だった。一度として実現されたことの ない形だけの言葉だった。千おは駅前の ベンチに座り込んだ。新しく勝った ブラウスが急に重く感じられた。頑張って おしゃれをした自分が急に国系に思えてき た。73歳の誕生日に息子夫婦を待ち ながら1人でベンチに座っている自分の姿 を想像すると涙が込み上げてきた。血を 壊す素敵な西洋料理店を予約していた。 インターネットで調べて評判の良いお店を 選んだのだ。1人で行こうかとも思った。 せっかく予約したのだし、誕生日なのだ から美味しいものを食べてもいいじゃない か。でも結局その足を向けることはでき なかった。1人で誕生日のディナーを 食べる自分の姿を想像するとあまりにも 惨じめで耐えることができなかった。帰り の電車の中で千こは黙って窓の外を見つめ ていた。仮想に映る自分の顔は朝の希望に 満ちた表情とは全く違っていた。疲れきっ て年置いて見えた。新しく買ったブラウス の袖を無意識に撫でながら電車の単調な音 に合わせるように小さく呟いた。こんな ことになると分かっていたら期待なんてし なかったのに。でもバカな私はまた期待し てしまった。家に帰ると千お子は1人で キッチンのテーブルに座った。午前中に 買った小さなケーキがそこにあった。 ハッピー HDYと書かれたクリーム色のケーキは 1人で食べるにはあまりにも華やかすぎた 。テーブルの上には息子夫婦のために用意 していた3つのコーヒーカップが並んでい た。そのうちの2つは結局使われることが なかった。塩子は1つのカップに1人分の コーヒーを注いだ。その夜もメッセージも 誕生日を祝う連絡は1つも来なかった。 ケーキにロソを立てて1人で火をつけた。 73本のロソの炎が静かなキッチンを 温かく照らした。千おは目を閉じて何を 願えばいいのか分からないままロソを 吹き消した。その瞬間、これまで以上に 強く感じた。自分の存在が誕生日という 人生で最も特別であるべき日でさえ、2の 次、3の次に置かれているのだということ を。この痛みと失望はこれまでのどの時 よりも重く心を鋭い刃物で何度も 切りつけるような痛みだった。それは地に 息子の心における自分の立場について残酷 で動かしがい真実を認識させた。自分は もう息子にとって大切な存在ではないのだ と。母親としての自分の価値はもうとっく に失われてしまったのだと。誕生日から1 週間が過ぎたある夕方のことだった。 千お子がいつものように1人で夕食の支度 をしていると久しぶりに電話がなった。 画面に表示された名前を見て千お子の心臓 は早金を打った。カイトからだった。 お母さん先日は本当にすみませんでした。 急に連絡してしまって申し訳ありません でした。カイトの声は明らかに申し訳なさ そうだった。しかし千おにはその謝罪が心 からのものではなく義務的なもののように 聞こえた。しは務めて冷静な声で答えた。 お疲れ様、カイト。リナさんの給養は 片付いたの?ええ、ま、はい。でも お母さん実は今後のことでお話があるん です。カイトの声が急にためらいがちに なった。千お子は胸に嫌な予感を感じ ながら黙って息子の言葉を待った。 お母さん、これからはそういった食事会の ようなことは難しくなると思います。カト は言葉を選びながら話し始めた。リナが僕 がお母さんのことを気にかけすぎていると 言うんです。成人した男性で母親の誕生日 を祝ったりする人なんていないって。 さらに僕のような人はマザー コンプレックスと呼ばれるんだそうです。 しお子は電話を握る手が震えるのを感じた 。しかしカトの話はまだ続いた。僕も最初 はそんなことないと思ったんですが、皆に 言われて考えてみると確かに職場の同僚 たちはもうそういうことはあまりしてい ないみたいで、家庭内で喧嘩をするのも嫌 ですし、夫婦関係を良好に保つことが最 優先だと思うんです。だからすみませんが 、今後はこういった機会を設けるのは 難しいと思います。千お子は飽きを握った まましばらく何も言えなかった。息子の 言葉の1つ1つが鋭いナイフのように心を 切り裂いていた。妻の吸のために息子が 母親への思いやりをこれほど簡単に捨てる ことができるなんて。お母さん、聞こえて いますか?カイトの声が遠くから聞こえて きた。 聞こえているわ。千おは勤めて平成を保っ た声で答えた。よくわかりました。でも 今回のことは本当に申し訳なかったので 何かプレゼントでも送らせてもらい ましょうか。お母さんの好きな和菓子でも カトは自分の罪悪感を柔らげるために機械 的にそう提案した。千おは深いため息を ついてから答えた。いりません。気にし ないでちょうだい。それよりあなたたちが 幸せならそれでいいの。電話を切った後、 千お子は長い間ソファーに座ったまま動か なかった。窓の外では夕暮れが深まり、 街灯がポツポツと灯り始めていた。母親と しての存在が自分の息子にとってこんなに も軽いものなのだろうか。この疑問が彼女 の心の奥深くまで食い込んで離れなかった 。その夜子は寝つけずにこれまでの人生を 振り返っていた。カイトが小さかった頃の ことを思い出した。熱を出した時に一晩 重病したこと。学校の行事には必ず参加し たこと。進学や就職の時には影ながら支え たこと。そして何よりカイトが立派な大人 になることを願って自分の時間も欲しい ものも我慢して全てを息子のために捧げて きたこと。でも結婚した息子にとって母親 はもう必要のない存在になってしまったの だろうか。嫁に嫌われれば簡単に切り捨て られる程度の関係だったのだろうか。 千お子は枕に顔を埋めて声を殺して泣いた 。40年近く育ててきた息子にこんな風に 突き離されるなんて。翌朝千お子は携帯 電話を手に取り、LINEのアプリを開い た。家族のグループチャットを見つけて 通知設定を全てオフにした。それは小さな 行動だったが、千お子にとっては大きな 意味があった。もう息子からの連絡を期待 することをやめよう。そう心に決めた瞬間 だった。それから数日間、千お子は自分の 人生について深く考えた。これまでずっと 家族を最優先にして生きてきた。夫の 晴れ人のために尽くし、カイトを苦労して 育て上げ、息子の嫁との適切な距離を 保とうと努力してきた。良い妻として、 良い母として、そして良いシトとして 生きようと頑張ってきた。しかし、今その 全ての努力が無意味だったことを 思い知らされた。千お子は今のタンスの奥 に閉まってあった貯金通帳を取り出した。 それは夫との共同貯金ではなく、ちこが 長年にわって少しずつ貯めてきた自分名義 の口座だった。残高は2000万円を少し 超えていた。この金額は千が若い頃から パートで働いたお金や家計の中から少し ずつ節約して貯めたものだった。当初の 計画では自分が亡くなった後にカトに残す つもりだった。息子の将来のためもしかし たらいつか生まれるかもしれない孫のため にとっておこうと思っていたのだ。千おは 通帳の数字をじっと見つめていた。私に とってこれはただのお金ではない。1円、 1円が私の人生の時間と努力の決晶なの。 でももしカトが私との関係を断ち切りたい と思っているのなら私はこのお金を使って 全てに収支を打とう。その日から千おは何 にこのお金を使うべきかを真剣に考え始め た。カイトにはもう残さない。自分のため に使う。でも73歳の今何をしたいの だろう?何年もいや何十年も自分の欲しい ものやりたいことを後回しにしてきた千子 にはすぐには答えが見つからなかった。数 週間が過ぎたある日子はたまたまテレビで 旅行番組を見ていた。北欧の美しい風景が 映し出され、最後にオーロラの映像が流れ た。緑と紫と青の光の帯がまるで生きて いるかのように夜空で踊っている。その 美しさに千お子は息を飲んだ。若い頃には オーロラを見てみたいという夢があった。 雑誌で見た写真やテレビで見た映像に心を 奪われ、いつか実際に自分の目で見てみ たいと思っていた。でも結婚してからは 家族のことで忙しくそんな贅沢な夢は心の 奥にしまい込んでいた。カイトが小さい頃 は家族旅行と言っても近場の温泉地くらい で海外旅行なんて考えたこともなかった。 夫の晴れ人も堅実な人だったので高額な 旅行には興味を示さなかった。でも今なら 今なら誰に遠慮することもない。誰かの 許可を得る必要もない。千おは立ち上がっ て書にあったパソコンを開いた。 インターネットでオーロラツアーについて 調べ始めた。最初は値段を見て驚いた。 1人で北欧王にオーロラを見に行くツアー は安くても30万円以上した。以前の千 こんな高額な旅行など考えもしなかった だろう。でも2000万円の貯金を前に すると30万円という金額が急に小さく 感じられた。千おはいくつかの旅行会社の サイトを見比べ、レビューを読みどの ツアーが良いか検討した。そして評判の 良い旅行会社の少し高級なオーロラツアー を選んだ。1人部屋で食事も充実していて 、オーロラ干賞の機会も多いというもの だった。価格は50万円近くしたが、千お は迷わず申し込んだ。旅行会社に電話を かけた時、担当者は千この年齢を確認して 少し心配そうな声で言った。お客様、お 1人でのご参加でよろしいでしょうか? 北王は当期はかなり寒く体力的にも厳しい 部分があります。千おは既然とした声で 答えた。大丈夫です。私は元気ですから。 それにこれは私の夢なんです。どうしても 実現したいんです。旅行まで2ヶ月は 間り合った。千子はその間旅行の準備を 進めながら久しぶりに生きている実感を 味わっていた。防寒を買いに行き、 パスポートを更新し、現地で必要になり そうなものを調べて購入した。鏡を見 ながら私この年になって海外旅行 なんて笑いすることもあったが、心の奥で は期待と興奮で胸が高なっていた。出発の 日が近づくにつれ、し子は不安と期待が 入り混じった気持ちになった。73歳で 1人で海外旅行なんて無謀すぎるのでは ないか。体調を崩したらどうしよう。言葉 が通じなかったらどうしよう。そんな心配 もあったが、それでも行きたいという 気持ちの方が強かった。そしてついに出発 の日がやってきた。成田空港に向かう電車 の中で塩子は小さなスーツケースを抱え ながら胸の高なりを抑えようとしていた。 空港で登場手続きを済ませ飛行機に 乗り込んだ時千お子は人生で始めて完全に 自分だけの時間を過ごしているという実感 を得た。フィンガンドのヘル経由で ラップランド地方の小さな町に到着したの は現地時間の夕方だった。空港に迎えに来 たガイドは見て少し驚いたような表情を 見せたが、すぐに笑顔で迎えてくれた。 日本からいらしたんですね。ようこそ ラップランドへ。ホテルについて部屋に 案内されると千は窓から外を見た。雪に 覆われた白い世界が広がっていた。空気は 住み切っていて、星がとても近くられた。 子は深呼吸をして自分が本当にここに来た のだということを実感した。翌日から オーロラ干賞ツアーが始まった。昼間は 犬ぞりやスノーモービルなどの アクティビティもあったが千の目的はただ 1つオーロラを見ることだった。初日の夜 ガイドに連れられて高外の暗い場所に 向かった。熱いダウンジャケットを着込み 、手袋とケ糸の帽子で完全防尾していても 、外規の寒さは想像以上だった。マイナ 20°の世界は千にとって初めての体験 だった。今夜はオーロラの出現確率が高い です。ガイドが言った。でも自然現象なの で必ず見えるとは限りません。もし今夜 見えなくても滞在中にまた挑戦しましょう 。塩子は凍った湖の上に立ち、夜空を 見上げた。最初は普通の星空にしか見え なかった。でもしばらく待っていると空の 一角がほんのわずかに明るくなっているの に気づいた。あ、始まりました。ガイドが 興奮した声で言った。見てください。北の 空です。千おが指び刺された方向を見ると 薄緑色の光がかに見えた。最初は雲のよう にぼんやりしていたが、だんだんとその後 強くなり、形を変え始めた。そしてその 瞬間が訪れた。薄緑色の光のびが突然空 全体に広がったのだ。それは生きているか のように波打ち、踊り、形を変えた。緑 だけでなく紫や青、そして時折り薄い ピンク色も混じっていた。まるで天の神々 が夜空をキャンバスに指定を描いているか のようだった。千おは言葉を失って 立ち尽くした。こんなに美しいものが本当 に存在するなんて。写真や映像で見たもの とは比べ物にならないほど実際のオロラは 新規的で力強くそして優しかった。気が つくと涙が触れ出ていた。寒さで涙は頬で 凍りそうになったが、千は涙を脱おうとも しなかった。この瞬間、これまでの悲しみ 、苦しみ、失望、そして誰からも必要とさ れなくなったという孤独感が全てこの 美しい光に包まれて溶けていくような気が した。オーロラは1時間以上空で踊り続け た。千おはその間ほとんど動かずに見続け ていた。足の先は感覚がなくなるほど 冷たくなっていたが、心は今まで感じた ことのないほど温かかった。その夜、 ホテルの部屋に戻ってから、し子は久し ぶりに心から満足した気持ちで眠りについ た。夢の中でもあの美しい光の踊りが続い ていた。翌日もその次の日も千子は オーロラを見ることができた。毎晩違った 形った色で現れるオーロラには泣きること がなかった。そして滞在最後の夜最も 美しいオーロラが現れた。その夜の オーロラは空全体を覆うほど大きく色もに 鮮やかだった。千お子は1人で湖のほとり に立ち、その光景を目に焼きつけようとし た。この瞬間彼女は自分が誰の母でも誰の 妻でも誰の習でもないことを感じた。ただ 荒川千子という1人の人間としてこの広大 な宇宙の中に存在している。そのことが これほど美しく誇らしくそして神聖なこと だとは思わなかった。私は生きている。 そしてそれは素晴らしいことなのだ。千子 は心の中で呟いた。73年間生きてきて 初めてそう思えた気がした。日本に帰国 する飛行機の中で千は窓の外の雲を見 ながら考えていた。帰ったらどんな生活が 待っているのだろう。カイトからの連絡は 相変わらずないだろうし、1人の生活に 戻ることになる。でももうそれでいい。 いや、それがいいのだ。帰国してから千の 生活は確実に変わった。以前のような息子 への期待や失望はなくなった。代わりに 自分の人生をどう生きるかということに 意識が向くようになった。オーロラ旅行で 使った50万円を覗いてもまだ 1900万円以上の貯金が残っていた。 千おは地域のカルチャーセンターに通い 始めた。池花教室や絵画教室、そして料理 教室にも参加した。そこで出会った同年代 の女性たちと新しい友情を育むようになっ た。彼女たちとの会話は家族の愚痴や自慢 ではなく、自分たちの趣味や興味について 語り合うものだった。千お子さんっていつ も生き生きしてらっしゃいます。 ある日、池花教室の仲間の1人が言った。 何か特別な秘訣でもあるんですか?千お子 は微縁で答えた。特別なことはないんです よ。ただ最近やっと自分のために生きる ことを覚えたんです。1年が過ぎ、2年が 過ぎた。地は時々シンガポールや体など 以前なら考えもしなかった場所への旅行を 楽しむようになった。1人旅の楽しさを 知り、新しい文化や食べ物を体験すること に喜びを見つけた。カイトからは相変わら ず数ヶ月に1度形式的なメッセージが届い た。お母さん元気ですか?体調は大丈夫 ですか?といった短い内容だった。しお子 はそれらを読んでひどくマークをつけるが 返信することはなかった。息子が元気で いることが分かればそれで十分だった。 もうそれ以上を求める気持ちはなかった。 そして3年目のある日、千お子の変化した 生活について思わぬところから書いと鳥ナ の耳に情報が入ることになった。それは 千この古い友人からの何気ない話からだっ た。あら、カ藤君、お母さん最近とても 活動的で素敵を。先月もシンガポールに 行かれたんですって。その前は北王に オーロラを見に行かれたとか。羨ましいわ 。カトは電話越しにその話を聞いて驚いた 。母親がそんな高額な旅行を次々として いるなんて全く知らなかった。家に帰って リナにその話をするとリナの顔つきが一転 した。ちょっと待って。お母さんはどこ からそんなお金が出てくるの?リナの声に は明らかに不快感が含まれていた。もしか して本来ならカイトに残すべきお金を そんな無駄なことに使っているんじゃない 。でも母の自由だしカトは困惑しながら 言った。自由って何をリナは噴した。 基本的にお母さんの貯金って将来的には カトのものになるはずでしょう。それを 勝手に老費されたら私たちはどうなるの? 特に将来お母さんに介護が必要になった時 の費用だって考えなきゃいけないのにリナ の論理は明解だった。千おの貯金はいずれ カイトが相続するものだから実質的には すでにカイトの財産と考えるべきだ。それ を千よが勝手に使い切ってしまうのは許さ れないというものだった。私たちは お母さんときちんと話し合う必要があるわ 。リナは決然とした口調で言った。この ままじゃ本当に全部使いきられてしまうか もしれない。カトは複雑な気持ちだった。 確かにリナの言うことにも一ある。でも 母親の生活に口出しするのは気が引けた。 しかし、リナのを仕切られる形でカイトは 5年ぶりに母親を尋ねることを決めた。 明日の日曜日にお母さんのところに行き ましょう。リナが言った。もちろん事前に 連絡なんてしない方がいいわ。突然行った 方がお母さんの本当の生活ぶりが分かる から。カとは不安を感じながらも妻の意見 に従うことにした。5年間、1度も母親を 尋ねなかった自分に対する罪悪感もあった 。でも同時に今回の訪問の目的が母親を 気遣うことではなく、金銭的な問題である ことにどこか後ろめたさも感じていた。 しかしリナの決意は硬く、カイトにはもう 選択の余地がなかった。彼らは千この家を 訪れることを決めた。しかし、それは愛情 からではなく、明確に金銭的な同機から だった。そして千子はまだそのことを知ら ずに平穏な日々を過ごしていた。彼女の 人生で最も充実した授況。日曜日の午後2 時頃、は庭の小さな家壇で水やりをしてい た。春の容気な日差しがほぼ暖かくて らしい、チューリックの新目が顔を出して いる様子を見て心穏やかな気持ちでいた。 最近の血横はこうした小さな自然の変化に 喜びを見つけることができるようになって いた。突然 のベルが鳴った。千お子は水やりの手を 止めて不思議に思った。日曜日に訪問者が 来ることなど滅多になかった。宅配便にし ては時間が遅いし、近所の人が急養で来る ような雰囲気でもない。玄関に向かって 歩きながら血をこ歩と胸騒ぎを感じた。 なぜだかわからないが良くない予感がした 。玄関のドアを開けるとそこには5年ぶり に見る息子のカイトと嫁のり奈が立ってい た。お母さんカイトが少しぎこちなく声を かけた。突然すみません。ぶりに顔を見に 来ました。千は一瞬時が止まったような 感覚に陥った。息子の顔を見た途端、心の 奥で小さな喜びが湧き上がった。もしかし たらカイトが自分のことを思い出してくれ たのかもしれない。5年という長い時間が 経ってようやく母親の存在を思い出して くれたのかもしれない。ああ、カイトリナ さんをどうぞ上がってください。千おは 勤めて明るい声で言った。しかしその声の 奥にかかな震えがあることに彼女自身も 気づいていた。リビングに通した後、 千お子は急いでお茶の準備をした。久し ぶりの来客。それも息子夫婦の訪問にどこ か浮き足だっている自分を感じた。でも 同時になぜ事前に連絡もなく突然現れたの かという疑問も湧いていた。お茶を出し ながら千お子は2人の様子を観察していた 。カドは落ち着かない様子で皆は何かを しなさ定めするような目で家の中を見回し ていた。その視線は家具やちょうど品の 値段を測っているかのようだった。 お母さんお元気そうで何よりです。リナが 口を開いた。し、その声には以前のような 冷たさはなく、むしろ妙によよよそしい 丁寧さがあった。お1人で大変でしょう けれど、きちんと生活していらっしゃるん ですね。千お子は微縁で答えた。 ありがとう さん。おかげ様で毎日元気に過ごしてい ます。2人ともお仕事は順調ですか? しばらくの間当たり障りのない会話が続い た。カイトの仕事のこと、リナの職場の こと、季節の話題など。でも千には2人が 何か別の目的でここに来ているのが分かっ た。特にリナの態度には明らかに削意的な ものが感じられた。そしてついにその時が 来た。リナが湯みを置いて急に表情を変え た。お母さんリナの声が突然鋭くなった。 実は今日お伺いしたのはお母さんの最近の 生活について少しお聞きしたいことがあっ たからなんです。千お子は眉を潜めた。私 の生活について。ええ、皆は座り直して 千こを正面から見据えた。聞くところに よるとお母さんは最近随分と派手な生活を していらっしゃるとか海外旅行に何度も 行かれたり高級なレストランで食事をされ たり は驚いた。自分の行動がどこから漏れたの か最初は分からなかった。でもすぐに 思い当たった。近所の古い友人たちとの 会話の中で自分の旅行の話をしたことが あった。それが回り回って息子夫婦の耳に 入ったのだろう。それがどうかしましたか ?千おは冷静に答えた。私は自分のお金で 自分の好きなように生活しているだけです 。リナの顔が一瞬険しくなった。お母さん 、それは少し無責任ではありませんか? そのお金は本来ならカトに残すべきもので はないんですか?千おはリナの言葉を聞い て心臓がドキンと跳ねるのを感じた。 やはりそういうことだったのか。息子夫婦 が5年ぶりに尋ねてきたのは愛情や心配 からではなく金銭的な同機からだったのだ 。私のお金をどう使おうと私の自由です。 塩子は既然とした声で答えた。それになぜ そのお金がカイトのものだと決めつけるの ですか?リナは明らかにイライラした様子 で言い返した。お母さん現実的に考えて ください。お母さんがお亡くなりになれば その財産はカイトが相続することになるん です。つまり実質的には毛回答の財産と 言っても過言ではないでしょう。それを 勝手に使い込まれては困ります。千お子は リナの露骨な言葉に怒りよりも深い失望を 感じた。この女性は自分が生きている間 すでに自分の死護のことを計算に入れて いるのだ。そして自分をすでに死んだもの として扱っているスカイコムレすって千お の声に初めて怒りの色が混じった。私が 自分の人生で稼いだお金を自分のために 使うことが使い込みになるのですか? カイトがようやく口を開いた。お母さん、 リナの言い方はちょっと強すぎるかもしれ ませんが、でも心配なんです。もし お母さんがそんなにお金を使い続けたら 将来介護が必要になった時はどうするん ですか?僕たちにも限界があります。 しお子は息子の言葉に最後の望みも立た れる思いがした。カとも結局は妻と同じ 考えだったのだ。母親の幸せよりも将来の 相続財産を心配している。カ藤千お子は 息子を見つめていった。あなたは本当に そう思っているのですか?私がこの年に なって少しでも自分の人生を楽しもうと することがそんなに間違っているのですか ?カトは視線をそらした。そういうわけで はありませんが、でもやはり将来のことを 考えるとリナが再び口を挟んだ。お母さん 私たちは決して意地悪を言っているわけで はありません。 現実的な話をしているんです。お母さんが このままの調子でお金を使い続けたら本当 にそこをついてしまうかもしれません。 そうなったら結局はカイトに負担がかかる ことになるんです。そしてリナは決定的な 言葉を口にした。お母さん、まさか自分の 財産を全部使い切るつもりなんですか? その瞬間、千おの中で何かが完全に壊れた 。これまで息子に対して泣いていた最後の 愛情、最後の期待、最後の希望が音を立て て崩れ落ちた。千こは立ち上がった。リナ とカイトが驚いて見上げる中、千お子は今 まで聞いたことのないような冷たく強い声 で話し始めた。 よくわかりました。千おの声は震えていた が、それは怒りのためではなく、深い 悲しみのためだった。あなたたちが5年 ぶりに私を尋ねてきたのは私の安否を 気遣ってのことではなく、私のお金が心配 だったからなのですね。リナが口を開こう としたが、千おは手を上げてせた。まだ話 は終わっていません。の目はこれまで見た ことのない強い光を宿していた。リナー さん、あなたは私のお金をカ藤の財産と 言いましたね。そして私がそれを使うこと を使い込みと表現した。とても興味深い 考え方です。千こはリナを見据えて続けた 。でも大きな間違いがあります。そのお金 は私のものです。私が若い頃からパートで 働いて貯めたお金。私が家計をやりくりし て少しずつ蓄えたお金。夫と一緒に苦労し て作ったお金。それは私の人生そのものな のです。リナの顔が青ざめていった。確か に以前はカイトに残そうと思っていました 。千こは続けた。でもそれはカイトが私を 大切に思ってくれているという前提での ことでした。親を愛し尊敬してくれる息子 になら喜んで財産を譲りたいと思ってい ました。千おはカイトの方を向いた。でも カトあなたはどうでしたか?妻の吸うこと で母親との関係を簡単に切ろうとした。私 の誕生日を祝うことさえマザー コンプレックスだと言われてあっさりと 諦めた。5年間1度も私の安否を確認しに 来なかった。そんなあなたになぜ私がお金 を残さなければならないのですか?カイト は何も言えずに俯いていた。千お子は再び リナを見た。そしてリナさん、あなたは私 をまるですに死んだ人間のように扱って いる。 私がまだ生きているのに私の財産をあなた たちのものだと決めつけている。そんな人 たちに私が苦労して貯めたお金を渡すと 思いますか?リナが慌てて生返そうとした 。でもお母さん私たちは静かにしなさい。 千お子の声が部屋に響いた。あなたの見 にくい本章はもう十分見せてもらいました 。 は立ち上がって窓の方を向いた。外では春 の風が桜の花びを巻い散らせていた。私は 76歳です。子が振り返っていった。人生 の残り時間はそれほど多くありません。だ からこそ残された時間を自分のために使い たいのです。夫のために尽くした40年間 、カイトを育てるのに費やした30年間 今度は私自身のために生きる番です。 千お子は2人を見下ろして最後の言葉を 告げた。カトあなたが母親との関係を立つ ことを選んだのです。リナさんに言われた からであろうと自分の意思であろうと あなたが選択したのです。だから私からも お別れを言わせてもらいます。私のお金は 私が使います。あなたたちには1円も残し ません。リナが立ち上がって必死に 食い下がろうとした。お母さん、そんな ちょっと待ってください。私たちは出て 行ってください。しおは玄関の方を指した 。もう話すことはありません。カイトが ようやく思い口を開いた。お母さん、僕は 本当はカ藤千お子は息子を遮切った。 あなたが本当はどう思っていたかなんて猛 でもいいのです。大切なのはあなたが実際 に何をしたか、そして今日ここで何を言っ たかです。それが全てを物語っています。 千お子は玄関に向かって歩き始めた。愛と 鳥は慌てて後を追った。お母さんせめて 話し合いをカトが懇願した。千お子は玄関 のドアを開けて振り返らずに行った。 話し合うことなど何もありません。あなた たちは5年間私を1人にしておいた。今度 は私があなたたちを1人にしておく番です 。リナが最後の抵抗を試みた。お母さん、 お1人では将来が心配です。やはり家族と して千お子は初めて振り返って皆を見つめ た。その目にはもはや怒りも悲しみもなく ただ冷たい決意があった。家族千は小さく 笑った。家族というのは互いを思いやり 支え合う関係のことを言うのではない でしょうか。お金だけで繋がる関係を家族 とは呼びません。千おはドアの向こうを 指びさした。さよなら。かとが出ていった 後、ちおはドアに鍵をかけ、しばらくその 場に立ち尽くしていた。そして深く息を 吸ってゆっくりと吐いた。不思議なことに 心は軽やかだった。長い間に使えていた 思いがようやく取り除かれたような気分 だった。リビングに戻って2人が座ってい た椅子を見た。さっきまでそこに座ってい た息子夫婦の存在がもう遠い過去のことの ように感じられた。千おは使った湯みを 片付けながらこの5年間の自分の変化を 思い返していた。あの誕生日の夜、1人で ケーキのロソを吹き消した時の自分と今の 自分は全く違う人間のようだった。あの時 の千子は息子に愛されたい、必要とされ たいと願う依存的な母親だった。でも今の 千子は誰に依存することもない独立した 1人の女性だった。夕食の準備をしながら 千お子は今後の人生について考えていた。 の言う通り、このペースでお金を使い 続ければいずれはそこをつくかもしれない 。でもそれでいいのだ。自分が人生を 楽しむために使うお金なら惜しいとは思わ ない。その夜しお子は久しぶりに日記を 書いた。今日かと家に来た。5年ぶりの 再開だったが彼らの目的は私の財産だった 。最初は悲しかったが、今は生成している 。ようやく全てが明確になった。私は本当 に自由になったのだと思う。翌、塩子は 銀行に行って定期預金の一部を解約した。 そして以前から興味のあった料理学校の 集中コースに申し込んだフランス料理を 基礎から学ぶ3ヶ月間のコースだった。 この年齢からですが、大丈夫でしょうか? 千おが受付の女性に聞くと、その女性は 明るく答えた。もちろんです。学ぶのに 年齢は関係ありません。素晴らしいことだ と思います。料理学校で千おは様々な年代 の人たちと出会った。自分と同世代の人 たちの中には千こと似たような教遇の人も いた。子育てが終わってようやく自分の 時間を持てるようになった女性たち。彼女 たちとの友情は決縁関係とは違う新しい形 の絆だった。3ヶ月後コースを収容した 千子は自分でフルコースの料理を作れる ようになっていた。そしてそれを一緒に 楽しんでくれる友人たちもできていた。 千おさんの作るVースは本当に美味しい ですね。料理学校で知り合った友人の1人 が言った。レストランで食べるのと変わり ません。千おは嬉しそうに微笑えんだ。 ありがとう。作る喜びを知ったのは実は 最近なんです。これまでは義務として料理 をしていたから、その友人は理解するよう に頷いた。わかります。私も同じでした。 家族のために作る料理と自分が楽しんで 作る料理は全く違いますものね。1年が 過ぎ、2年が過ぎた の生活はより充実したものになっていった 。季節ごとに小さな旅行を楽しみ、新しい 趣味を見つけ、同世代の友人たちとの時間 を大切にしていた。カイトからの メッセージは相変わらず数ヶ月に1度届い た。お母さん、元気ですか?体調に気を つけてくださいといった短い内容。千お子 はそれらを読むが返信することはなかった 。カイトが健康でいることが分かればそれ で十分だった。ある日、千お子は自分の 写真を整理していて、オーロラ旅行の時の 写真を見つけた。凍った湖の上で熱い コートを着た自分が映っている。その顔は 今まで見たことのないほど輝いて見えた。 あの時が本当の私の人生の始まりだったの かもしれない。千お子は写真を見ながら 呟いた。3年目の春、千お子は大きな決断 をした。今住んでいる家を打ってもう少し 小さな管理の楽なマンションに引っ越す ことにしたのだ。ライトとハルトとの 思い出が詰まった家だったが、もうその 思い出に縛られて生きる必要はないと感じ ていた。家の売却手続きを進めながらし子 は不動産業者に行った。この家には長い間 住みましたが、もう私には大きすぎるん です。新しい場所で新しい生活を始めたい のです。不動産業者は関心したように答え た。素晴らしい決断だと思います。環境を 変えることで人生も変わりますからね。 新しいマンションは駅に近く周辺には カルチャーセンターや病院、ショッピング モールなどがある便利な場所だった。 何より過去の記憶に縛られない真心な空間 だった。引っ越しの日、し子は最後に空に なった家を見回した。長年寸台へとの別れ は少し寂しくもあったが、それ以上に希望 に満ちていた。新しいマンションでの生活 が始まって1ヶ月ほど経った頃、千子は 近所のカフェで同じマンションに住む女性 と知り合った。その女性田中み子は千こ より少し下だったが似たような教遇にあっ た。息子夫婦とはもう何年も陰身不通なん です。いち子が千子にそっと打ち明けた。 最初は寂しかったけれど、今は自分の時間 を楽しんでいます。千お子は深く頷いた。 私も同じです。家族というものについて 考え方が変わりました。2人は月に数回 一緒に映画を見に行ったり美術館を訪れ たりするようになった。血の繋がりはない が心の繋がりがある新しい関係だった。 春になってし子はみ子と一緒に京都への 小旅行を計画した。桜の季節の京都は2人 にとって初めての共同旅行だった。こんな 年になって新しい友達と旅行するなんて 思いませんでした。みち子が嬉しそうに 言った。千こも微縁で答えた。人生何歳に なっても新しいことが始められるんですね 。京都の古い人を訪れながら千子は人生の 移り変わりについて深く考えていた。全て のものは変化し、流れていく。執着する ことの無意味さをようやく理解できたよう な気がした。旅行から帰って千お子は自分 の貯金残高を確認した。家の売却代金も 加わって予想以上の金額になっていた。で もそれを見ても以前のような安心感は感じ なかった。お金は使うためにあるのだと今 ははっきりと理解していた。千お子は 新しい目標を立てた。来年はもう一度海外 旅行に行こう。今度はみ子と一緒に ヨーロッパの美術館巡りをしてみたい。 そんなことを考えると胸がはずんだ。ある 夕方千おはベランダで夕日を眺めていた。 オレンジ色の空がゆっくりと紫色に変わっ ていく。美しい光景だった。そしてこの 美しさを心から楽しめている自分を千こは 誇らしく思った。人生の最後の授況これ ほど充実して生きられるとは思わなかった 。息子を失った悲しみは今でもあるが、 それ以上に自分自身を見つけた喜びがあっ た。その夜子は久しぶりにカトのことを 考えた。息子は今どんな生活をしているの だろう。リナとの関係はうまくいっている のだろうか。でもそれはもう自分の知る べきことではないのだと思った。千おは窓 から見える夜景を眺めながら静かに口にし た。 私は幸せです。本当に心から幸せです。 76歳の千お子は人生で初めて完全に自分 のための時間を生きていた。そしてそれが どれほど美しいことかを日々実感していた 。明日も妙後日もきっと新しい発見と喜び が待っている。そう信じて子は毎日を大切 に生きていた。そして物語はここで静かに 幕を閉じる。千の新しい人生はまだ始まっ たばかりだった。そして皆さん、これで 今日の物語は終わりです。最後まで聞いて くださって本当にありがとうございました 。この話が皆さんの心に何かを残すことが できたでしょうか?人生は何歳になっても 新しい賞を始めることができます。家族の 絆とは何か、本当の幸せとは何かについて 皆さんも考えるきっかけになれば嬉しく 思います。この動画が気に入ったら是非 チャンネル登録ボタンを押してください。 そして高評価もお願いします。コメント欄 には皆さんの感想や体験談をお聞かせ ください。皆さんの声が私たちの励みに なります。それではまた次の物語でお会い しましょう。皆さんの人生にも素晴らしい 発見と幸せがありますように。さようなら 。

夫の死後、孤独に暮らす荒川千代子さん。70歳の誕生日、唯一の息子からの誘いに喜びましたが、彼から告げられたのは想像を絶する冷酷な一言でした…
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老後の物語
老後は穏やかな日々だけではなく、年金、社会保障、晩年の恋、離婚、再婚など、さまざまな悩みがつきものです。私は、そんなリアルな物語をお届けします。涙も笑いも、後悔も希望も詰まった人生の話。60歳からの人生に興味がある方、一緒に聞いて、共感しませんか?

VOICEVOX :青山龍星
VOICEVOX :Nemo

企画・制作部門

総合プロデューサー: 青木隆二 (Aoki Ryuji)
企画・構成: 西村智恵 (Nishimura Tomoe)
制作統括: 平野大輔 (Hirano Daisuke)
制作進行: 山本理沙 (Yamamoto Risa)
制作アシスタント: 池田美和 (Ikeda Miwa)
アソシエイトプロデューサー: 田村航 (Tamura Wataru)

撮影・映像技術

撮影監督: 森本健司 (Morimoto Kenji)
カメラディレクター: 浜田麻衣子 (Hamada Maiko)
第一カメラマン: 内田雄介 (Uchida Yusuke)
第二カメラマン: 片岡優太 (Kataoka Yuta)
照明チーフ: 坂口光男 (Sakaguchi Mitsuo)
照明アシスタント: 大野結菜 (Ono Yuna)
音声収録: 谷口真一 (Taniguchi Shinichi)

編集・ポストプロダクション

編集長: 柴田雅人 (Shibata Masato)
メインエディター: 水野愛美 (Mizuno Manami)
カラーグレーディング: 北村龍也 (Kitamura Tatsuya)
映像効果: 小川晃司 (Ogawa Koji)
モーショングラフィックス: 中島美咲 (Nakajima Misaki)

音響・音楽

音響監督: 藤原貴之 (Fujiwara Takayuki)
サウンドデザイナー: 吉野あかり (Yoshino Akari)
効果音制作: 上田翔太 (Ueda Shota)
音楽プロデューサー: 岩崎純一 (Iwasaki Junichi)
BGM作曲: 宮崎春花 (Miyazaki Haruka)
音響ミキサー: 村田慎也 (Murata Shinya)

ストーリー・脚本

脚本家: 渡邊綾乃 (Watanabe Ayano)
ストーリー監修: 高田修平 (Takada Shuhei)
物語構成: 横山千鶴 (Yokoyama Chizuru)
台本制作: 江藤美紀 (Eto Miki)
リサーチャー: 金子洋平 (Kaneko Yohei)

声優・ナレーション

メインナレーター: 久保田誠 (Kubota Makoto)
副ナレーター: 島田恵理 (Shimada Eri)
キャラクターボイス: 林田和樹 (Hayashida Kazuki)
特別出演: 石原麻希 (Ishihara Maki)

デザイン・アート

アートディレクター: 荒木直人 (Araki Naoto)
グラフィックデザイナー: 永井美穂 (Nagai Miho)
イラストレーター: 関根大地 (Sekine Daichi)
キャラクターデザイン: 竹内さくら (Takeuchi Sakura)
背景アート: 野田健太郎 (Noda Kentaro)
UI/UXデザイン: 山口花音 (Yamaguchi Kanon)

技術・配信

技術統括: 松井秀樹 (Matsui Hideki)
システムエンジニア: 佐々木純子 (Sasaki Junko)
配信技術: 伊藤翔 (Ito Sho)
品質管理: 小林真由美 (Kobayashi Mayumi)
データ分析: 鈴木拓実 (Suzuki Takumi)

マーケティング・宣伝

マーケティングディレクター: 田中康夫 (Tanaka Yasuo)
SNS運営: 大橋あゆみ (Ohashi Ayumi)
広報担当: 加藤雄大 (Kato Yudai)

サポートスタッフ

総務・経理: 長野美智子 (Nagano Michiko)
制作サポート: 福山咲良 (Fukuyama Sakura)
インターン: 山下蓮 (Yamashita Ren)

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