気持ちの行方 / Shizuku Yoi(Official Audio)
Shizuku Yoi『気持ちの行方』
配信リンク:https://bit.ly/3Z1WJnW
人を好きだった時間を、正しかったとも、間違っていたとも言わないままにする。どこか噛み合わなかった時間も、どちらか一方に片づけない。帰り道で感じた空気や、待ち続けた信号の前の沈黙、触れた手の温度だけを覚えたまま、理由は探さない。
好きだった気持ちを、答えにしないという選択。これは、名前をつけなかった夜を、そのまま残すための歌です。東京の高円寺から見える『爛漫』を撮った写真とともに。
#夜に聴きたい
#静かな音楽
#lofimusic
#indiejpop
#japaneseindie
#lovesong
#acoustic
#eveningsong
———
lyric
知らないままで
歩けたはずの
道が夕方の色を
引き延ばしていた
いつもの帰り道
信号が
なかなか
変わらなくて
私の服に
あなたが触れた
それだけで
肩のあたりから
一日がほどけていった
扉の向こうで
靴をそろえる時間が
嬉しくてお揃いの靴を脱いだ
同じ場所に立っていたはずの
時間たちは
もう揃わない
夜になると街の音が
少し遠くなって
教えてもらった曲を
低い音量で
流している
歌詞は
ちゃんと聴かずに
メロディだけ
覚えているよ
会う約束だけが
はっきりして
それ以外は
にじんでいた
街灯の下で
何を話しても
足元だけが
落ち着かなくて
胸の奥が
静かになる前に
また
ざわついて
会わないあいだに
溜まっていった
夜と
会った瞬間
上がる体温
いまは
別の速さで
夜が進み
窓に映る
違う光がある
理由を
探さなくても
ごはんを食べて
眠れることを
覚えた
あの頃の
速すぎた脈が
どのあたりで
折り返したのかは
もう
思い出せない
確かに近くにあった
でも続きには
ならなかった
夜風に混ざったまま
残った行き先のないもの
あのじかんに
名前を置くなら
つけないことが
いちばん近い
触れれば
思い出してしまうから
視線を落として
歩いた
6件のコメント
Lyricは概要欄に。
短編小説「気持ちの行方」✍
夕方の空は、まだ決めかねている色をしていた。
夜になるには早すぎて、昼に戻るにはもう遅い。
そのあいだの時間だけが、帰り道に長く残っていた。
信号はなかなか変わらず、私は白線の端で体重を移し替えた。
足元のアスファルトには、昼の熱がまだ残っている。
急ぐ理由も、立ち止まる理由もなかった。
あなたと歩くとき、会話はいつも途中で終わった。
言葉が足りなかったわけじゃない。
最後まで言ってしまうと、何かが決まってしまう気がした。
人混みの中で、あなたの手が私の服に触れた。
意図した動きではなく、確かめるほどの力もない。
それでも、その瞬間だけ、肩のあたりから一日がほどけた。
結び目をほどくように、静かに。
扉の前で靴を脱ぐとき、あなたは靴をそろえ、
私も同じようにそろえた。
色も形も違う二足が、並んでいるのを見て、
少しだけ時間が伸びた気がした。
その時間がずっと続く、とは思わなかった。
それ以上の言葉は、必要なかった。
同じ場所に立っていたはずの時間たちは、
いつの間にか揃わなくなった。
どこでずれたのかは分からない。
気づいたときには、戻れない距離になっていただけだ。
夜になると、街の音は一段遠くなる。
窓を閉めても、完全には消えない車の走る音や、
誰かの笑い声が、薄く部屋に残る。
あなたに教えてもらった曲を、低い音量で流す。
歌詞はちゃんと聴かない。
意味を追うと、思い出してしまうから。
メロディだけが、部屋の中をゆっくり回る。
会う約束だけは、いつもはっきりしていた。
日時と場所。
それ以外のことは、どれも輪郭を持たなかった。
街灯の下で何を話しても、
足元だけが落ち着かず、
胸の奥は静かになる前に、またざわついた。
会わないあいだに溜まっていく夜と、
会った瞬間に上がる体温。
その差を比べることはしなかった。
比べてしまえば、どちらかを選ばなければならなくなる。
今は、別の速さで夜が進んでいる。
窓に映る光は穏やかで、
理由を探さなくても、ごはんを食べて、眠れる。
そういう日々があることを、身体のほうが先に覚えた。
あの頃の速すぎた脈が、
どこで折り返したのかは、もう思い出せない。
気づけば、違う場所に立っていただけだった。
確かに、近くにあった。
でも、続きにはならなかった。
夜風に混ざったまま、
行き先のないものが残っている。
それは消えもしないし、形にもならない。
あの時間に名前を置くなら、
つけないことがいちばん近い。
名前を与えた瞬間、
違うものになってしまう気がするから。
私は視線を落として、歩く。
振り向けば思い出してしまうことを、
もう知っているから。
気持ちは、どこかへ向かっている。
でも、その行方を確かめに行くつもりはない。
そういう選択があることを、
ようやく受け入れられるようになった。
映画のように、時間を止めることも巻き戻すことも出来ない世界に生きている。。と曲を聴きながら考えさせられました。いつも心地良いメロディーと歌詞に感謝💫
めちゃくちゃ神シンガー見つけてしまったしかももしかして今だと古参か!?
初めて聞きました声良すぎ
美容室で流れそうなサウンドの中に、儚い歌声最高
I like it!!