「お母さん、さつきの学費20万円貸して」娘に騙され大型テレビを買われた72歳の私は、黙って不動産屋に向かった。翌月、彼らは荷物をまとめて泣きながら出て行った。【60代以上の方へ】
お母さんお金を貸してもらえるうさきの 学費なの娘の泉がそう言った時私は迷わず に10万円を渡した。3週間後私の手に 届いたのは電力会社からの最終通告書だっ た。は泉夫婦差し出し人は保証人田中静 電気代3ヶ月能 金額8万7000円 私は震える手で封筒を握りしめた娘は私に 嘘をついていたのか72歳の私が45歳の 娘に騙されていたなんてこれは血のつがっ た親子の間で起き お金と嘘と愛情を巡る物語です。 は起きた。いつものことだ。年金生活に なってから早起きの週間は変わらない。 むしろ眠れる時間が短くなった気がする。 キッチンで湯を沸かしながら窓の外を見る 。向えのマンションでは若い夫婦が子供を 保育園に送る準備をしている。 忙しそうだが幸せそうにも見える。静は 今年で72歳になった。夫の安が5年前に 亡くなってからこの狭いアパートで 1人暮らしを続けている。年金だけでは 足りないので近所のコンビニで週3回夜勤 のパートをしている。体はまだまだ動く。 動かないと考えすぎてしまう。1人の泉の ことを。泉は今年で45歳。結婚して10 年になる。夫の公平は47歳で小さな 印刷会社に務めている。2人の間には今年 小学3年生になったさがいる。静にとって 唯一の孫娘だ。3年前、泉夫婦が今住んで いるマンションを借りる時、静が保証人に なった。式金合わせて80万円もしが出し た。安の生命保険金を取り崩して、 お母さん本当にありがとう。私たちきっと 恩返しするから。泉はそう言って涙を流し ていた。兵も深かと頭を下げていた。あの 時は娘の新しい生活を支えられて嬉しかっ た。さツキが走り回れる広いリビングを見 た時お金を出してよかったと思った。でも 最近何かが違う。泉は月に2回ほど静の アパートを尋ねる。いつも何かしらの理由 でお金の話になる。月の熟台が思ったより 高くて公平の車検があるの。家電が壊れ ちゃって1回につき5万円から10万円。 静はいつも渡してしまう。娘の困った顔を 見ると断れない。コンビニの夜勤で月 8万円稼いでも泉に渡すお金で消えていく 。自分の生活は苦しくなる一方だが、孫娘 のためだと思えば我慢できた。今日も泉が 来ると言っていた。きっとまた何かあるの だろう。午後2時頃、泉がやってきた。 いつもより顔色が悪い。お母さんお疲れ様 。泉はいつものように台所で麦茶を作って くれる。でも手が少し震えているのにしは 気づいた。どうしたのを顔色が悪いわよ。 実は泉は麦茶を持ってきてしの向いに座っ た。困ったことがあるの。また金の話かと しは思った。でも口には出さない。公平の 会社の業績が悪くてボーナスがカットに なったの。それどころかもしかしたら来年 はリストラがあるかもしれないって泉の声 は震えていた。それでえさきの来年度の 学費を今のうちに払っておきたいの。もし 公平が仕事を失ったら途中で学校をやめ させることになるかもしれない。それだけ は避けたい。しは黙って聞いていた。 20万円貸してもらえない。今度こそ きっと返すから。20万円。静の貯金通帳 にはまだその程度の額は残っている。でも それを使ってしまったら自分に何かあった 時の蓄えがなくなる。しかし魔娘の学費だ と言われば断れない。わかった。明日銀行 に行ってくるわ。 本当にいい?お母さんありがとう。泉は 涙んでいた。でも今度こそ返して ちょうだいね。お母さんだって余裕がある わけじゃないんだから。もちろん 公平の仕事が安定したらすぐに返すから。 その夜しは眠れなかった。20万円は 大きな額だ。コンビニで夜勤を25回やっ ても稼げない金額でもさツの笑顔を 思い出すとやはり出してやりたい。あの子 は静にとって生きる希望のような存在だっ た。静が20万円を泉に渡してから3週間 が過ぎた。その日勢がコンビニの夜勤から 帰ってくると郵便受けに見慣れない封筒が 入っていた。差し出し人を見ると東京電力 からだった。でも静のアパートの電気代は ちゃんと口座引き落としで払っている。何 だろうと思いながら封筒を開けた電気料金 に関する最終通告書。しは目を疑った。 アテナを確認する保証人田中し様。そして 本来のアテナ田中泉様、田中安平様静の手 が震えた。電気代が3ヶ月分滞納されて いる。金額は8万7000円。このまま 支払いがない場合天気を止める予定だと 書かれている。さらに保障人である静の 信用情報にも影響が出る可能性があるとも 記載されていた。静は椅子に座り込んだ。 3週間前、泉は学費のためと言って 20万円を借りていった。でも電気代すら 払えていない。もしかして学費というのは 嘘だったのか。しは胸が苦しくなった。娘 に騙されていたのだろうか。しは一晩中 考えた。翌日近所に住む古い友人の花子に 相談した。花子の息子も結婚していて、 時々金銭的な援助を求められるという話を 聞いたことがある。泉ちゃんに騙されたの かもしれない。花子はしずの話を聞いて ため息きをついた。しずちゃん、それは 辛いわね。でも考えてみて。最近泉ちゃん の家に行った時、何か気になることは なかった。しは思い返した。そういえば リビングに大きなテレビがあった。前より 随分大きくて新しいの。それからソファも 新しくなっていた。いつ頃から?2ヶ月 くらい前かしら。 花子は首を振った。しずえちゃん、それよ 、電気代を3ヶ月滞能するような家計状況 なのに、新しいテレビとソファを買う余裕 があるのをしは学とした。学費のためって 言われて20万円渡したのに、おそらく その20万円はクレジットカードの支払い に使われたのよ。テレビとソファをローン で買って支払いが苦しくなったんじゃない ?しは頭が混乱した。娘が嘘をついた。魔 の学費のためと言いながら実際には自分 たちの見えのために使った。そして基本的 な生活費さえ払えない状況になっている。 なぜ正直に言ってくれなかったのか。なぜ 母親を騙してまでを張ろうとしたのか。静 は深い失望を感じた。その日の夕方静は 銀行に行った。残った貯金を下ろして泉 夫婦の電気代を払うために8万7000円 大きな金額だった。これでしの貯金は ほとんどそこをついた。でも保障として 自分の信用に傷がつくわけにはいかない。 銀行の帰り道しは泉のマンションの前を 通った。駐車場に公平の車が止まっている 。仕事から帰ってきているようだった。 リビングの明りがついている。新しい 大画面テレビが見える。家族3人が楽し そうに夕食を取っている様子が窓から見え た。静は立ち止まった。あの新しいテレビ とソファのために母親に嘘をついた。学費 という口日でに10万円を騙しとった。 そして今も何事もないように幸せそうに 暮らしている。静は涙が出走になった。で も泣くのはやめた。悲しみではなく怒りが 湧いてきた。いや、怒りというより失望 だった。娘への深い失望。そして決意だっ た。しは泉に電話をしなかった。なぜ嘘 ついたのか、なぜ電気代を滞能していたの かといしたい気持ちはあった。でもし なかったといしてもまた嘘を疲れるだけ だろう。言い訳を聞かされるだけだろう。 静は3日間じっと考えた。泉夫婦はもう 大人だ。40代半ばの夫婦が70代の母親 に嘘をついてまで金を背びる。これが正常 な親子関係だろうか。静はこれまでの自分 の行動を振り返った。泉が困ったといえば すぐにお金を渡していた。相手の事情を 詳しく聞くこともなく、ただ娘の困った顔 を見たくない一心で。でもその結果はどう か。泉は母親を財布変わりにして責任感を なくしていった。元気代すら払わずのため にローンを組んでまた母親に頼る。これは 愛情ではないとしは思った。やかしだ。 そしてこの状況を続けていたら静の生活も 破綻する。72歳のしにいつまでコンビニ の夜勤ができるだろうか。体調を崩したら どうなるだろうか。娘のために自分の老 資金を使い果たして、最後は娘に迷惑を かける。それが本当に娘のためになるのか 。静は答えを出した。木曜日の朝、静は不 動産屋に向かった。泉たちが住んでいる マンションを管理している不動産屋だ。 受付の若い女性に要件を伝えた。田中泉 さんのマンションの保証人をしている田中 と申します。契約についてお話があります 。応してくれたのは40代くらいの男性 社員だった。どのようなご要件でしょうか ?実は仮主の田中泉、田中安平夫婦ですが 電気代を3ヶ月滞能しております。私の ところに保証人当てに最終通告書が届き ました。しは東京電力からの通知書を見せ た。男性社員の表情が変わった。そうです か。それは問題ですね。他にも滞能して いる料金があるかもしれません。水道台、 ガス台、電話台など。このような状況では 保証としても安心できません。静の声は 落ち着いていた。それでどのようなご希望 でしょうか?契約期間は来年の3月まで ですが、更新はしないでいただきたい。 保障人としての責任をこれ以上追いたく ありません。男性社員は困った表情を 浮かべた。しかしお客様は保証人で いらっしゃいますので、保証人だからこそ 言っているんです。このまま更新すれば さらに大きな問題が発生する可能性があり ます。家賃体、近隣トラブル、設備の破損 など私にはそれに対応する能力がありませ ん。静は続けた。来年3月の契約万を持っ て退去していただく方向で仮主にお話しし ください。わかりました。まずは仮主の方 に現在の状況を確認してみます。静は頭を 下げて不動産屋を後にした。不動産屋から の帰り道しはコンビニによった。いつもの ように値引きシールが貼られた弁当を買う 。 レジで店長の田村さんに声をかけられた。 田中さんお疲れ様です。来週のシフト ちょっと相談があるんですが何でしょうか ?新しいパートさんが入ることになったの でシフトを調整したいんです。田中さんは 週3回でしたが週2回にしていただけます か?しの収入がまた減る。はい。です。静 は心よく承諾した。でも内心は複雑だった 。収入が減れば泉に援助する余裕はさらに なくなる。でももうそれでいいと思った。 家に帰って弁当を温めながらしは考えた。 なぜ不動産屋に行ったのか。怒りからでは ない。復讐でもない。自分を守るためだ。 72歳になってもう無理はできない。娘 夫婦の無責任な行動に巻き込まれ続ける わけにはいかない。それにこれは泉のため でもあるとしは思った。甘やかし続けてい ても泉は成長しない。いつまでも母親に 依存して自分の人生に責任を持たない時に は愛情とは距離を置くことなのかもしれ ない。1週間後泉から電話がかかってきた 。お母さん不動産屋から連絡があったんだ けど声は同揺していた。どんな連絡?来年 3月でマンションを出なきゃいけないって 。保障のお母さんが更新を拒否したから だって。本当なの?しは深呼吸した。本当 よ。なんでえ?どうして急にいい?急に じゃないわ。電気代の通知が私のところに 来たから電話の向こうで泉が息を飲む音が 聞こえた。これはその件はもう解決した から私が払ったのよ。沈黙が続いた。 お母さん、3週間前、あなたはさきの学費 のためめって言って20万円借りていった わね。でも実際には電気代払えない状況 だった。その20万円は本当に学費に使っ たのをまた沈黙。お母さん、それは事情が あるの?事情って何?新しいテレビと ソファのローンの支払い?どうしてそれを ?保障としてあなたたちの生活状況を把握 する義務があるのよ。これ以上責任を追う のは無理だから更新しない。お母さんお 願いします。もう1度チャンスをください 。チャンスはもう十分与えたつもりよ。 今度はあなたたちが自分でなんとかし なさい。静は電話を切った。手少し震えて いた。でも後悔はなかった。次の日曜日の 午前中、泉と公平が静のアパートにやって きた。インターホンが鳴った時、静は来る ことが分かっていた。ドアを開けると泉の 目は赤く晴れていた。咲夜よく眠れなかっ たのだろう。公平は無表情だがいつもより 顔色が悪い。お邪魔します。泉は小さな声 で言った。があってしは2人をリビングに 通した。狭い6畳の部屋に3人が座ると 窮屈になる。静は麦家茶を出した。泉は ありがとうと言ったが公平は何も言わ なかった。それでえ から話を切り出した。お母さん本当にお 願いします。泉が口を開いた。マンション の件もう1度考え直してもらえませんか? 理由は説明したはずよ。でもさつきのこと を考えてください。あの子が転候すること になったらどれだけかわいそうか。静は 黙っていた。それに私たちももう反省して ます。今度こそちゃんとやります。反省 って具体的には公平が初めて口を開いた。 電気代はもうしません。きちんと払います 。当たり前のことでしょう。それを反省と いうのを公平は言葉に詰まった。泉が 涙組み始めた。お母さんお願いします。私 本当に困ってるんです。 涙を拭いながら泉は続けた。公平の会社 本当に厳しいんです。いつリストラされる かわからない。私も何とかしようと思って パートを探してるんですが、さつきが 小さいからなかなか見つからない。静は 冷静に聞いていた。だからせめて住む場所 だけは確保したいんです。お母さんにも 迷惑かけないよう。今度こそちゃんとし ます。今度こそって何度めよう。お母さん 泉の涙が止まらなくなった。お母さんは 魔物のさつきが可愛くないんですか?あの 子が友達と別れて知らない学校に転校する ことになっても平気なんですか?しの胸が いたんだ。つきの顔が浮かんだ。近所の人 たちもきっと噂します。あそこの家は お母さんに見放されたってさきがそんな風 に言われるんですよ。泉は続けた。 お母さん。私はお母さんの娘です。血の つがった親子です。そんな私たちを 見捨てるんですか?しは深呼吸した。 この子は母親の愛情を武器にして自分の 責任の慣れをしようとしている。そして孫 を人質にして脅迫しようとしている。しは 静かに答えた。ミ捨てるんじゃないの? 自立してもらうのよ。公平が身を乗り出し た。小義さん実は言いにくいことなんです がしは公平を見た。泉が小義さんにお金の ことを相談しづらいっていつも言ってたん です。どういう意味?小母さんがいつもお 金のことで厳しいことを言うから泉は本当 のことが言えなくなってたんです。静は 驚いた。私が厳しい。例えば3ヶ月前に テレビが壊れた時、小義さんに相談したら そんな高いものは買わなくてもって言われ ましたよね。静は覚えていた。でもそれは 50万円もする大型テレビの話だった。だ から泉は遠慮して学費の名目で相談する しかなかったんです。公平は続けた。小義 さんがもっと理解してくれれば最初から 正直に話せたんです。結果的にこんなこと になってしまった。静は呆れた。自分たち の嘘と無責任を母親の理解不足のせいにし ている。つまり私が悪いと言いたいのを そうじゃないです。でも小義保さんにも 責任の一部はあると思います。日は 立ち上がった。帰って小ぎボさん帰って ちょうだい。話すことはないわ。泉が慌て て立ち上がった。お母さん待って。公平が 言いすぎました。お母さんが悪いわけじゃ ない。もういいの。静は玄関に向かった。 お母さんお願い。泉が跡を追ってきた。 最後に1つだけ言わせて は振り返った。お母さんはいつも人に迷惑 をかけるなって私に言ってきましたよね。 でもお母さん自身はどうなんですか?何で すって?お母さんが私たちを追い出したら 結果的にさきに迷惑をかけることになる。 それはお母さんの教えに反してませんか? しは泉を見つめた。この娘は最後まで自分 の責任を認めようとしない。母親の教え まで持ち出して自分を正当化しようとして いる。静は静かに言った。助けることは 義務じゃないの。責任というのは親が子に 対して大人が自分の請求所に対して持つ ものよ。お母さん、私はもう72歳。 あなたたちは40代。いつまで甘える つもり?静はドアを開けた。さきのことは 心配してる。でもそれは私の責任じゃない 。あなたたち親の責任よ。泉と公平は何も 言えずに出ていった。静はドアを閉めて リビングに戻った。テーブルの上に2つの カップがある。麦茶は飲まれていなかった 。静は1人でその麦茶を飲んだ。磨かった 。泉夫婦がアパートを出てから1ヶ月が 経った。その間泉からの連絡は1度も なかった。 は時々さつきのことを考えた。あの子は今 どうしているだろうか。新しい家は 見つかったのだろうか。でも心を鬼にして 連絡しなかった。ある日コンビニで夜勤を していると常連のお客さんから声をかけ られた。田中さんお疲れ様です。50代の 男性で毎晩遅い時間にビールを買いに来る 。実は田中さんの娘さん夫婦とお孫さんを 見かけたんですよ。静の手が止まった。 どちらでえ駅の向こう側の古いアパートで 引っ越し業者が荷物を運んでいるところを 見ました。古いアパート 静は心配になった。お孫さん元気そうでし たよ。でも娘さんはなんだか疲れた感じ でした。 静は複雑な気持ちになった。それから2 週間後、近所の花子から電話があった。 しずえちゃん大変な話を聞いたの。何? 泉みちゃん夫婦安平さんの実家に 転がり込んだって。静は驚いた。実家に いい。どうやら新しいアパートを借りるお 金がなかったみたい。式金税金を用意でき なくてそうかとしは思った。前の マンションから出る時も指金は電気代など の大能分で総裁されただろう。新しく 借りるお金はない。それで安平さんの両親 と同居することになったのよ。でも安平 さんの実家って古い一見やでそんなに広く ないでしょう。静は公平の実家を知ってい た。昔ながらの木造住宅で狭くはないが 決して広いとは言えない。5人で住むには きついわね。それがね、もっと大変な話が あるの。花子は声を潜めた。安平さんの お母さんとても厳しい人でしょう。泉み ちゃんのことよく思ってないみたい。静は 胸が痛くなった。3日後、しは買い物の 途中で公平の実家の近くを通った。偶然 だった。でも足が自然とそちらに向かった のかもしれない。家の前を通りかかった時 、中から声が聞こえてきた。こんな時間に 洗濯物を干すのを近所の人に見られる でしょう。年配の女性の声だった。公平の 母親だろう。すみません。泉の声だった。 小さくて申し訳なさそうな声。それから さツきちゃんの靴玄関に放りっぱなしじゃ ない。きちんと揃えるよう教えなさい。 はい。あなたたち親子が来てから家の中が ごちゃごちゃになった。もっときちんとし てもらわないと困るわ。静は立ち止まった 。胸が痛んだ。泉が毎日このような子を 言われながら暮らしているのか。でもこれ は泉が自分で選んだ道だとしは自分に 言い聞かせた。静はそっとその場を離れた 。1ヶ月が過ぎた。しは相変わらず コンビニで夜勤を続けていた。泉からの 連絡はまだなかった。アルバン夜勤の休憩 時間に店の外で一服していると見覚えの ある男性が通りかかった。公平だった。あ 、小ぎボさん。公平はしに気づいて 立ち止まった。安平さん。公平の様子が 以前と違っていた。神は伸び放題で服装も だらしない。より目に吐きがなかった。お 疲れ様です。みんな元気?まあなんとか 公平は悪い。実は僕も最近転職しました。 そう、前の会社やっぱり厳しくて、今は 実家の近くの工場で働いてます。公平の 口調がどこか子供っぽくなっていた。 給料は前より安いんですが、実家から 通えるので交通費はかからなくて、まるで 母親に言い訳をしている子供のようだった 。泉は元気?泉はまあ慣れないことも多い ですが、公平は答えを濁した。さツは学校 は変わりましたが元気です。ただただ前の 友達と会えなくなったので少し寂しがって ます。静の胸が締めつけられた。でも 新しい学校にもなれると思います。公平は そう言って急いでその場を立ち去った。静 は公平の後ろ姿を見送った。あの男は実家 に戻ったことで完全に息子に戻ってしまっ たようだった。夫として父親としての責任 感を失ってそれから2ヶ月が過ぎた秋の ことだった。静が買い物から帰る途中各の 向こうから泉の声が聞こえてきた。誰かと 電話で話をしている。お母さん本当に ごめんなさい。でも猛様もないの。静は足 を止めた。公平のお母さんが毎日毎日小 ばかり言うの。私がどんなに気をつけても 何か文句を言われる。泉の声は疲れきって いた。それに公平も変わってしまった。家 にいる時はお母さんとテレビを見てばかり で私やさつきのことは放っておく。静は胸 が痛くなった。昨日なんて公平のお母さん がさ木に向かってあんたのお母さんは だらしないって言ったの。さつきが泣いて しまった。泉は泣き始めた。私もう限界な の。でも出ていくお金もない。どこにも 行けない。静はその場に立ち尽くした。 これが対面を保とうとした結果だった。 新しいテレビとソファを買うために借金を して、それを隠すために母親に嘘をついて 、そして最終的には義りの両親に頼りきっ た生活、泉が望んでいた対面は完全に 崩れ去っていた。11月のある日、静の アパートにさきがやってきた。1人で インターホンが鳴って外を見ると小さな 女の子が立っていた。さきいドアを開ける とさつきは泣きそうな顔をしていた。お ばあちゃんどうしたのを1人でここまで来 たのをさつきは頷いた。お母さんとおじい ちゃんおばあちゃんが喧嘩してるの。怖く て家を出てきちゃった。日ずはさつきを 部屋に入れて温かいココアを作ってあげた 。どんな喧嘩?おばあちゃんがお母さんに あんたたちがいるから高熱費が高くなる。 って言ったの。それでお母さんが泣き始め てさツは小さな声で続けた。お父さんは 黙ってテレビ見てた。お母さんが1人で 謝ってた。は胸が苦しくなった。おばあ ちゃん、私たちまた引っ越しするのを。 どうしてそう思うの?お母さんがこんな ところいつまでもいられないって言ってた 。静はさつきを抱きしめた。小さな体が 震えていた。大丈夫よ。何とかなるから。 でもしにも答えは分からなかった。その夜 、しがさ木を泉の家に送っていくと公平が 玄関で待っていた。すみません。さツ木が ご迷惑をおかけしました。公平の態度は どこか人形だった。迷惑なんかじゃないわ よ。家の中から泉の泣き声が聞こえてきた 。公平の母親が何か言っているようだった 。大変ね。はい。まあ、公平は曖昧に答え た。さツきを家の中に送り込んだ後、公平 がしに行った。小ぎボさん、実は何?僕 もうこの生活に疲れました。公平の声には 投げやりな響きがあった。結婚した時は こんなことになるとは思わなかった。泉も もっとしっかりした人だと思ってた。 しずは黙って聞いていた。正直言うと もっと条件の良い人と結婚すればよかっ たって時々思うんです。安平さん、小さん ももう泉を見放したでしょう。僕も同じ 気持ちです。しは学然とした。あなたそれ を泉の前でも言うのを言いませんよ。でも 心の中では思ってます。 公平はそう言って家の中に戻っていった。 静はその場に立ち尽くした。あの男は最初 から泉を愛していなかったのか。困難な時 に支え合うのではなく妻を見下し責任を 放棄している。そしてそんな男に人生を 預けてしまった泉。対面を保とうとして 全てを失った泉。12月の寒い日、静は 近所の商店街を歩いていた。年末の買い物 客で賑わう中、聞き覚えのある声がした。 公平の声だった。振り返ると公平が母親と 一緒に歩いているのが見えた。本当に 疲れるんだよ、お母さん。公平が母親に 言っていた。泉のことばかり心配しなきゃ いけないし、さツきの面倒も見なきゃいけ ない。そうね。公平も大変よね。母親が 公平をなめるように言った。正直結婚を 失敗したって思ってる。もっと自立した 女性と結婚すればよかった。静は息を飲ん だ。離婚も考えてるのを考えてないわけ じゃない。でもさつきのこともあるしさき ちゃんは可愛いけど泉さんがあのままじゃ ねえ。静は立ち着くんだ。公平が泉のこと をそんな風に話している。そして母親も それに同調している。泉はそんな環境の中 で毎日生活していたのか。その日の夕方静 の携帯電話が鳴った。泉からだった。 お母さん。泉の声はこれまで聞いたことが ないほど疲れきっていた。どうしたの? お母さん、私もうだめ。泉は泣き始めた。 公平のお母さんは毎日私を責めるし、公平 は私の味方をしてくれない。それどころか 、それどころか。 兵がお母さんに向かって結婚を失敗した って言ってるのを聞いてしまった。静は胸 がいたんだ。私何のために結婚したん だろう。何のためにお母さんに嘘までつい て保とうとしたんだろう。泉は続けた。 新しいテレビもソファも公平が3日とも ないから買い換えようって言ったの。でも 買ってみたら今度は金の使い方が下手だっ って言われた。そう。お母さん、私バカ だった。本当に大切なものを見失ってた。 静は黙って聞いていた。お母さんを騙して お金を借りてそれで何を得たのを結局誰 からも大切にされない生活。泉の声にこれ までなかった強さが混じり始めた。私もう 変わりたい。本当に変わりたい。それから 1週間後泉から再び電話があった。 お母さん報告があるの?泉の声は前回より もしっかりしていた。パートの面接を受け て採用されました。そう良かったじゃない 。近くの工場の食堂で働きます。朝の6時 から午後2時までさが学校に行っている間 だけ静は驚いた。平さんは何てえ?公平は 最初反対しました。僕が稼いでいるから 働く必要はない。ってそれでええでも私は 言い返したんです。あなたの稼ぎだけでは いつまでもお母さんに頼りっきりになる。 私も働いて1日も早く独立したい。って泉 の声には決意が感じられた。公平は何も 言えませんでした。おシュートさんは最初 は嫌な顔をしてましたが早く出て行って もらえるならって条件付きで許可してくれ ました。しは複雑な気持ちになった。 お母さん、私頑張ります。お母さんにお金 を返すまでは絶対に諦めません。3ヶ月が 過ぎた。泉は毎日工場の食堂で働き続けて いた。そして静のところに少しずつだがお 金を返し始めた。最初の月は3万円、2 ヶ月目は5万円。金額は小さかったが、静 には大きな意味があった。泉が初めて約束 を守ろうとしていた。ある日、泉が1人で しのアパートにやってきた。さツ木は学校 、公平は仕事の時間だった。お母さん実は 決めたことがあるの。何を来月さきと2人 でアパートを借ります。静は驚いた。 安平さんとはあ、別れます。泉の声は静か だったが揺ぎなかった。公平は私のことを 結婚に失敗したって思ってる。だったらお 互いにとってその通りです。さきのことは あ、さツキの真剣は私が取ります。公平は 実際のところさきにあまり関心がありませ ん。 養育費は期待してませんが、それでもいい です。泉は続けた。私やっと分かったん です。低才とか見えとかそんなもののため に大切な人を裏切っちゃいけないって。 どこに住むのを小さなアパートを見つけ ました。4万円の6畳1件でも2人なら 十分です。これから2週間後、泉から電話 があった。お母さん今日引っ越しました。 そう、お疲れ様。6畳1件だけどとても気 に入ってます。さツも喜んでます。泉の声 は久しぶりに明るかった。お母さん改めて お詫びしたいことがあります。何を今更 いえ、ちゃんと言わせてください。 泉の声が真剣になった。お母さんを騙して お金を借りたこと。電気代を滞能して お母さんに迷惑をかけたこと。停滞のため に本当に大切なお母さんとの関係を犠牲に したこと。静は黙って聞いていた。全部私 の責任です。公平のせいでも環境のせいで もない。私が弱くて間違った選択をし続け た結果です。泉でもお母さんが厳しい態度 を取ってくれたから私はやっと目を覚す ことができました。泉は続けた。お母さん がもし朝までずっと援助し続けてくれてい たら私はずっと甘え続けていたと思います 。静の目に涙が浮かんだ。会場っていうの は時には突き離すことなんだってやっと わかりました。静は少し沈黙してから口を 開いた。新しいアパート暖房はちゃんとし てるのをはい。小さいですがエアコンが 付いてます。さきの布団はとりあえず毛布 を重ねて寝てます。しは考えた。今度の 日曜日さに会いに行ってもいい?泉は驚い た様子だった。もちろんです。さツキ喜び ます。それから家にある古い馬布団使わ ないから持っていこうか。お母さん、別に あなたを許したわけじゃないのよ。ただ孫 が寒い思いをするのはかわいそうだから。 日の声は少しだけ柔らかくなっていた。 ありがとうございます。それから泉はい。 今度お金に困ることがあってもすぐに 沸かさないからね。分かってます。でも どうしても困った時は相談しなさい。条件 はつけるけど泉は泣いているようだった。 ありがとう、お母さん。 しずは電話を切った。窓の外を見ると冬の 夕日が沈みかけていた。これで良かったの だろうかとしは考えた。完全に関係が元に 戻ったわけではない。でも新しい関係の 始まりかもしれない。最当な大人同士の 責任を持った関係のしは立ち上がって台所 に向かった。明日は日曜日 さに作ってあげるお菓子を考えながら 新しい小さな希望を胸に半年後の春しは泉 とさきの新しいアパートを尋ねていた。 屋上一軒の小さな部屋だったが、きちんと 片付いていて温かい雰囲気があった。お ばあちゃん見てさツキが学校のテストを 見せてくれた。算数100点だったの。 すごいじゃない。さツキは以前より大人 っぽくなったような気がした。泉は台所で 夕食の準備をしていた。お母さん、今日は 止まって行ってください。いいの?はい、 久しぶりに3人でゆっくり話したいです。 静は頷いた。夕食は失素だったが 美味しかった。3人で食べる食事は久し ぶりで新鮮だった。食後、さツキが宿題を している間、泉としは小さな声で話した。 仕事大変でしょう。最初は慣れなくて大変 でしたが、今は楽しいです。職場の人たち も親切で安平さんは養育費はもらってませ んが月に1回さつきと会ってます。でも さツはあまり喜んでません。泉は苦笑いし た。そうでもそれでいいんです。私とさき 2人で頑張ります。泉の表情は以前とは 違って穏やかで落ち着いていた。お母さん 本当にありがとうございました。何を今更 厳しくしてくれて、あの時お母さんが 甘やかし続けてくれていたら私は永遠に 成長できませんでした。静は黙っていた。 場というのは時にはノということなんです ね。あなたがそう思うならそれでいいのよ 。その夜しは久しぶりに深く眠った。狭い 部屋で3人川の字になってでもとても 温かかった。これまでで1番安心して眠れ た気がした。朝目を覚ますとさきがしの顔 を覗き込んでいた。おばあちゃんおはよう 。おはようさツき。おばあちゃんまた来て くれる?また来るわよ。さきは嬉しそうに 笑った。しはこの笑顔のためにあの時 厳しい決断をしたのだと思った。本当の 愛情とは時として相手を突き離すこと。 甘やかすのではなく自立を促すこと。 そして必要な時にはまた手を差し伸べる こと。静は窓の外の春の空を見上げた。 新しい季節が始まっていた。
制作スタッフ
企画・制作
企画・脚本: 山田太郎 (Yamada Tarō)
ストーリーテラー: 田中花子 (Tanaka Hanako)
ナレーター: 佐藤明 (Satō Akira)
技術スタッフ
映像編集: 中村浩 (Nakamura Hiroshi)
音響効果: 小林玲 (Kobayashi Rei)
撮影監督: 渡辺大地 (Watanabe Daichi)
デザイン・アート
イラスト制作: 林美久 (Hayashi Miku)
グラフィックデザイン: 藤原颯太 (Fujiwara Sōta)
アニメーション: 松田結衣 (Matsuda Yui)
管理・運営
プロデューサー: 鈴木健太 (Suzuki Kenta)
ディレクター: 木村奈々 (Kimura Nana)
チャンネル運営: 高橋涼 (Takahashi Ryō)
サポート
リサーチャー: 小川恵美 (Ogawa Emi)
翻訳: 石田健二 (Ishida Kenji)
品質管理: 森本彩香 (Morimoto Ayaka)
音楽制作: 井上拓海 (Inoue Takumi)
音声:
VOICEVOX:青山龍星