「古臭い価値観のババア、出て行け!」息子夫婦に罵られ、雨の中73歳の私は追い出された。だが翌日、私は静かに微笑んで電話をかけた。息子たちの人生が崩れ始めた。【60代以上の方へ】
母さん、もう限界なんだ。出て言ってくれ 。息子のいつがそう言った時、青や木 被さえは自分の耳を疑った。73年生きて きて、これほど心臓が止まりそうになった ことはない。雨の降る夜、日は息子の家の 玄関先に立っていた。足元には自分の荷物 が入ったビニール袋が散らばっている。 45年前に海、愛情を注いで育てた息子が 身の母親を雨の中に追い出そうとしている 。なぜクエの声は震えていた。母さんの 古い価値観についていけないんだ。俺たち には俺たちの生活がある。嫁のさきが後ろ から冷たい視線を向けている。昨日まで 小母さんと笑顔で呼んでいた人が今は早く 出ていけと言わんばかりの表情だった。 この時災はまだ知らなかった。自分が 追い出される本当の理由を。そしてこれ から怒る驚くべき逆転撃を。これは73歳 の1人の女性が自分の尊厳を取り戻し、真 の自由を手に入れた物語である。青や被久 被さえは冷蔵庫の扉を開けて小さくため息 をついた。73歳になってもまだこうして 家族の面倒を見ている。息子のいつると嫁 のさき、そして魔の健太3人とも何も言わ ずに食べ物がなくなれば誰かが補充して くれると思っている。また買い物か。被災 は財布を手に取り所のスーパーへ向かった 。膝は時々痛むが歩くのはまだ大丈夫だ。 特売の野菜を選び、息子が好きな焼き魚用 のサバを買った。さが健康に気を使って いるから無農薬の野菜も少し奮発した。 帰宅するとさツキがリビングでテレビを見 ていた。被災が買い物袋を台所に運ぶ音を 聞きつけてやってきた。お疲れ様。何買っ てきたのを?被災が買い物袋から商品を 出すとさつきの顔が曇った。またこんな 古臭いもの買って今時こんな放送の醤油 なんて使ってる人意ないようさきは被災が 選んだ醤油の瓶を手に取ってまるで汚い ものでも触るような顔をした。普通ので いいでしょうは穏やかに言った。普通じゃ ないのよ。こんなの使ってたらケ太の友達 が来た時に恥ずかしい思いするでしょう。 そう言ってさツは醤油の瓶をゴミ箱に捨て た。クエの心臓が少し早く兼ねった。 150円の醤油だった。そんなに高いもの ではないが、自分で選んだものを目の前で 捨てられるのは気持ちの良いものではない 。野菜も古くない。この大根先が黄色く なってる。さツキは大根を持ち上げて顔を 仕かめた。クエは新鮮に見えたがそうは 言えない雰囲気だった。そうね。今度気を つけるわ。気をつけるって言っても小さん の普通と私たちの普通は違うからもう少し 時代に合わせてもらえるかしら。被災は 黙って頷いた。30年前から同じように 買い物をしてきた。同じスーパーで同じ ように品物を選んでも今はそれが古臭い らしい。夕食時が会社から帰ってきた。 45歳の息子は最近太り気味でいつも疲れ た顔をしている。今日もご苦労様被災は 味噌汁を温め直した。ああ、疲れた。いつ は椅子に座り込んだ。今日課長に呼ばれて また売上の話だよ。さきが台所から出てき た。お疲れ様。でも今日小ぎぼさんがまた 変なもの買ってきたの。変なものを古い 醤油とか品びた野菜とか私が注意したら気 をつけるって言ったけど多分また同じこと の繰り返しよ。被災は黙って食事の準備を 続けた。母さんいつを見た。さツきの言う ことも分かるよ。俺たちだって近所の人に どう見られるか気になるんだ。そうね。 被災は静かに答えた。特に健太のこと 考えると友達の家と比べられるじゃないか 。俺の立場もあるし。クエの手が止まった 。息子の立場。いつからそんなことを気に するようになったのだろう。私が買い物 するとみんなに迷惑かけるのね。迷惑って いうわけじゃないけど、いつは言葉を濁し た。もう少し今の時代に合わせてくれれ ばって思うんだ。今の時代被災はその言葉 を繰り返した。そうよさきが割り込んだ 小義保さんの価値観ってどうしても古いの よね。私たちの世代とは違うから。被災は 73年生きてきた。戦後の混乱も高度経済 成長もバブル崩壊も見てきた。でも今自分 の価値観が古いと言われている。分かった 。今度から気をつけるわ。でも心の中で 災えは思った。一体何に気をつけたらいい のだろう。それから3日後、被災はいつも のように夕食の準備をしていた。サバを 焼いている間に洗濯物を取り込みに行った 。戻ってくると台所が少し煙りっぽくなっ ている。あら、魚が少し焦げていた。ガス を消して窓を開けた。大したことではない 。こんなことは料理をしていれば時々 起こる。でもさツが台所に飛び込んできた 。何この煙?ちょっと魚を焦がしただけよ 。もう大丈夫。さツ木は換気線を最大にし て窓を全開にした。ガス消し忘れてた でしょう。いえ、消してあるわ。でも煙が 出てたじゃない。もし家事になったらどう するの?被災は困った。確かに少し焦がし たが家事というほどのことではない。その 夜とさ学への部屋にやってきた。母さん 今日の件だけどいつの声は重かった。本当 に心配なんです。さつきが続けた。もし 義母さんがガスの消し忘れで家事を起こし たら近所の人たちにも迷惑をかけるし そんな大げさな被災は苦笑いした。大げ じゃないよ。が強い口調で言った。母さん も年なんだから注意力が落ちるのは 仕方ない。でも俺たちには責任があるんだ 。クエの胸が締めつけられた。息子が自分 を年だからと言った。確かに73歳だが、 まだ頭はしっかりしている。でも息子の目 には注意力の落ちた老人に移っている らしい。これからは小ぎ母さんには台所に 立ってもらわない方がいいかもしれません 。さツキが提案した。そんな被災は驚いた 。私が料理しなかったら誰が作るのを私が 作ります。小義さんには休んでもらってで も被災は知っている。さつきは料理が得意 ではない。コンビニ弁当やレトルト食品 ばかりになるだろう。私はまだ大丈夫よ。 そう言ってまた同じことが起きたらどう するのをいルが言った。俺たちは母さんの ことを思って言ってるんだ。被災は何も 言えなかった。息子たちの心配という名前 の拒絶が胸に刺さった。よく朝被災が 起きるとさがリビングにいくつもの ビニール袋を並べていた。おぎボさん おはようございます。おはよう。これは何 ?小ぎ母さんの荷物をまとめているんです 。被災は意味が分からなかった。荷物? 昨日いさんと話し合ったんですが、 やっぱり小木さんには別の場所で暮らして もらった方がいいって。クエの頭の中が 真っ白になった。別の場所って老人ホーム とかアパートとか小母さんも自由になれる し私たちも安心だしさはクエの部屋から服 や本を持ってきてビニール袋に入れ始めた 。クエの大切にしていた写真も雑魚袋に 突っ込まれた。ちょっと待って被災は慌て た。なぜそんなに急に?急にじゃありませ ん。前から考えてたんです。母さんももう 自由に暮らしたいでしょう。被災は混乱し た。自由に暮らしたい。この家で息子 山ごと暮らすのが自分の幸せだと思ってい た。私は出ていきたくない。でも小ぎぼ さんがいるとみんな気を使うんです。 小ぎぼさんも私たちに気を使わなくていい 生活の方が楽でしょう。さツ木はクエの 大切な茶碗を袋に入れた。この茶碗は 亡くなった夫が買ってくれたものだった。 それは大切なものだからそっと入れてああ 、すみません。でも急いでるのでさきは そっと扱うどころかさらに雑に扱った。 被災は自分の目を疑った。これが息子の嫁 の態度だろうか。いつが会社から帰ってき た時、クエの荷物は全てビニール袋に 詰め込まれ、玄関に積まれていた。準備 できました。さツキが報告した。いつは クエを見た。母さん、これが1番いいんだ 。母さんも気楽になれるよう。被災は息子 の顔を見つめた。本当にそう思っているの だろうか。それとも妻に言われて仕方なく 。う、け太はあ、被災は魔のことが心配 だった。け太はもう大きいから大丈夫。で もケ太はまだ中学生だった。ちゃんがい なくなることをどう思うだろう。け太に 挨拶させて明日学校があるからもう寝た。 嘘だった。クエにはテレビゲームの音が 聞こえていた。外では雨が降り始めていた 。今夜はどこに止まるのを悲は聞いた。 とりあえず近くのビジネスホテルを取って あります。さツキが答えた。明日から ちゃんと下住まいを探せばいいでしょう。 さえは学然とした。息子は自分をホテルに 放り出すつもりなのか?いつ本当に私を出 てかせるの?いつは目をそらした。母さん 、これが最善なんだ。私には選択肢はない のを母さんのためを思ってでもクには 分かった。これは自分のためではない。 息子と嫁が楽になるためだった。分かった 。被災は諦めた。荷物を運ぶから車を出し てタクシーを呼んであります。さツキが 冷たくいった。タクシー代も自分らしい。 被災は73年生きてきて初めてこんな惨目 な気持ちになった。荷物をビニール袋の まま玄関に運んだ。雨が袋の中に入りそう だった。傘はああ、すみません。さツキが コンビニの傘を1本渡した。自分の傘も 荷物の中に入っているのに息子の家の傘は 使わせてもらえないらしい。タクシーが来 た。運転手が気の草に荷物を積んでくれた 。お疲れ様です。運転手は優しかった。 被災は振り返った。息子と嫁が玄関に立っ ている。でも見送りではない。早く出て いけという無言の圧力だった。それじゃあ 被災は言った。気をつけていがようやく口 を開いた。でも心のこもった言葉では なかった。さツキは何も言わずにドアを 閉めた。雨の中タクシーは走った。被災は 後ろを振り返らなかった。振り返ったら涙 が出そうだった。ビジネスホテルの小さな 部屋で被災は一晩中眠れなかった。濡れた 荷物を乾かしながらこれからどうするか 考えた。朝になって最初にしたことは 保険会社への電話だった。青や木被災です 。生命保険の受益者を変更したいのですが 、承知いたしました。現在の受益者様は 息子の青やつです。これを社会福祉法人、 子供の未来に変更したいのです。 オペレーターは少し驚いたようだった。ご 家族から他の団体への変更ですね。確認さ せていただきますが、保険金額は 500万円でよろしいですか?はい。被災 は昨やインターネットで事前団体を調べた 子供の未来は貧困の子供たちの教育支援を している。自分の孫よりも本当に困って いる子供たちに役立ててもらった方がいい 。変更手続きの書類を送らせていただき ます。急いでお願いします。電話を切った 後、被災は少しすっきりした気分になった 。息子は自分が死んだら保険金を 受け取れると思っているだろう。でも妄想 はいかない。午後も被災は銀行に向かった 。息子への毎月の支援を止めるためだった 。青や木様いつもお世話になっております 。窓口の若い女性が笑顔で迎えてくれた 自動送金を止めたいのです。承知いたし ました。毎月15万円の送金ですね。被災 は手続きをしながら女性の親切さに心が 温まった。昨日の息子や嫁とは大だった。 何か他にお手続きはございますか?通帳の 記録を見せてもらえますか?通帳を見て 被災は学然とした。息子への送金だけで なくクレジットカードの引き落としも自分 の口座からされていた。しかも金額が 大きい。このクレジットカードは青やつ様 名義のカードですね。息子が自分の口座を 支払いに使っていた。被災は迷彩を請求し た。旅行費用、高級レストラン、ブランド 品、息子一家の贅沢な生活は全てクエの 年金で支えられていた。このカードの 支払いも止めてください。承知いたしまし た。さえは震えていた。怒りではなく呆れ ていた。息子たちは自分のお金でそんなに 贅沢をしながら自分を負担だと言って 追い出したのか。ホテルに戻って被災は クレジットカード会社に電話した。カード を停止したいのです。噴出されましたか? いえ、息子に使わせていましたが、もう 止めたいのです。手続きを進めながら オペレーターが教えてくれた。先月のご 利用額は43万円でした。被災は言葉を 失った。自分の月の生活費の2倍以上だっ た。主な利用先は旅行会社とレストラン、 デパートですね。息子一家はクのお金で 旅行に行き、高級レストランで食事をし、 ブランド品を買っていた。そしてクエを 古い価値観の負担として追い出した。すぐ に停止してください。承知いたしました。 被災は電話を切って深くため息きをついた 。息子はまだ明日もクレジットカードが 使えると思っているだろう。被災は孫の 健太のことも考えていた。健太に罪はない 。でも息子夫婦のお金で息子の教育費を 払っていることも許せなかった。健太の 通っている私立中学校に電話した青や木 健太の祖母です。学費の支払いについて 相談があります。お世話になっております 。どのような件でしょうか?来月から私が 直接学費を支払うのではなく、両親に 支払ってもらうことになりました。事務 委員は少し困ったような声になった。現在 はおそ母様の口座から自動引き落としに なっておりますが、その自動引き落としを 停止してください。今後は息子夫婦が 支払います。承知いたしました。ご両親に もお伝えしますが、来月の引き落としまで に新しい支払い方法を決めていただく必要 があります。わかりました。被災は複雑な 気持ちだった。健太の教育は大切だが、 息子夫婦が自分のお金を当てにして贅沢を しながら自分を邪魔者扱いすることは許せ なかった。しかし魔のことは心配だった。 健太は祖からの愛情を残しておきたい。 被災は別の銀行で新しい口座を解説した。 健太様名義の口座を作りたいのですが、 未成年者の口座解説ですね。真権者の同意 が必要ですが被災は困った。息子夫婦の 同意は得られないだろう。定期預金なら 増与として扱える方法があります。窓口の 人が提案してくれた。結局ク名義の定期 預金として200万円を預けた。健太が 成人したらこの少々渡そう。息子夫婦には 内緒でこの預金のことは他の人に話さない でください。承知いたしました。お客様の 秘密は守ります。被災は安心した。検帯の 愛情は残せた。でも息子夫婦への支援は 完全に断った。通帳を見ると口座の残高は まだ十分だった。息子たちに取されていた 分がなくなれば1人で生活するのに問題は ない。被災は初めて経済的な自立を実感し た。息子に頼らなくても自分のお金で自分 の人生を遅れる。むしろ息子一家がいなく なったわけ。お金に余裕が出た。この事実 がクの背筋を伸ばした。自分は負担では なく支える側だったのだ。被災がホテルで 新しい生活の準備をしている間、息子の いつは会社で困っていた。昼休みに車の ローン会社から電話がかかってきたのだ。 大木様、今月の引き落としができません でした。ええ、いつは困惑した。口座に 残高はあるはずですが、残高不足でした。 子宮を支払いをお願いします。いつはわて 銀行のアプリを開いた。口座残高を見て顔 が青くなった。いつもなら母の送金がある はずの日を過ぎているのに入金がない。 休憩時間に母の携帯に電話をかけた。 母さん、今月の送金がまだ来てないんだ けど。ああ、止めました。クエの声は冷静 だった。止めたって。もう送金はしません 。なんでえ、急に言われても困るよ。急 じゃありません。昨日あなたが私を 追い出した時から決めていました。いつは 周りを見回した。同僚に聞かれたくない話 だった。母さん、それとこれとは別だろう 。じゃありません。私はもうあなたたちの 家族じゃないそうですから。そんな言い方 私の年金でハワイ旅行に行ったそうですね 。いつは言葉に詰まった。母がクレジット カードの迷彩を調べたのだ。あれは説明は 結構です。もう関係ありませんから。 母さん、ちょっと待って。電話は切れた。 いつは頭を抱えた。車のローン、住宅 ローン、検タの学費全て母の口座から 引き落とされていた。それが止まったら 来月から生活が破綻する。その日の夜さ木 学園に電話をかけた。声は泣いているよう だった。小ぎ母さんお疲れ様です。はい。 被災はそっけなく答えた。実は健太のこと でお話があって、健太がどうかしたのを 学校から連絡があって来月から学費の 支払い方法を変更してくれてそれでえぎボ さんケ太は何も悪くないんです。 かわいそうじゃありませんか?被災は黙っ ていた。け太もおそごちゃんがいなくなっ て寂しがってます。おそごちゃんはどこ 行ったのをって毎日聞くんです。嘘だった 。昨日はケ太に挨拶もさせてくれなかった くせにケ太の修学旅行も来月なんです。 みんなと一緒に行けなかったらどんなに 傷つくか。さツキの声は次第に激しくなっ た。小ぎぼさんだってお孫さん がかわいそうだと思いませんか?小ぎぼ さんのせいでけ太が友達に笑われるんです よ。クエの胸がいたんだ。ケ太のことは 本当に心配だった。でもそれとこれとは別 だ。健太の学費はお父さんとお母さんが 払ってください。そんなお金ないんです。 小義さんも知ってるでしょう。では働いて ください。働くってそんな簡単に。私も 73歳まで働いています。さツは言葉に 詰まった。小義さんお願いします。健太 だけは健太の教育費は別に用意してあり ます。 でもあなたたちには1円も出しません。 どういう意味ですか?意味はそのままです 。被災は電話を切った。手が震えていた。 健太のことを考えるとからかったが息子 夫婦にくっくするわけにはいかない。翌日 の夜夫婦がクのホテルにやってきた。 フロントから部屋に内線がかかってきた。 青や木様、お客様がお見えです。さえは 迷ったが結局会うことにした。ロビーで 息子夫婦と向い合った。2人とも疲れた顔 をしていた。母さん、話し合おう。いつが 切り出した。話し合うことはありません。 そんなこと言わないで。俺たちは家族 だろう。被災は驚いた。昨日まで自分を 邪魔者扱いしていたのに、今度は家族だと いう。家族ならなぜ私を追い出したのです か?あれはいつは言葉を探した。母さんの ためを思って私のため?そうだよ。母さん も気を使わなくて済むし。私は気を使って いませんでした。でも俺たちは気を使って たんだ。被災は息子を見つめた。気を使う なら最初から一緒に住まなければよかった でしょう。それはあなたたちが一緒に住み たいと言ったから私は息子の家族のために 尽くしてきました。でも結局私の年金が 目当てだったのですね。いつの顔が赤く なった。そんなことない。ハワイ旅行の 費用、高級レストランの食事代ブランド品 の購入費全て私の年金でした。それは私が あなたたちのために使ったお金です。でも あなたたちは私を古い価値観負担と言って 追い出した。いつは反論できなかった。俺 たちだって母さんのことを思って思ってい ません。被災はきっぱり言った。あなた たちは自分たちの都合をしか考えていない 。母さん、私はもう青やつの母親ではあり ません。突然さ木がソファから立ち上がっ た。そしてクエの前で土下座をした小ぎボ さんお願いします。ロビーにいた他の客 たちが振り返った。被災は恥ずかしくなっ た。やめなさい。小ぎ母さん私が悪かった んです。全部私のせいです。さつきは泣き ながら言った。小木さんを追い出したのも 私がいつさんを説得したからです。被災は 冷静に見下ろした。昨日まで自分を邪魔者 扱いしていた人が今度は泣いて謝っている 。小義さん、お願いです。私たちのところ に戻ってきてください。戻る理由があり ません。小義さんがいないと私たちは生活 できないんです。さきの声は必死だった。 いつさんのお給料だけじゃ住宅ローンも 払えないし検の学費も。被災は納得した。 結局これが本音だった。自分の人格や尊厳 ではなくお金の問題だった。健太のことを 考えてください。さツきは続けた。ケ太に は祖母が必要なんです。健太には私がい なくてもお父さんとお母さんがいます。で も私がいなくて困るのは健太ではなく あなたたちの家計でしょう。さきは言葉に 詰まった。小義さんお願いします。私たち は家族じゃありませんか?被災はその言葉 を聞いてはっきりと理解した。この人たち にとって家族とは利用価値のある関係の ことだった。私のことを古い価値観負担と 言ったのは誰ですか?それは私のガスの 消し忘れを大げに騒いで危険だから途台所 から追い出したのは誰ですか?私です。 さつきの声は小さくなった。私の買ってきたものを古臭いと言ってゴミ箱に捨てたのは誰ですか?あ、私です。そして私の荷物を雑にビニール袋に詰め込んで雨の中を追い出したのは誰ですか?さツ木は答えられなかった。今更家族と言われても私には響きません。災は立ち上がった。 ト座をやめなさい。見苦しいです。さツキ はゆっくりと頭をあげた。目は真っ赤に 晴れていた。小ぎボさん、私は小ぎぼさん ではありません。私は青被さえです。 あなたたちとは関係のない1人の人間です 。いつが最後の試みとして口を開いた。 母さん、俺たちが悪かった。でももう一度 やり直そう。さえは息子を見つめた。45 年前、この子を産んだ時のことを思い出し た。夜中に泣いて授業をしておムつを変え てどんなに疲れていてもこの子のためなら 何でもしてきた。でもこの前にいるのは 自分を利用することしか考えない大人だっ た。やり直すことはありません。母さん、 私は青い悲さえとしてこれから1人で生き ていきます。 被さえってそれは母さんの名前だろう。はい、私の名前です。青ヤギ鶴の母親では青や木久被さえという 1人の人間として生きていきます。被災へはそう言っていった。エレベーターに乗りながら被災へは不思議ながす々がしさを感じた。 73年 生きてきて初めて私は私だという感覚を味わった。 部屋に戻ると被災は鏡を見た。そこには 疲れた老人ではなく、自分の人生を 取り戻した女性がいた。災はホテルまいを やめ、駅の近くにある小さなワンルーム マンションを借りた。家賃は6万円。息子 に送っていた15万円の半分以下だった。 新しい生活になれようとしていた頃、近所 の公民館でシミアハイキングクラブの 張り紙を見つけた。毎週土曜日近郊の山を 歩いています。初心者歓迎被災は迷った。 73歳から新しいことを始めるのは勇気が いる。でも息子の家にいた時はこんな 張り紙にも気づかなかっただろう。土曜日 の朝公民館に行ってみた。初めてですか? 60代後半の男性が声をかけてくれた。私 田中と申します。このクラブの会長をして います。青や木です。ハイキングは初心者 なのですが大丈夫です。みんな最初は初心 者でした。田中さんは優しい笑顔だった。 被災は安心した。その日は低い山を3時間 ほど歩いた。クの足取りは最初ぎこち なかったが、だんだん慣れてきた。何より 山の空気が美味しかった。青や木さん、お 1人暮らしですか?田中さんが聞いた。 はい。つい最近引っ越してきました。そう ですか。このクラブのメンバーも 1人暮らしの方が多いんです。被災は周り を見回した。確かにみんな1人で参加して いる。気楽でいいですよ。別の女性が言っ た。家族に気を使わなくて住みますからね 。その言葉がクエの心に響いた。毎週 土曜日のハイキングが楽しみになった。 クエの体力も少しずつ向上し、長い距離を 歩けるようになった。田中さんは3年前に 奥さんをなくした1人暮らしだった。子供 はいるが連邦に住んでいて年に1回合う 程度だという。寂しくありませんか?被災 が聞いた。最初は寂しかったです。田中 さんは賛道を歩きながら答えた。でも だんだん1人の時間を大切に思えるように なりました。私も最近そう思います。青 さんも何かあったのですか?被災は少し 迷ったが話すことにした。息子夫婦に 追い出されたこと。自分の年金で息子一家 の贅沢な生活を支えていたこと。そして 最終的に関係を断ったこと。田中さんは 黙って聞いていた。辛い経験でしたね。で も今は後悔していません。被災は意外にも 自分がそう思っていることに気づいた。 自分の人生を取り戻した気がします。それ は良かった。青木さんは強い方ですね。 被災は首を振った。強くありません。ただ 自分を大切にすることを学んだだけです。 田中さんは微だ。これが1番強いことかも しれませんね。2人は山頂で休憩した。 眼下に町が広がっている。被災は深呼吸し た。息子の家にいた時はこんな景色を見る こともなかった。毎週こうして山に来るの が楽しみなんです。悲さえは言った。私も です。ファヤさんと話していると気持ちが 明るくなります。被災は嬉しかった。73 年生きてきて初めて大当な友人ができた気 がした。ある日ハイキングクラブで少し 遠い山にある古い寺を訪れた。標高 800mの山場にあり登るのに3時間 かかった。被災は息き切れしながらも最後 まで歩き通した。よく頑張りましたね。 田中さんが褒めてくれた。山寺は静寂に 包まれていた。本藤で手を合わせながら 災さえは自分の人生を振り返った。夫と 結婚して息子を育てて夫を見送って息子の 家族の世話をしていつも誰かのために生き てきた。それが当たり前だと思っていた。 でも今この静寂の中で悲さえは気づいた。 自分も1人の人間として自分の人生を 生きる権利がある。青や木悲の人生。さえ は小さくつ焼いた。73歳になって初めて 自分の名前を誇らしく思った。帰り道田中 さんが言った。青や木さん最近とても 生き生きしていますね。そうですか。最初 にお会いした時とは別人のようです。被災 は嬉しかった。確かに体力もついたし 気持ちも明るくなった。何より毎日が 楽しい。山に登るって人生みたいですね。 被さえは言った。どういう意味ですか? 一歩一歩自分の足で登っていく。誰かに 頼るわけにはいかない。でも登り切った時 の達成感は確別です。田中さんは深く頷い た。そうですね。人生も自分の足で歩か ないと本当の満足は得られません。キング クラブに参加するようになって半年が過ぎ た頃、被災は町で偶然息子を見かけた。 コンビニの前で宅配便の制服を期待つが 荷物を積んでいる。以前の息子とは別人の ようだった。方は痩せ、髪は薄くなり、 背中も丸くなっている。被災は立ち止まっ た。一瞬心が傷んだ。あれが自分の息子 だった。が振り返って母親と目があった。 いつの顔に驚きの表情が浮かんだ。被災は 日焼けして健康的になっていた。 ハイキング用の服装で背筋も伸びている。 以前の疲れた老人とは全く違って見えた。 母さんいつが小さく口を動かした。被災は 息子を見つめた。昔の愛情がかかに蘇った 。でもそれと同時に冷静な判断も働いた。 この人は自分を負担と言って追い出した。 自分の年金を使い込みながら感謝もせず 最後は邪魔者扱いした。そして今経済的に 困って配達のアルバイトをしている。当然 の結果だった。被災は特に感情的になる こともなく息子から視線を外した。青や木 さん、田中さんが歩いてきた。お待たせし ました。いえいえ、被災は自然な笑顔で 答えた。2人は歩き出した。いつはまだ 立ち尽くしていた。知り合いの方でしたか は田中さんが聞いた。被災は少し考えた。 昔知っていた人です。それ以上は何も言わ なかった。田中さんも選索しなかった。 歩きながら被災は不思議な平成さを感じた 。息子に対する怒りも憎しみもうなかった 。ただ関係のない人として見ているだけ だった。これが本当の解放なのかもしれ ないと悲は思った。それから被災は充実し た毎日を送るようになった。火曜日は近所 の図書館でボランティア活動。水曜日は 公民館の料理教室。金曜日は近所の保育園 で読み聞かせのボランティア。そして 土曜日はハイキング。息子の家にいた時は 1日中テレビを見て過ごすことが多かった 。家族に気を使って自分のしたいことが できなかった。今は違う。自分の時間を 自分で決められる。お金の使い道も自分で 決められる。ハイキングクラブの仲間たち とは時々食事もするようになった。みんな 1人暮らしだが寂しそうではない。 それぞれが自分の人生を楽しんでいる。 青や木さん、今度の連休に1泊2日の登山 はいかがですか?田中さんが提案した。1 泊2日は大丈夫でしょうか?ファヤさんの 体力なら問題ありません。悲は嬉しかった 。73歳になってまだ新しい挑戦ができる 。その夜災は新しいと登山を買いに行った 。自分のお金で自分のために誰にも文句を 言われることなく靴の店員は親切だった。 お客様本格的な登山をされるんですね。 ええ、最近始めたんです。素晴らしいです ね。この靴なら安心です。被災は鏡で 新しい靴を眺めた。この靴でまだ見たこと のない景色を見に行こう。体系を済ませ ながら被災は思った。息子の家にいた時の 自分と今の自分は全く違う人間になった。 以前の自分は息子の母親としてだけ存在し ていた。今の自分は青や木悲さえとして 存在している。それがどんなに幸せなこと か。春が来て被災は1人暮らしを初めて1 年が経った。ま辺に置いた八上の桜が満に なった。小さなワンルームマンションだが 、クエは十分すぎるほど広く感じられる。 ハイキングクラブの仲間たちと花見の計画 を立てている。田中さんはにとって人生で 初めての親友になった。恋愛感定ではない が深い信頼関係で結ばれている。銀行から 定期預金の満期の通知が来た。検態のため に作った口座だ。被災は複雑な気持ちで その通知を見つめた。ケ太はもう中学3年 生になっている。どんな青年に育ったの だろうか。クエの顔を覚えているだろうか 。でも被災は連絡を取ろうとは思わなかっ た。健太には健太の人生がある。祖母の 愛情を必要とする時が来れば健太の方から 来るだろう。その時は被災は喜んで孫を 迎えよう。でも息子夫婦との関係を修復 するつもりはない。実際は定期預金の通知 を大切にしまった。これは検帯の愛情の証 だ。クエの思いはお金の形で検態を待って いる。午後になって田中さんから電話が かかってきた。青やさん、明日の登山の 準備はできましたか?はい。楽しみにして います。天気も良さそうです。きっと 素晴らしい眺めが見られますよう。被災は 微えんだ。明日また新しい景色を見ること ができる。新しい挑戦ができる。74歳に なった日災にはまだまだやりたいことが たくさんある。電話を切った後、被災は鏡 を見た。そこには自分の人生を歩んでいる 女性がいた。疲れた老人ではなく希望に 満ちた人生の先輩がいた。青や木ひさえ。 悲さえは自分の名前を口に出した。その 名前でこれからも生きていこう。誰かの 母親や義母としてではなく、青被さえとし て窓の外では桜の花びが風に待っていた。 新しい季節の始まりを告げるようにクエの 第2の人生はまだ始まったばかりだった。
制作スタッフ
企画・制作
企画・脚本: 山田太郎 (Yamada Tarō)
ストーリーテラー: 田中花子 (Tanaka Hanako)
ナレーター: 佐藤明 (Satō Akira)
技術スタッフ
映像編集: 中村浩 (Nakamura Hiroshi)
音響効果: 小林玲 (Kobayashi Rei)
撮影監督: 渡辺大地 (Watanabe Daichi)
デザイン・アート
イラスト制作: 林美久 (Hayashi Miku)
グラフィックデザイン: 藤原颯太 (Fujiwara Sōta)
アニメーション: 松田結衣 (Matsuda Yui)
管理・運営
プロデューサー: 鈴木健太 (Suzuki Kenta)
ディレクター: 木村奈々 (Kimura Nana)
チャンネル運営: 高橋涼 (Takahashi Ryō)
サポート
リサーチャー: 小川恵美 (Ogawa Emi)
翻訳: 石田健二 (Ishida Kenji)
品質管理: 森本彩香 (Morimoto Ayaka)
音楽制作: 井上拓海 (Inoue Takumi)
音声:
VOICEVOX:青山龍星