「年寄りがこんな大きな家に住んでも意味がない」息子に老人ホーム送りを迫られた72歳の私。その夜、私は静かに微笑んで、ある書類を取り出した。【60代以上の方へ】

母さんが老人ホームに入ればこの家は僕 たちの財産になるんです。息子のコテルが そう言った時、やよいは自分の耳を疑った 。72年生きてきてこんなに衝撃的な言葉 を聞いたのは初めてだった。自分が育てた 息子が自分を家から追い出そうとしている 。しかもやいの知らないところで計画を 立てて、でもその時のやいはまだ知ら なかった。この言葉が彼女の人生を完全に 変える出発点になることを。これは72歳 のやいが自分の尊厳を取り戻した物語です 。やいは72歳になった。夫がなくなって から3年が経ち、息子のコテルと嫁のさ苗 と一緒に暮らしていた。自分の家でその日 の朝やよいがコーヒーを入れようと キッチンに向かうとリビングルームの家族 用のパソコンが開いたままになっていた。 画面には苗えのメールが表示されている。 普段なら見ないものだが懸命が目に入った 。老人ホーム情報へやよいの手が震えた。 メールを読んでしまった。ここなら良さ そうよ。費用も母さんの貯金でなんとか なりそう。施設見学は来週の木曜日は とお母さん には内緒で先に見に行きましょう。 やよいはその場で立ち着くんだ。老人 ホーム自分の貯金で絵コーヒーカップを 持つ手がガタガタと震えている。息子夫婦 は自分を老人ホームに入れようと計画して いる。それもやいの知らないところで やよいは急いでメールを閉じた。早苗が 起きてきたら大変だ。その日の後もやよい は自分の部屋で1人考えていた。最近の 息子夫婦の行動を思い返してみる。確かに 最近冷たくなった気がしていた。でも まさか老人ホームに入れようと考えている なんて。やよいは立ち上がって古いタンス を開けた。夫の異品がまだ入っている 引き出しがある。そこにコーテルが大学に 入学した時にやいが編んであげたケ糸の セーターがあった。く茶食のセーター 今はもうもも玉だらけで色も焦ているやい はそれを手に取った。あの時コテルは とても喜んでくれた。お母さんありがとう 。大学でも着るよと言って何度もお礼を 言ってくれた。それなのに今はやよいは セーターを胸に抱いて座り込んだ。涙が 出走になったがこらえた。泣いている場合 じゃない。まず状況を理解しなければ夕食 の時間こテるとさ苗エが帰ってきた。いつ ものようにやよいは夕食の準備をしていた 。お疲れ様。やよいは声をかけた。あ、 はい。コーテルはそっけなく答えた。 さ苗えは何も言わない。食事中も会話は 少なかった。以前はもっと話していたのに 、最近はテレビを見ながら黙々と食べる ことが多い。食事が終わると苗えが口を 開いた。お母さんお風呂の時間もう少し 短くしてもらえます。高熱費が重んで やよいは橋を置いた。すみません。気を つけます。それとお母さんの部屋の電気台 も結構来てるんです。昼間はあまり電気 つけないでください。やよいは頷いた。 はい。その後息子夫婦はリビングでテレビ を見始めた。やよいは食器を洗いながら彼 らの会話を聞いていた。来週の木曜日有給 取れた苗エの声。うん。取れたホテルの 返事 木曜日 メールに書いてあった施設見学の日だ。 翌日からやいの生活により多くの制限が 加わった。早苗が翌日にタイマーを設置し た。10分で自動的に急闘が止まるように しました。節約のためです。やいは戸惑っ た。10分 です。 長風呂は体にもよくありませんし、さ苗え は冷たくいった。やよいは何も言えなかっ た。自分の家なのに。その夜よいは10分 のタイマーでお風呂に入った。急いで体を 洗いシャンプーをしてタイマーが鳴る前に 出た。翌朝やいが朝早く起きて朝食の準備 をしていると苗が降りてきた。お母さん、 もう起きてたんですか?朝ご飯はもういい です。パンとコーヒーだけで。でもお味噌 汁も作りましたし。いいんです。時間も ないし。それより今日から朝食は各自で 用意することにしませんか?お母さんも 大変でしょうし。やよいは困った。朝食を 作ることはやいにとって1日の始まりの 大切な時間だった。家族のために何かを する最後に残った役割の1つだった。 さ苗えちゃん、私は別に大変じゃ。決め ました。お母さんも無理しないでください 。さ苗えはそう言ってパンをトースターに 入れた。コテルは何も言わなかった。その 日の後もやよいは近所のスーパーに買い物 に出かけた。帰り道で古い友人の田中さん にあった。やよいさん元気?はい。おかげ 様で息子さん夫婦と一緒で良いわね。1人 だと寂しいでしょうし。やよいは曖昧に 笑った。そうですね。うちの娘もね、私を 心配してくれるのはいいんだけど、 あれこれ言われるとねえ。でも家族だから 我慢よ。家に帰るとコテルが仕事から早く 帰っていた。珍しいことだった。お母さん 、ちょっと話があります。やよいは 買い物袋を置いてリビングに向かった。 もすでに座っている。にでしょうか。 やよいは席についた。コテルは1枚の紙の 束をやよいの前に置いた。これはあ、老人 ホームの入居申し込み書です。やいの心臓 が止まりそうになった。お母さんも年です し、1人で生活するのは危険です。専門の 介護を受けられる施設の方が安心だと思う んです。でも私はまだ元気ですし、今は 元気でもこれから先何があるかわかりませ ん。さ苗が口を挟んだ。それにお母さんも 我々に気を使わなくて済むでしょうし、 コーテルは申し込み書を指刺した。ここに サインするだけです。手続きは全部こちら でやりましたから。やいは書類を見た。 入居予定日は来月になっている。でも急 すぎませんか?急いだ方がいいんです。 良い施設はすぐに満員になりますから。 さ苗えの声はうむを言わさない調子だった 。考える時間をください。何を考えるん ですか?コテルが少しイライラした様子で 言った。お母さんのためですよ。やよいは 黙り込んだ。これ以上何を言っても無駄だ ということが分かった。明日までに決めて ください。さ苗えが立ち上がった。私たち も準備がありますから。その夜よいは眠れ なかった。天井を見つめながら夫のことを 考えた。夫が生きていたらこんなことは 起きなかっただろう。 朝やよいは早く起きて夫の異品を整理する ことにした。老人ホームに行くなら持って いけるものは限られる。整理しなければ ならない。夫の古い机の引き出しを開ける と1番下に小さな金属の箱があった。鍵が かかっている。やよいは夫がよく使ってい た小さな鍵を探して開けてみた。中には 古い写真といくつかの重要な書類が入って いた。夫との結婚式の写真、コテルの 赤ちゃんの時の写真、そして 不動産期証明書。やいは書類を手に取った 。確かに自分の名前が記載されている。 この家の所有者はやよいだった。夫が 亡くなった後、正式にやい名義になってい た。やいは書類をじっと見つめた。これは 何を意味するのだろうか。やいは書類に 記載されている法律事務所の電話番号を 確認した。まだ同じ番号が有効かどうか わからないが電話してみることにした。 はい。山田法律事務所です。あの以前お 世話になりました田中やいと申します。 主人の相続のことでお世話になりました。 田中やいさんはい、覚えております。どの ようなご要件でしょうか?あの、不動産の 所有者について確認したいのですが、現在 の登期場の所有者は私で間違いない でしょうか?少々お待ちください。確認 いたします。しばらくまったも はい。田中やいさん名義で登記されており ます。変更等は一切ございません。 ありがとうございます。やよいは電話を 切った。この家は確実に自分のものだった 。午後もやよいわを消して山田法律事務所 に向かった。山田弁護士は親切にいを迎え てくれた。田中さん、お久しぶりです。 どうされましたか?やよいは状況を説明し た。息子夫婦が自分を老人ホームに 入れようとしていること。そして今朝の 電話の件について山田弁護士は真剣に聞い ていた。田中さん、まず確認したいのです が、あなたは老人ホームに入ることを本当 に望んでいらっしゃいますか?いいえ。 まだ自分のことは自分でできますし、この 家で生活したいです。であれば息子さん 夫婦にはあなたを強制的に老人ホームに 入れる権利はありません。この家はあなた の財産です。でも家族なのに争いたくない んです。山田弁護士は頷いた。お気持ちは 分かります。しかし田中さん1つ アドバイスをさせていただくとすれば息子 さん夫婦の本当の意図を確認された方が 良いかもしれません。本当のID つまり録音等で彼らの発言を記録しておく ということです。あ々何かあった時の証拠 になります。 いは考え込んだ。息子の発言を録音する なんて。田中さん、これは争うためでは ありません。真実を明らかにし、あなたの 権利を守るためです。その夜は携帯電話の 録音機能について調べた。最近の携帯電話 は簡単に録音できるようだ。翌日、やいは 3つの不動産会社にメールを送った。 家の住所と簡単な情報を送って査定をお 願いしますと書いた。返事は思ったより 早く来た。3者とも似たような査定額を 提示してきた。やよいが思っていたより 高い額だった。この家にはそれだけの価値 があるのか。木曜日夫婦は朝早く出かけて いった。仕事の打ち合わせと言っていたが 、やいには分かっていた。施設見学に行く のだ。その日の後、やよいは1番高い査定 額を提示してくれた不動産会社に電話した 。田中と申します。昨日メールでお 問い合わせした件ではい、田中様、お電話 をお待ちしておりました。実際に拝見させ ていただければより正確な査程ができます が、来週平日の午前中に来ていただけます か?もちろんです。火曜日の10時は いかがでしょうか?お願いします。金曜日 の夜、息子夫婦が帰宅した時、やよいは 夕食の準備をしていた。お疲れ様でした。 はい。ホテルの返事はそっけなかった。 夕食中苗が口を開いた。お母さん申し込み 書の件はどうなさいますか?やよいは橋を 置いた。もう少し考えさせてください。何 を考えることがあるんですか?コテルが 少し声を荒げた。お母さんのためを思って 言ってるんですよ。やよいは携帯電話の 録音ボタンを押した。 テーブルの下で見えないように操作した。 どういう風に私のためなんでしょうか? 決まってるじゃないですか。お母さんは年 ですし、1人で生活するのは危険です。 それにコテルは1呼吸をいた。それにいい 。お母さん正直に言いますが、この家は もう必要ないでしょう。お母さんが老人 ホームに入ればこの家は僕たちが使えるし 、管理も僕たちがします。でもこの家は お母さん年寄りがこんな大きな家に1人で 住んでいても意味がないんですよ。この家 は僕たちの財産なんですから。やいの心臓 がドキドキしていた。録音は続いている。 財産。そうです。お父さんが亡くなって、 この家は家族の財産になったんです。 お母さんが老人ホームに入れば僕たちが この家を有効活用できます。さ苗えも 加わった。お母さん、私たちも結婚して から長いですし、もっと広いところに住み たいんです。この家なら十分な広さがあり ますし、でもこの家は私のお母さんの何 ですか?コテルが遮え切った。お母さんは もう年なんです。この家を管理する能力も ないし必要もないでしょう。やいは震える 手で録音を停止した。十分だった。わかり ました。考えてみます。その夜、やいは 録音を何度も聞き返した。息子の声が はっきりと録音されている。この家は僕 たちの財産なんですから。年寄りがこんな 大きな家に1人で住んでいても意味がない 。涙が出た。でも今度は悲しみの涙では なかった。怒りの涙だった。火曜日の朝、 息子夫婦が仕事に出かけた後、不動産会社 の営業マが来た。田中様のオタですね。 本日は佐定のお時間をいただきありがとう ございます。やよいは家の中を案内した。 営業マは丁寧に書く部屋を見てメモを取っ ていた。立チも良いですし、建物の状態も 良好ですね。先日メールでお送りした査定 額で間違いないと思います。本当にその 値段で売れるんでしょうか?はい。この 地区は人気がありますからすぐに買い手が 見つかると思います。もし売る場合手続き はどのくらい時間がかかりますか?書類が 揃えば1ヶ月程度で完了できます。ただし 、田中様が単独の所有者でいらっしゃい ますので、他の方の同意は必要ありません 。やよいは頷いた。ありがとうございまし た。検討します。その日の夕方息子夫婦が 帰宅した。お母さん、申し込み書の返事は どうでしょうか?が最初に口を切った。 やよいは立ち上がった。お話があります。 やよいはリビングのテーブルに2つのもの を置いた。1つは携帯電話。もう1つは不 動産当期証明書。これは何ですか? コーテルが下げ元層に見た。やよいは携帯 電話の録音を再生した。お母さんは年です し、1人で生活するのは危険です。それに この家は僕たちの財産なんですから。 年寄りがこんな大きな家に1人で住んでい ても意味がないんですよ。コテルの声が リビングルームに響いた。コテルとさ苗え の顔が青ざめた。お母さんなんで録音 なんか やいは不動産当期証明書を指刺した。この 家の所有者は私です。あなたたちの財産で はありません。でもお母さん僕たちは家族 じゃないですか?お母さんのことを考えて 、私のことを考えてえ、やよいの声は静か だったが力強かった。私を老人ホームに 入れて私の家を取り上げることが私のため ですか? が慌てて口を開いた。お母さん誤解です。 私たちは本当にお母さんのことをやよいは 老人ホームの申し込み書を指刺した。これ はあなたたちの決定です。私の決定では ありません。お母さんお願いします。家族 なんですから話し合いましょう。コテルが 懇願するような声で言った。やよいは 立ち上がった。話し合いは終わりました。 翌日やよいは不動産会社に電話した。売却 の件お願いします。承知いたしました。 書類を準備いたします。明日の後も契約書 を自賛いたします。木曜日の後も不 動産会社の営業マが契約書を持ってきた。 やよいはリビングルームで息子夫婦が見て いる前で契約書にサインした。田中様、 ありがとうございました。来月末までに 決済を歓迎いたします。こテルとさ苗エは 言葉を失っていた。営業マが帰った後、 さ苗エが泣きながら言った。お母さんどう してこんなことを?1ヶ月の猶予を 差し上げます。やよいは冷静に言った。 新しい住まを見つけてください。お母さん 、僕たちには行く当てがないんです。 コテルが必死に訴えた。それは私の問題で はありません。やいは自分の部屋に戻った 。契約書のコピーを眺めながら不思議な 気持ちだった。悲しくもなく怒ってもい ない。ただす々しい気持ちだった。1ヶ月 後の朝やよいは早く起きて最後のりを終え た。 大きなスーツケース2つといくつかの ダンボール箱。72年の人生の思い出は こんなにコンパクトになるものかと思った 。午前8時、息子夫婦がまだ寝ている間に やよいは静かに家を出た。キッチンの テーブルに家の鍵を置いて、新しい住まい は駅の近くのマンションの異室だった。 1人暮らしには十分な広さで管理人もいる から安心だ。午前10時やいの携帯に銀行 からメールが届いた。不動産売却代金の 入金が完了いたしました。やよいは口座 残高を確認した。予想以上の金額だった。 これで老後の心配はない。その日の後も やよいは近くの公園を散歩した。ベンチに 座っていると同じような年齢の女性が犬を 連れて通りかかった。こんにちは。その 女性が声をかけてきた。こんにちは。この 辺りは初めてですか?ええ、先日引っ越し てきたばかりです。そうですか。私は鈴木 と言います。毎朝この公演を散歩してるん です。よろしかったらご一緒しませんか? 田中です。よろしくお願いします。よく朝 からやよいは鈴木さんと一緒に公演を散歩 するようになった。他にも何人かの近所の 人たちが加わって小さな散歩グループが できた。みんな1人暮らしの高齢者だった 。でも皆生きとしていた。自分の生活を 自分でコントロールしている人たちだった 。田中さん、前はどちらにお住まいでした か?鈴木さんが尋ねた。息子夫婦と一緒に 住んでいました。一緒に住むのも良いです が、やっぱり自分のペースで生活したく なりますよね。やよいは頷いた。そうです ね。3ヶ月が経った頃、やよいの携帯電話 が鳴った。息子からだった。お母さん、お 久しぶりです。はい。お母さん、お元気 ですか?僕たちアパートを借りて何とか 生活しています。そうですか。あの、 お母さんにお願いがあるんです。やよいは 黙って聞いていた。実は新しい事業を始め たいと思っているんです。これでまとまっ たお金が必要なんです。お母さん貸して いただけないでしょうか?やいは深い ため息をついた。お母さん、私の財産は私 の老語のためのものです。あなたの事業の ためではありません。でもお母さん、僕は 息子ですよ。家族でしょう。家族だから こそはっきりと申し上げます。私は今自分 の人生を自分で選択して生きています。 あなたたちの都合に合わせて生きる気は ありません。やいは電話を切った。その日 の夕方やよいは新しいマンションの バルコニーで紅茶を飲みながら本を読んで いた。夕日が美しかった。鈴木さんから メールが来た。明日の散歩新しいコースを 歩いてみませんか?桜並きが綺麗だそう です。やよいは返事を打った。是非お願い します。楽しみです。桜が先始めた4月の 朝やよいは散歩グループの仲間たちと 新しいコースを歩いていた。綺麗ですね。 やよいが桜を見上げていった。田中さん、 前より表情が明るくなりましたね。鈴木 さんが言った。そうでしょうか。ええ、 最初にお会いした時は何か心配事がある ような顔をされていましたが、やいは微だ 。心配事ごとはなくなりました。それは 良かった。散歩から帰ってやよいは鏡を見 た。確かに前より表情が明るい 背筋も伸びている。午後やいは近くの図書 館に行った。新しくできた趣味として特書 を始めていた。小説やエッセを読むのは 久しぶりだった。図書館の帰り道やよいは 小さなカフェに入った。1人でコーヒーを 飲むのも最近覚えた楽しみの1つだった。 隣のテーブルで親子らしい2人が話してい た。お母さん、心配だから一緒に住もうよ 。息子らしい男性が言っている。でも あなたたちには家族があるでしょう。私は 1人で大丈夫よ。母親らしい女性が答えて いる。でも大丈夫。私は自分のことは自分 でできるし、何かあったら連絡するから。 やよいはほっとした。こういう親子もいる んだなと思った。夏になった。やよいは 毎日を充実して過ごしていた。朝の散歩、 午前中の読書の買い物や図書館。夕方は テレビを見たり、音楽を聞いたり、時々 散歩仲間と一緒にお茶をしたり、誰にも 邪魔されない自分だけの時間。今日は特別 な日だった。不動産の売却が完了してから 半年が経った日。やよいは自分へのご褒美 として少し高級なレストランで1人ランチ をすることにした。レストランでは窓際の 席に座った。 外の緑が美しい。ウェイトレスが注文を 取りに来た。お1人様ですか?はい。 やよいは堂々と答えた。以前なら1人で レストランに入ることは恥ずかしいと思っ ていた。でも今は違う。1人でいることは 恥ずかしいことではない。自由なことだ。 料理を待ちながらやよいは携帯電話で銀行 の残高を確認した。十分な金額が残って いる。これで当分の間お金の心配をする 必要はない。料理が運ばれてきた。美味し そうなパスタとサラダ。お1人でのお食事 ですが何かお祝いご事ですか? ウェイトレスが親しみやすそうに聞いてき た。やよいは微んだ。 独立記念日です。素敵ですね。ファキが 深まった頃、やよいは散歩中に昔の家の前 を通りかかった。糸的に避けていた道だっ たが、今日はなぜか足が向いた。家の前に は売り物県の看板が立っていた。庭の 手入れが行き届いていない。雑草が伸びて いる。やよいは立ち止まって家を眺めた。 30年間住んだ家、夫と一緒に選んだ家、 息子を育てた家。でももう懐かしさは感じ なかった。ただ過去の一部として記憶に 残っているだけだった。お母さん 振り返るとホテルが立っていた。買い物袋 を持っている。はパートから買い物に 出かける途中だったのだろう。こんにちは 。やよいは普通に挨拶した。お母さん元気 そうですね。コテルは複雑な表情をしてい た。おかげ様であのお母さんコテルは 言いどんだ。この間の電話の件ですけど、 もう住んだことです。やよいはきっぱりと 言った。でも僕たち本当にお母さんのこと を心配してたんです。 いはコテルを見つめた。あなたの心配は私 には必要ありません。お母さん、私は今 とても幸せです。誰にも邪魔されずに自分 の好きなように生活しています。あなた たちも自分たちの人生を生きてください。 やよいはそれだけ言って歩き続けた。 振り返らなかった。家に帰ると鈴木さん からメールが来ていた。田中さん、今度皆 でお芝居を見に行きませんか?あ、 チケット取りました。やよいは嬉しくなっ て返事を書いた。是非参加させてください 。楽しみです。夕方やよいはバルコニーで 夕日を見ながら考えていた。息子に会った ことで改めて自分の決断が正しかったこと を確認できた。 もう公開はない。初雪が降った日、やよい は温かい部屋で本を読んでいた。暖房も 好きなだけ使える。フォロも好きなだけ 入れる。誰にも遠慮する必要がない。 こぼえから電話がかかってきた。お母さん お元気ですか?はい。お母さん。私たち あの時は本当に申し訳ありませんでした。 やよいは黙って聞いていた。私たち お母さんのことを本当に心配していたん です。でもやり方が間違っていました。 そうですね。お母さん、もしよかったら 今度お食事でも一緒にいかがですか? やよいは少し考えた。 さん、お気持ちはありがたいですが、私は 今の生活に満足しています。過去のことは 忘れてお互い前向きに生きていきましょう 。でも私たちはもうそれぞれの人生を歩ん でいます。それで良いのではないでしょう か。電話を切った後、やよいは窓の外の雪 を眺めた。雪は静かに降り続いている。今 のやいには雪の美しさを楽しむ余裕があっ た。以前なら雪かきのことを心配していた だろう。でも今は管理人さんがやって くれる。夜散歩仲間の田村さんから電話が あった。田中さん、明日雪が止んだら皆で 雪を見に行きませんか?素敵ですね。是非 友人たちとの時間がやいの生活を豊かにし ていた。お互いの教遇を理解し合っている 仲間との時間は家族との時間より 心地よかった。やヨいが新しい生活を始め てから1年が過ぎた。この日やよいは散歩 仲間たちと一緒に少し遠い公園まで足を 伸ばしていた。田中さん本当に表情が 変わりましたね。田村さんが言った。1年 前にお会いした時とは別人のようです。 鈴木さんも同意した。やよいは笑った。皆 さんのおかげです。いいえ。田中さんが 頑張ったからですよ。公園のベンチで休憩 していると若いお母さんが小さな子供を 連れて遊んでいるのが見えた。あの年齢が 1番可愛い時期ね。鈴木さんが言った。 そうですね。やよいも同意した。でも昔の ように孫が欲しいとは思わなかった。今の 自分の生活で十分満足していた。こも家に 帰ると宅配便が届いていた。管理さんが 預かってくれていた。差し出し人を見ると 法律事務所からだった。山田弁護士からの 手紙だった。田中様、その後いかがお 過ごしでしょうか?1年前のご相談の件、 良い方向に解決されたとお聞きしています 。もし何かご不明な点がございましたら いつでもご連絡ください。親切な手紙だっ た。山田弁護士の助言がなければ今の生活 はなかっただろう。夕方やよいは バルコニーでコーヒーを飲みながら1年を 振り返っていた。この1年で自分がどれ だけ変わったか。以前は息子夫婦の顔色を 伺いしながら生活していた。でも今は違う 。自分の意思で決断し行動できる。それは 年齢とは関係なかった。72歳でも新しい 人生を始めることができる。2度目の春が やってきた。 いは散歩コースの桜並きを歩いていた。 去年とは違う気持ちで桜を見ている。去年 は新しい生活に不安もあった。でも今年は 確信を持って桜を楽しめる。田中さん、 今日は1人ですか?通りかかった近所の人 が声をかけてきた。はい。たまには1人で ゆっくり歩きたくて素敵ですね。私も たまに1人散歩します。1人でいることが 自然になった。1人でいることを楽しめる ようになった。散歩から帰る途中、やよい は小さな花屋に立ち寄った。自分の部屋に 花を飾ろうと思ったのだ。いらっしゃい ませ。天手が明るく迎えてくれた。やよい は小さなブーケを選んだ。明るい色の花 たち。お祝いごとですか?天手が訪ねた。 自分への贈り物です。やいは微んだ。家に 帰って花をカ瓶に行けた。部屋が明るく なった。その夜よいは日記を描いた。1年 前から始めた習慣だった。今日で新生活を 始めて1年と1ヶ月。毎日が充実している 。朝起きるのが楽しみ。今日何をしようか 、誰に会おうかと考える時間が幸せ。息子 のことはもう心配していない。彼らは彼ら の人生を歩んでいる。私は私の人生を歩ん でいる。それで良いのだと思う。72歳で 新しい人生を始めるなんて1年前は考えも しなかった。でも今はこれからの人生が とても楽しみ。明日は何をしようか。天気 が良かったら散歩仲間と少し遠いカフェ まで歩いてみよう。1人でも良いし、皆と 一緒でも良い。どちらも楽しい。私は今 本当に自由だ。 初下のある日、鈴木さんが面白い提案をし てきた。田中さん、私たちパソコン教室に 通ってみませんか?パソコン教室?はい。 最近の高齢者向けのパソコン教室があるん です。メールの使い方とかインターネット での買い物とか便利そうじゃないですか? やよいは考えた。パソコンは息子夫婦と 住んでいた時もほとんど触ったことが なかった。でも今なら新しいことに挑戦し てみたい気持ちがある。やってみましょう か。2人は市民センターのパソコン教室に 申し込んだ。最初の授業の日、やよいは 少し緊張していた。でも教室に入ると自分 たちと同じような年齢の人たちが何人もい た。皆さん今日から6週間一緒に勉強し ましょう。先生は若い女性だったが、 とても親切だった。最初はマウスの使い方 から始まった。やよいの手は最初震えてい たが、だんだん慣れてきた。3週間目、 やよいは初めてメールを送った。送り先は 鈴木さん。鈴木さん、初めてのメールです 。田中、すぐに返事が来た。田中さん届き ました。すごいですね。私も頑張って覚え ます。6週間のコースが終わる頃には やよいは1人でインターネットで買い物が できるようになっていた。本も服も食料品 も家にいながら注文できる。便利ですね。 やよいは鈴木さんに言った。そうですね。 でも散歩は続けましょう。もちろんです。 新しい技術を覚えることでやいの世界が さらに広がった。1人の時間がより充実 するようになった。7月のある暑い日、 やいの元に一通の手紙が届いた。差し出し 人はテルだった。手紙にはこう書いてあっ た。お母さんへ突然の手紙で申し訳あり ません。お母さんがお元気でお過ごしの ことと思います。僕たちも新しいアパート での生活になれました。早苗も働き始めて 何とか生活しています。お母さん、あの時 は本当にひどいことを言いました。今 思い返すと恥ずかしくて申し訳ない気持ち で一杯です。お母さんの家を勝手に自分 たちのものだと思い込んでお母さんを老人 ホームに入れようとして僕たちは最低でし た。でもお母さんの行動を見て僕たちも 反省しています。お母さんは本当に強い人 だと思いました。お母さんに謝りたくて この手紙を書きました。許してくださいと は言いません。でもお母さんが幸せに 暮らしていることを心から願っています。 コテル やよいは手紙を最後まで読んだ。そして 手紙を机の引き出しにしまった。返事は 書かなかった。もう過去を振り返る必要は ない。息子が反省しているのは良いことだ が、それと自分の人生は別のことだ。夕方 散歩仲間の田村さんが遊びに来た。田中 さん、何か良いことありました?表情が 晴れやかですね。手紙を整理していました 。やよいは簡単に答えた。そうですか。私 も時々古い手紙を読み返すことがあります 。懐かしいですよね。今日読んだ手紙は 懐かしいものではありませんでした。 とても整理できてよかったです。田村さん は詳しく聞かなかった。みんなそれぞれに 事情があることを理解していた。夜やいは バルコニーで有すをしながら考えていた。 息子からの手紙で完全に過去と決別できた 気がした。もう罪悪感も寂しさも感じない 。自分の選択は正しかった。これからも 自分の人生を自分で選択していく。秋が 深まり、やいの新しい生活は2年目に入っ た。今のやいの1日は充実している。ファ 6時に気勝。窓を開けて新鮮な空気を吸う 。7時から朝の散歩。散歩仲間と一緒に 季節の変化を楽しみながら歩く。8時半に 帰宅して朝食。 好きなパンと好きなコーヒー 急ぐ必要がないのでゆっくりと味わう。 午前中は読書かパソコン。最近は インターネットで各地の観光情報を調べる のが楽しみだ。いつか旅行に行ってみたい 。 後は昼寝。誰にも文句を言われない。午後 は買い物や図書館、時々友人到着。夕方は 料理。1人分だけど好きなものを好きな ように作る。夜はテレビや音楽、時々友人 と電話。就寝時間も自由。眠くなったら 寝る。誰かの都合に合わせる必要がない。 これがやいが求めていた生活だった。今日 は特別な日だった。パソコン教室で一緒 だった仲間たちと初めて日帰り旅行に 出かける予定だった。朝集合場所の駅で皆 と待ち合わせた。田中さんおはようござい ます。鈴木さんが嬉しそうに手を振った。 おはようございます。良い天気になりまし たね。総税8人の小旅行。目的地は海辺の 小さな町だった。 の中で会りがはんだ。それぞれの近況や 趣味の話。田中さんは以前はどんなお仕事 をされていたんですか?は1人が尋ねた。 専業主婦でした。主人が亡くなってから こんなに自由な時間を持つのは初めてです 。そうですか。でも今は毎日楽しそうです ね。はい。毎日が新鮮です。海辺の町に 着くと塩風が気持ちよかった。やよいは 深く息を吸った。海を見るのも久しぶり です。一は海辺を散歩し、地元の美味しい 回線料理を食べ、土産物店を見て回った。 帰りの電車でも買草だった。次はどこに 行きましょうか?誰かが提案した。温泉は どうですか?良いですね。やよいも楽し そうに愛槌を打った。これからもこんな 楽しい時間が続いていく。3年目の春 やよいは新しい趣味を始めていた。絵画 教室に通い始めたのだ。田中さん絵の才能 がありそうですね。先生に褒められた。 ありがとうございます。楽しくて水彩だ から始めて最近はも挑戦している。時間を 忘れて筆を動かしている時間がやいは 大好きだった。ある日の後も絵画教室から 帰ってきたやいの元に電話がかかってきた 。こうからだった。3年ぶりの電話だった 。お母さんお元気ですか?はい。お母さん 突然ですがお願いがあります。やよいは 黙って聞いていた。実は病気になって しまいました。手術が必要なんです。そう ですか。それで医療費がかかるんです。 お母さん少し助けていただけないでしょう か?やよいは静かに答えた。こあさん、 それはお気の毒です。 でも私には関係のないことです。お母さん の命がかかってるんです。それならあなた が何とかするべきです。銀行でお金を 借りるとか保険を使うとかでもお母さんに は十分なお金があるでしょう。やよいの声 は冷静だった。私のお金は私の老語の生活 のためのものです。あなたたちが私を老人 ホームに入れて私の家を取り上げようとし た時から私たちはもう他人です。お母さん 、それでも僕は息子ですよ。息子ならなぜ 3年間何の連絡もしなかったのですか?お 金が必要になった時だけ連絡してくる あなたを息子とは思いません。電話の 向こうでコーテルが何か言いかけたが、 やいは最ぎった。これで最後にします。 もう電話してこないでください。あなた たちは自分たちの人生を自分たちで何とか してください。やよいは電話を切った。 そして携帯電話の設定でコーテルの番号を 着信拒否にした。夕方やよいはいつもの ようにバルコニーでコーヒーを飲んでいた 。今度の電話でも同揺しなかった。3年前 ならきっと心配して眠れなくなっていた だろう。でも今は違う。自分の人生は自分 で責任を持つ。他人の人生まで責任を持つ 必要はない。例えそれが息子であっても やいは海画教室で描いた絵を眺めた。海の 絵だった。青い空と青い海。自由で広い 世界を描いた絵。これが今の自分の気持ち だ。広くて自由です々しい。やよいが 新しい生活を始めてから5年が過ぎた。 今年で77歳になったや宵いは毎日を充実 して過ごしている。朝の散歩、読書、絵画 、パソコン、友人との交流。旅行にも何度 か言った。健康状態も良好だ。定期検診で も意思から年齢の割にとても元気ですねと 言われている。精神的なストレスがない からでしょうか。やいは意思に答えた。 それも大きいでしょうね。ストレスは満病 の元ですから。今日は特別に美しい朝だっ た。やよいはバルコニーで朝のコーヒーを 飲みながら庭の花バ花を眺めていた。 マンションの小さな庭だが季節ごとに花が 咲いて美しい。管理さんが手入れをして くれている。午前9時鈴木さんから電話が あった。田中さん、今日は散歩お休みし ませんか?私の娘が孫を連れて遊びに来る んです。よかったら一緒にお茶しませんか ?ありがとうございます。是非 鈴木さんの部屋で可愛い魔物の相手をした 。3歳の男の子でとても元気だった。お ばあちゃん、この人誰へ?男の子が鈴木 さんに聞いた。 おばあちゃんよ。おばあちゃんのお友達。 こんにちは。男の子が丁寧にお辞儀した。 やよいは微えんだ。可愛い子だった。でも 昔のように孫が欲しいとは思わなかった。 今の生活で十分満足していた。午後やよい は1人で本屋に出かけた。新しい本を買う ためだ。本屋で偶然見かけた光景があった 。老人ホームの職員らしい人が車椅子の 老女を連れて本を選んでいた。おばあ ちゃん、どの本がお好みですか?職員が 優しく聞いている。どれでもいいです。 老女は力なく答えた。やよいは胸が 締めつけられた。もしかしたら自分もあの 老女のようになっていたかもしれない。 息子夫婦の言うままに老人ホームに入って いたら、今頃はあの老女のように自分で本 も選べなくなっていたかもしれない。 やよいは自分の選択の正しさを改めて確信 した。夕方家に帰ると管理人さんが声を かけてきた。田中さん、今度新しい入居者 が入られます。田中さんと同じくらいの5 年齢の女性です。よろしかったら仲良くし てあげてください。はい、もちろんです。 新しい仲間が増えるのは嬉しいことだった 。もしかしたら自分と同じような胸の人か もしれない。その夜は日記を書いた。今日 で新生活5年目。毎日が平穏で幸せ。朝 起きるのが楽しみで夜眠るのも心地よい。 5年前の自分に言ってあげたい。大丈夫。 あなたの選択は正しい。これからもっと 良い日々が待っていると。77歳の今私は 本当に自由だ。誰にも遠慮せず誰の顔色も 伺わず自分の好きなように生きている。お 金の心配もない。健康の心配もない。人間 関係の悩みもない。 息子のことはもう考えない。彼は彼の人生 を生きている。私は私の人生を生きている 。それで良い。明日は何をしようか。天気 が良かったら散歩仲間と新しいカフェに 行ってみよう。午後は絵画教室。夜は 新しく買った本を読もう。毎日が洗濯の 連続。小さな選択も大きな選択も全て自分 で決められる。これが私が求めていた人生 だった。 やヨいは日記を閉じてバルコケイニーに出 た。夜空には星が美しく輝いていた。 やよいは深く息を吸った。すがす々しい夜 の空気。77歳のやいは心の底から満足し ていた。自分で選択した人生、自分で 切り開いた道、これからもこの道を歩んで いく。静かな微笑みを浮かべながらやよい は部屋に戻った。明日もまた新しい1日が 始まる。自由で平穏で幸せな1日

制作スタッフ
企画・制作

企画・脚本: 山田太郎 (Yamada Tarō)
ストーリーテラー: 田中花子 (Tanaka Hanako)
ナレーター: 佐藤明 (Satō Akira)

技術スタッフ

映像編集: 中村浩 (Nakamura Hiroshi)
音響効果: 小林玲 (Kobayashi Rei)
撮影監督: 渡辺大地 (Watanabe Daichi)

デザイン・アート

イラスト制作: 林美久 (Hayashi Miku)
グラフィックデザイン: 藤原颯太 (Fujiwara Sōta)
アニメーション: 松田結衣 (Matsuda Yui)

管理・運営

プロデューサー: 鈴木健太 (Suzuki Kenta)
ディレクター: 木村奈々 (Kimura Nana)
チャンネル運営: 高橋涼 (Takahashi Ryō)

サポート

リサーチャー: 小川恵美 (Ogawa Emi)
翻訳: 石田健二 (Ishida Kenji)
品質管理: 森本彩香 (Morimoto Ayaka)
音楽制作: 井上拓海 (Inoue Takumi)

音声:
VOICEVOX:青山龍星

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