【実話の物語】母の最終作戦!76歳の母と、思いやりのない息子との闘い

1度でも自分の声が自分の家の中で見え なくなったと感じたことはありますか?力 を振り絞っていいと言ってもその言葉が 空気に溶けて消えてしまう。まるで誰も 理解できない言語を話しているかのように 。これは1人の母親の旅の始まりです。 手遅れになる前に自分の声を取り戻すたの 始まりなのです。視聴者の皆様、そして皆 さん、私たちのチャンネルに戻ってきて くださりありがとうございます。今日は1 つの物語を一緒に聞いていきましょう。 多くの人の心に触れるかもしれない深い 内面の語り。東京外の住宅街の一角に地区 30年を超える小さな一見がある。その家 で1人暮らしているのは鈴木ふ子さん。 76歳だった。夫のけ一さんを3年前に 真金高速でなくしてからこの家は彼女1人 の住まいとなっていた。リビングにはけ一 さんが愛用していた川張りのソファーが そのまま置かれ、仏壇の前には毎朝新しい 水とご飯が備えられている。庭の小さな 再園ではけ一さんが植えたトマトの苗が 今年も身をつけていた。この家はふみ子 さんに通って40年以上の思い出が詰まっ た大切な場所だった。子供たちが小さかっ た頃の運動会の写真、家族で海に行った時 のアルバム、息子の竹が野球をしていた時 のトロフィー、娘のユが描いた小学生の頃 の しかしここ数年この家はふみ子さんにとっ て疲労を蓄積する場所にもなっていた。 ふみ子さんには2人の子供がいる。長男の 部は43歳で妻のエミと2人の子供と共に 車で1時間ほどの隣町に住んでいる。エミ は39歳の占領主婦で子供たちは高校1年 生の娘と中学2年生の息子だった。たは 地元の建設会社で現場監督をしており、 エミは地域の不人会活動に熱心だった。 事女のユは39歳で夫と共に新幹線で3 時間かかる地方都市に住んでいる。ユナは 地元の銀行で働いており結婚してから10 年が経つが子供はいない。夫は教師をして おり、2人とも忙しい毎日を送っている。 ユナは年に3回しか実家に帰ることができ ず、普段は電話やメールでのやり取りが 中心だった。ふみこさんの悩みの種はたの 家族の規制だった。彼らは母の家を無料の ホテルのように扱っているように感じられ た。正月、ゴールデンウィーク、お盆の度 に必ずと言っていいほど1週間から10 日間も滞在するのが習慣となっていた。た は実家なんだから当然でしょうという顔を して、まるで自分の権利であるかのように 母の家を使っていた。 ふみ子さんの1日は普段なら朝6時に起き て仏壇にお参りし簡単な朝食を取り庭の 手入れをして午前中に買い物を済ませは 少し昼寝をして夕方には近所の友人と散歩 するそんな穏やかなリズムだった。しかし たの家族が来ると全てが一転した。まず 新部の準備から始まる柔労働があった。 普段使わない客用布団一教2階の奥の 押入れから引っ張り出さなければならない 。不毛布団、掛け布団式布団枕団 カバー 全てが重く76歳のふみ子さんには1つ1 つが大きな負担だった。階段を何度も往復 し息を切らしながら布団を運ぶ。として 長い間しまい込まれていた布団には湿気と か神臭さがこびりついているため全て選択 しなければならない。洗濯機は古い方で 埋毛布団は入らない。近所のコイン ランドリーまで重い布団を持っていきと 乾燥を待つ間の2時間。ふみ子さんは硬い プラスチックの椅子に座って待ち続ける。 腰が痛くなり、膝が痛くなり、それでも 家族のために我慢する。布団が乾いたら また思い荷物を抱えて家まで運ばなければ ならない。新具の準備が終わると今度は 食事の準備が待っている。たの家族は4人 家族でそれぞれに好みがあった。たは子供 の頃から肉料理が好きで特にハンバーグや 唐揚げを好む。は健康思考で野菜中心の 料理を好み、塩分を控えめにして欲しいと いう。高校生の娘は最近ダイエットを気に していて米を少なめにして欲しいという。 中学生の息子は好き嫌いが激しく魚が嫌い で野菜もほとんど食べない。ふみこさんは 1日3食4人分の食事を作らなければなら ない。朝は7時から準備を始め、昼食の 準備が終わるとすぐに夕食の買い物に 出かける。スーパーまでは自転車で十分 かかり、思い物袋を乗せて帰る道のりは 年置いた体にはからかった。夕食の準備は 午後3時から始め、6時には食卓に並べる 。食後の片付けが終わるのは夜8時を 過ぎることも珍しくなかった。浴室の掃除 も大きな負担だった。普段ならふみ子さん 1人が使うだけなので簡単な掃除で済む。 しかし4人の家族が使った後の浴室は 排水溝に髪の毛が詰まり、石鹸カスが壁に 飛び散りシャンプーやボディソープの容器 が散乱している。ふみ子さんは膝をついて 欲草を磨き、床を灰つ配って排水溝の掃除 をする。関節が痛み、息が上がるが家族に 汚れた浴室を使わせるわけにはいかない。 洗濯物の量も普段の3倍以上になる。たと 笑の衣類、子供たちの制服や部活動の衣類 、タオル類、下着類。ふみ子さんの古い 選択機では1度に洗いきれず1日に3回4 回と洗濯機を回す。この星スペースが足り ず家中のあちこちに洗濯物を干すことに なる。雨の日は部屋の中が洗濯物だらけに なり、湿気で息き苦しくなる。そして 何より辛いのは精神的な負担だった。たの 家族が滞在している間、ふみ子さんには プライベートな時間というものが存在し なくなる。朝起きてから夜寝るまで常に 良い母親良い祖母を演じ続けなければなら ない。好れていても笑顔を作り、文句を 言わずに世話を焼き、家族の会話に合わせ て愛槌を打つ。テレビのチャンネルも家族 の好みに合わせなければならない。ふみ子 さんは普段朝の連続テレビ小説と夜の時代 劇を楽しみにしているが、子供たちが アニメやバラエティ番組を見たがると ふみ子さんは自分の部屋に引っ込むしか ない。しかし自分の部屋にいても下から テレビの大音量や家族の笑い声が聞こえて きてなぜか阻害感を感じてしまう。睡眠の 質も大幅に悪化する。普段なら夜10時に は床に着き朝まで静かに眠ることができる 。しかし家族が滞在している間は夜遅く までリビングで話し声やテレビの音が 聞こえ、朝は早くから子供たちが走り回る 音で目が覚める。ふみ子さんの部屋は1階 にあり、2階に止まる家族の足音も響いて くる。眠りが浅くなり、日中も疲労感が 抜けない。年明けの1月中旬、ふみ子さん は陽手にメッセージを送った。正月休みが 終わり、ようやく1人の時間を取り戻した ふみ子さんは次の規制について先手を 打とうと考えた。ゴールデンウィークまで にはまだ時間がある。今回こそは自分の 意思を伝えなければならない。ふみ子さん は携帯電話の前で1時間以上も考えた。 どんな言葉を使えば息子に伝わるだろうか 。きつすぎてもいけない。優しすぎても 流されてしまう。何度も文章を打っては 消し、打っては消しを繰り返した。最終的 に彼女が選んだのは短く、しかし明確な 文章だった。今年は帰ってこなくていい からね。しかしこれだけでは冷たすぎると 思い、理由も付け加えることにした。 ふみこさんは正直に自分の状況を説明 しようと思った。お母さん体調があまり 良くないの。こんなに寒いと動くのが大変 で疲れが回復しないのよ。ふみ子さんは 1号1号を慎重に選んだ。体調が悪いでは なくあまり良くないという表現を使い動け ないではなく動くのが大変と言い換えた。 できるだけ深刻に聞こえないよう、しかし 確実に自分の状況を伝えようとした。息子 に心配をかけたくないでも理解してもらい たい。その複雑な気持ちが言葉の選択に 現れていた。メッセージを送信した後、 ふみ子さんは携帯電話を手に持ったまま しばらく座り込んでいた。胸がドキドキし て手が震えていた。息子は何と返事をする だろうか。心配してくれるだろうか、それ とも起こるだろうか。様々な可能性が頭を 巡り、落ち着かない時間が過ぎた。30分 後、携帯電話が震えた。たからの返信だっ た。ふみ子さんは恐る恐る画面を見た。 ああ、そうですか。じゃあ1週間ずらし ますね。僕たちは11日に行きます。 ふみ子さんは画面を2度3度と読み返した 。母の健康を心配する言葉は1つもない。 大丈夫ですか?もう病院に行った方がいい ですか?もうない。ただ日程を変更すると いう事務的な連絡があるだけだった。 ふみ子さんの明確な拒絶帰ってこなくて いいわ。だけにはお母さんが忙しいなら別 の日に帰ると解釈されていた。ふみ子さん は学然とした。自分の言葉が全く違う意味 に受け取られている。まるで異なる言語を 話しているかのようだった。ふみ子さんは 無理期間に襲われた。76年間生きてきて 自分の意思を息子に伝えることができない 。自分の家なのに自分の生活のリズムを 守ることができない。悲しみと同時に うっすらとした怒りも湧いてきた。でも その怒りをどこにぶつけていいのか分から ない。それでもふみ子さんは諦めなかった 。今度は別のアプローチを試してみようと 思った。直接的に止まることについて言及 してみよう。問題は宿泊にあるのだから そこをはっきりさせれば伝わるかもしれ ない。2月に入ってからふみ子さんは再び 部分にメッセージを送った。今度はより 具体的に自分の負担について説明しようと 思った。今度から家に止まらないで もらえる。この一分を打つのにふみ子さん は相当な勇気が必要だった。自分の子供に 対して家に泊まるなというのは母親として 失格なのではないかという気持ちもあった 。でももう限界だった。遊びに来てくれる のはとても嬉しいの。でもホテルに泊まっ てもらえる。そうすればお母さんもずっと 楽になるから。ふみ子さんは息子1家への 愛情と自分の正直な気持ちの両方を表現 しようとした。拒絶しているのではない。 ただ自分の負担を軽くしたいだけなのだと 。メッセージを送った後、ふみ子さんは 今度こそ理解してくれるのではないかと いう期待を抱いた。具体的な解決策も提示 した。会うことを拒否しているわけでは ない。止まることだけが問題なのだと。 しかしたの返信はふみ子さんの期待を 裏切るものだった。お母さん、何を変な こと言ってるんですか?ホテルはお金が かかりますよ。どうせ寝るだけなんだから 家にいればいいじゃないですか。たの声が 聞こえてくるようだった。まるでふみ子 さんが非常識なことを言っているかのよう な口調だった。家族なのになぜホテルに 泊まる必要があるのかという困惑とお金が もったいないという実用主義が混在してい た。ふみ子さんは最後の努力をしてみた。 せめてシ具の準備だけでも軽減できない だろうか。じゃあ自分で布団を持ってきて もらえる。この提案に対する部の返事は あっけないものだった。うちはベッドなの で持っていけませんよ。一言で片付けられ てしまった。ふみ子さんの苦労などたには 想像もつかないのだろう。思い布団を 押仕入れから出し入れすることの大変さ。 コインアンドリーまで運袋選択と感想に かかる時間と労力。その全てが持っていけ ませんの一言で終わりだった。ふみ子さん は自分が息子の目にどう写っているのかを 理解し始めた。自分は母親ではなく サービス提供者なのだ。無料で宿泊場所と 食事を提供する便利な施設。そしてその 施設の管理人である自分の都合や感情は 考慮する必要のないものなのだ。3月4月 と時間が過ぎ、ふみ子さんの心の中には 諦めに近い感情が芽えていた。ボールデン ウィークが近づいてくると反応竹から連絡 があった。ボールデンウィーク僕たちは いつから行けますか?もはや質問ですら ない。行くことが前提で都合のいい日程を 聞いているだけだった。ふみ子さんは返事 をするのが嫌になっていた。でも返事をし なければ勝手に日程を決められて突然やっ てくるかもしれない。ふみ子さんは完潔に 答えた。体調があまり良くないので今回は 遠慮してもらえる。たの返信は予想通り だった。それでは連休明けに行きますね。 もうふみ子さんには何を言っても無駄だと いうことが分かった。たにとって母の体調 不良は規制を中止する理由ではなく日程を 調整する理由でしかないのだ。5月の連休 明けたの家族は約束通りやってきた。 ふみ子さんは疲れきった体で再び1週間の 接客業をこなした。笑顔を作り、美味しい 食事を用意し、清潔なシングを準備し、 家族の話に愛槌を打つ。まるで自動人形の ように。そして6月に入ったある日、 ふみ子さんが庭で洗濯物を干していると 携帯電話が震えた。画面にはたの名前が 表示されている。もうお盆の話だろうか。 ふみ子さんはため息をついてメッセージを 開いた。 今年はうちはいつから行けますか?ふみ子 さんは洗濯場を握ったままその場に 立ち尽くした。また始まった。胸の奥で 何かが熱くなるのを感じた。怒りなのか、 悲しみなのか、失望なのか、自分でもよく わからない感情がうまいている。今度こそ はっきりと断ろう。ふみ子さんは心に決め た。体調不良を理由にするのではなく、 もっと強い理由が必要だった。ふみ子さん は1日考えて翌日にメッセージを送った。 お盆の時期お母さんは体調があまり良く ないと思うの。元々暑さに弱いし、今年は 体がいつもより疲れているの。今回は延期 してもらえる。本当にごめんなさい。 ふみ子さんは延期という言葉を使った。 完全に拒絶するのではなく時期をずらして もらいたいという意味を込めた。これ ならぶも理解してくれるのではないかと 思った。しかしたの返信はふみ子さんの 期待を再び裏切った。そうですか。じゃあ おが過ぎてから帰りますね。その時は お母さんも僕たちももっとももっと ゆっくり時間を取れるでしょう。ふみ子 さんは携帯電話の画面をじっと見つめた。 また同じパターンだった。母が今は無理と いえば息子はじゃあ後で都と解釈する。母 の1人で痛いという気持ちはたには届か ない。彼は母のスケジュールの隙間を 見つけてそこに自分たちの都合を押し込む ことしか考えていない。ふみ子さんは完全 に絶望した。何を言っても無駄なのだ。 自分の言葉に重みがない。自分の意思は 尊重されない。自分の家なのに自分が 部害者のような気分になる。その夜ふみ子 さんは1人でリビングに座り、窓の外の 暗闇を見つめていた。夫のけ一さんが生き ていた頃はこんなことはなかった。け一 さんが間に立って息子とのバランスを取っ てくれていた。でも今はふみ子さん1人で 対処しなければならない。ふみ子さんの心 の中で1つの考えが形をなし始めていた。 言葉では伝わらないなら行動で示すしか ない。息子に変わってもらうのを期待する のではなく自分が変わるしかない。自分の 人生を守るために強くならなければなら ない。こんな時、ふみ子さんは親友の 田中子さんからの誘いを思い出した。 リツ子さんは74歳で夫をなくした後も 積極的に趣味の活動を続けている人だった 。作道 そして都市に数回の国内旅行。リツ子さん はいつもふみ子さんを旅行に誘ってくれる が、ふみ子さんは家のことが気になって いつも断っていた。前列子さんから富山へ の3泊4日の旅行の誘いがあった。日程は お盆の初日からふみ子さんは家族が帰って くるかもしれないからと断っていた。でも 今その旅行がふみ子さんの救いになるかも しれない。ふみ子さんは深く考えた。都市 部に旅行に行くと言ったらきっと彼はいつ 帰ってくるんですか?その日に合わせて いきますよと言うだろう。旅行は規制を 中止する理由ではなく日程調整の材料に なってしまう。何日も悩んだ末ふ子さんは 1つの決断を下した。もっと強力な理由が 必要だった。だけが簡単に無視できない 深刻な理由がふみ子さんは震える指で携帯 電話に文章を打ち込んだ。実はこの夏 お母さんは健康診断で入院しなければなら ないかもしれないの。詳細はまだ分から ないけれどだから今年は帰ってこなくて いいからね。送信ボタンを押す前にふみこ さんは長い間躊躇した。これは嘘だった。 確かに定期的に近所の診療書で健康診断は 受けているが入院が必要な状況ではない。 でも他に方法が思いつかなかった。真実を 言っても聞いてもらえないなら嘘でも重大 な理由を作るしかない。ふみ子さんの心は いたんだ。母親が子供に嘘をつくなんて。 でも猛どしていいかわからなかった。自分 の声が息子に届かない現実にふみ子さんは 深く傷ついていた。メッセージを送信した 後、ふみ子さんは自分がしたことの重大さ を感じていた。1度嘘をついてしまったら もう後戻りはできない。でもこの嘘で息子 が規制を諦めてくれるならそれでいいと 思った。数日後から返信があった。そう ですか。お母さん、大丈夫ですか?でも 大丈夫ですよ。こちらはスケジュールを 変更できますから。お母さんが検査を終え たら教えてください。僕たちがお見舞いに 行きます。ふみ子さんは呆然とした。入院 という深刻な状況でさえ、たにとっては 日程調整の理由でしかなかった。母の健康 を心配する様子は見せているが、具体的に 何の病気なのか、どこの病院なのか、どの くらいの期間なのか、そういった詳細を 聞こうとはしない。表面的な心配の言葉 だけで本当の関心は感じられなかった。 この時ふみ子さんの心の中で何かが決定的 に変わった。息子の本当の気持ちを知り たくなった。表面的な親の言葉の奥にある 本音を見てみたくなった。ふみ子さんは 最後の試験をすることにした。それはお金 の話だった。ふみ子さんは再び携帯電話を 手に取り、震える指で文章を売った。これ が最後のかけだった。実は検査がかなり 高額になりそうなの。予想外の費用が たくさんかかって、もしお金の面で少し 助けてもらえるならとてもありがたいのだ けれど、ふみ子さんはこの文章を打ち ながら自分の心が張り裂けそうになるのを 感じていた。息子の愛情を試すためにお金 の話を持ち出すなんて。でも知りたかった 。息子にとって自分は何なのか本当に大切 に思ってくれているのか。それとも便利な 存在としてしか見ていないのか。 メッセージを送信した瞬間、ふみ子さんの 手は激しく震えていた。これで息子の本当 の気持ちが分かる。答えが怖かったが真実 を知る必要があった。既読のマークがすぐ に表示された。そして驚くほど早く変身が 来た。そうですか。ちょっと待って ください。僕が家族のスケジュールを確認 したところ、この夏は仕事が忙しすぎて 帰れそうにありません。すみません。 ふみ子さんは画面を見つめたまましばらく 動けなかった。そして小さく笑った。乾い た悲しい笑いだった。全てが明らかになっ た。母が疲れたといえば日程を変更します 。母が準備が大変だといえば自分たちで やります。母が入院するといえば退員を 待ちます。でも母がお金がかかるといえば 行けません。ふみ子さんは携帯電話を テーブルに置き深いため息をついた。息子 にとって自分は無料のサービス提供者だっ た。宿泊場所と食事を無償で提供して くれる便利な存在。そのサービスに費用が 発生するとなった瞬間、価値がなくなる。 ふみ子さんは76年の人生でこれほど孤独 を感じたことはなかった。自分の子供に 自分の価値を理解されていない。愛されて いると思っていたが、それは錯覚だったの かもしれない。でも同時に一種の解放感も 感じていた。もう期待する必要がない。 もう息子の顔色を伺う必要がない。もう 無理をして良い母親を演じる必要がない。 真実を知った今、ふみ子さんは自分の人生 を自分で守ることを決めた。その夜ふみ子 さんの携帯電話がなった。画面にはユナの 文字が表示されている。ふみ子さんは驚い た。娘からの電話は久しぶりだった。 お母さんたけ兄さんからお母さんが入院 するって聞いたの。お母さん大丈夫?ユナ の声は心配に満ちていた。たの事務的な 対応とは全く違う。本当の関心と愛情が 感じられる声だった。ふみ子さんの目に涙 が滲んだ。この声を聞いた瞬間、これまで 抑えていた感情が溢れそうになった。 大丈夫よ。大したことじゃないから。 ふみ子さんは娘を心配させまいと明るい声 を作った。兄さんから検査費用が高額だと も聞いたの。お母さん、そのことは心配し ないで。私働いているからお母さんにお金 を送るわ。心配しないでね。ふみ子さんは 電話を握る手が震えるのを感じた。 お母さんにお金を送る。その言葉には一点 の躊躇もなく一点の計算もなかった。たの 即座の拒絶とは正反対の反応だった。娘の 声の優しさと誠実さがふみ子さんの心の 奥深に眠っていた母親としての誇りを 呼び覚ました。ユナの言葉は温かい水の ようにふみ子さんの凍った心を溶かして いく。この子は本当に自分を愛してくれて いる。この子は自分を大切に思ってくれて いる。お金の話が出た瞬間に逃げるのでは なく、真っ先に透けようとしてくれている 。ふみ子さんはもうゆに嘘をつくことが できなくなった。この純粋な愛情を前にし て偽りを続けることはできない。涙がほを 伝った。ユナ実はふみ子さんの声は震えて いた。真実を話す時が来た。としてユの 反応がふ子さんの今後の人生を決めること になるだろう。ふみ子さんは携帯電話を手 に取り子さんの番号を探した。指が震え、 通話ボタンの上で中に浮いている。もし この電話をかけたら全てが変わるだろう。 これは単なる旅行ではない。彼女の最初の 反抗行為なのだ。自分の人生を取り戻す ための最初の一歩なのだ。 ふみ子さんは深呼吸をした。もう息子の 顔色を伺って生きるのはやめよう。もう 無料のサービス提供者として扱われるのは 終わりにしよう。76歳になってようやく 自分の声を取り戻す時が来た。指が通話 ボタンに触れた瞬間、ふみ子さんの心に 新しい希望の光が差し込んだ。ふみ子さん は深く息を吸い込み、リツ子さんの番号に 電話をかけた。呼び出し音が3回鳴った後 、リツ子さんの明るい声が聞こえてきた。 もしもし。ふみ子さん、どうしたの? 珍しいじゃない。リツ子さん、お疲れ様。 実は富山の旅行の件なんだけれど、ふみ子 さんの声は少し震えていた。もしまだ空が あるなら私も一緒に行かせてもらえる。 リツ子さんは驚いたような声をあげた。 本当ふみ子さんが旅行だなんて珍しいわね 。でも嬉しいわ。すぐに旅行会社に確認し てみるから少し待っててちょうだい。翌日 の午前中リツ子さんから電話があった。 ふみこさん良いお知らせよ。1人分の空が あったの。しかもふみこさんが来てくれる なら車のガソリン台も割り勘んで安くなる し、私たちも嬉しいわ。ふみこさんは受き を握りながら不思議な安らぎを感じていた 。これほど簡単にこれほど温かく受け入れ てもらえるなんて。リツ子さんの声には 計算がない、駆け引きがない。ただ純粋な 喜びがあった。電話を切った後、ふみ子 さんは手帳を取り出し、お盆の初日に赤い ペンで大きく丸をつけた。それはふみ子 さんの自由記念日になるはずだった。水 選択を気にしなくていい夏、演利をしなく ていい夏の始まりだった。しかしふみ子 さんの心の奥底にはまだ1つの不安が残っ ていた。たに旅行のことを正直に話せば きっと彼は素晴らしいですね。お母さんは いつ帰ってくるんですか?その日に合わせ て僕たちも調整しますよ。と言うだろう。 ふみ子さんの旅行はたにとってまた別の 日程調整の材料になってしまう。ふみ子 さんは数日間この問題について深く考えた 。庭の水やりをしながら洗濯物を干し ながら1人で夕食を食べながらいつも同じ ことを考えていた。どうすれば部に邪魔さ れることなく自分の時間を確保できる だろうか。真実を話すという選択肢はもう なかった。これまでの経験で正直に話して もたには伝わらないことが分かっている。 むしろ真実は部にとって都合の良い解釈の 材料になるだけだった。ふみ子さんは自分 がこれから取ろうとしている行動の重大さ を理解していた。嘘をつくということは 母親としての自分を裏切ることでもあった 。でも真実を話しても聞いてもらえない 現実の前では嘘も必要枠だと思えた。1 週間後ふみ子さんは陽けしてぶに メッセージを送った。指先が震え、何度も 文章を打ち直した。最終的に選んだ言葉は 彼女にとって最も重い言葉だった。実は この夏お母さんは健康診断で入院すること になったの。詳しいことはまだ分からない けれどだから今年は帰ってこなくていい からね。ふみ子さんは入院という言葉を 使うことに深い罪悪感を感じていた。これ は明らかな嘘だった。確かに近所の診療書 で定期献心は受けているが入院が必要な 状況ではない。血圧は少し高めだが、薬で コントロールされているし、膝の痛みは あるが、日常生活に支障はない。健康診断 の結果も年齢騒応で特に問題はなかった。 でもふ子さんはもう他に方法を思いつか なかった。疲れたでは理解されない。準備 が大変でも聞いてもらえない。体調が悪い 。でも日程調整の理由にされるだけならば 簡単に無視できない深刻な理由を作るしか ない。メッセージを送信した後、ふみ子 さんは携帯電話をテーブルに置き、両手で 顔を追った。自分が何をしているのか 分からなくなっていた。76年間正直に 生きてきたつもりなのに息子に嘘をついて いる。母親として失格なのではないだろう か。も同時に別の感情も湧いてきた。これ は嘘だがふみ子さんの心の状態を表す真実 でもあった。精神的に病んでいる心が入院 を必要としている。そう考えれば完全な嘘 でもない。ふみ子さんは自分を納得さ せようとした。3日後、たから返信があっ た。ふみ子さんは恐る恐るメッセージを 開いた。そうですか。お母さん、大丈夫 ですか?でも大丈夫ですよ。こちらは スケジュールを変更できますから。 お母さんが検査を終えたら教えてください 。僕たちがお見舞いに行きます。ふみ子 さんは画面を見つめながら深いため息を ついた。予想通りの反応だった。母の入院 という深刻な事態でさえたにとっては日程 調整の問題でしかない。大丈夫ですか?と いう言葉はあるが、それは形式的な心配で 、具体的に何の病気なのか、どこの病院な のか、どのくらいの期間なのか、そういっ た詳細を聞こうとはしない。母の健康より も自分たちの規制計画の方が重要なのだ。 ふみ子さんはその事実を改めて突きつけ られ、胸がいたんだ。しかし、ふみ子さん の心の中では別の感情も芽えていた。たの 本当の気持ちを知りたいという危険な 好奇心だった。息子は本当に自分を愛して いるのだろうか。それとも便利な存在とし てしか見ていないのだろうか。ふみ子さん は最後の試験をすることに決めた。それは これまで避けてきた領域お金の話だった。 ふみ子さんは震える手で最も重要な メッセージを作成し始めた。これが息子と の関係を決定付ける最後の質問になる だろう。実は検査がかなり高額になりそう なの。予想外の費用がたくさんかかって 保険でカバーされない部分もあるみたいで ふみ子さんは1度文章を消しまた書き直し た。もしお金の面で少し助けてもらえる ならとてもありがたいのだけれど。ふみ子 さんはこの文章を何度も読み返した。息子 の愛情を試すためにお金の話を持ち出す なんて母親として最低の行為かもしれない 。でも知る必要があった。だけにとって 自分は何なのか本当に大切な存在なのか それとも無料サービスを提供する便利な 道具なのか。メッセージを送信する前に ふみ子さんは十分以上も躊躇した。これを 送ったらもう後戻りはできない。息子の 答えがどんなものであれ、それが真実とし て受け入れなければならない。ふみ子さん は目を閉じ、送信ボタンを押した。 のマークがすぐに表示された。たは メッセージを読んだのだ。でも変信はすぐ には来なかった。1時間、2時間と時間が 過ぎた。ふみ子さんは落ち着かない気持ち で携帯電話を見つめていた。そして夕方に なってようやく返信が来た。その内容は ふみ子さんの予想を上回る霊国差だった。 そうですか。お母さん。ちょっと待って ください。僕が家族のスケジュールを確認 したところ、このは仕事がとても忙しくて 帰れそうにありません。申し訳ありません 。ふみ子さんは画面を2度3度と読み返し た。そして小さく笑った。それは悲しい 笑いだった。母の健康を心配する言葉は ない。お金の区面について相談する姿勢も ない。は忙しくて帰れないという事務的な 連絡があるだけ。しかもその理由が仕事が 忙しいというこれまで1度も使ったことの ない理由だった。ふみ子さんには全てが 分かった。たにとって母の家は無料の ホテルだった。宿泊費と食表支払わなくて いい。便利な施設でもその施設の利用に 費用が発生するとなれば価値がなくなる。 母の健康よりもお金の方が重要だった。 ふみ子さんは携帯電話をテーブルに置き、 窓の外を見つめた。夕日が西の空を染めて いる。美しい景色だったがふみ子さんの心 は複雑だった。悲しみと同時に奇妙な解放 感も感じていた。これでたの本音が分かっ た。母が疲れたといえば日程を調整します 。母が準備が大変だといえば自分たちで やります。母が入院するといえば退員を 待ちます。でも母がお金の援助を求めれば 忙しくていけません。ふみ子さんは76年 の人生でこれほど明確に自分の立場を理解 したことはなかった。息子にとって自分は 愛すべき母親ではなく利用美容価値のある サービス提供者だった。そのサービスが有 になった瞬間関係は終わる。でもふみ子 さんの心の痛みはたからの冷たい反応だけ ではなかった。自分が嘘をついたことへの 罪悪感、母親としての誇りを傷つけたこと への自己嫌悪もあった。本当の病気でも ないのに入院するといい。お金に困っても いないのに援助を求めた。これまでの人生 でこんなことをしたことはなかった。 しかし同時にふみ子さんは気づいていた。 この嘘は長い間抑圧されてきた自分の本当 の気持ちの表現でもあった。精神的に疲れ きって心の入院が必要な状態だった。経済 的に困窮してはいないが息子からの愛情と いう心の栄養に植えていた。 嘘の形を借りてようやく自分の本当の状況 を表現できたのかもしれない。その夜 ふみ子さんが1人で夕食を食べていると 携帯電話がなった。画面にはユナの名前が 表示されている。ふみ子さんは胸が ドキドキした。娘は何を知っているの だろうか。お母さんお疲れ様。 さんからお母さんが入院するって聞いたの 。お母さん本当に大丈夫?ユナの声は心配 で満ちていた。たの事務的な反応とは全く 違う。温かい関心が感じられた。ふみ子 さんの目に涙が滲んだ。大丈夫よ。大した ことじゃないから。ふみ子さんは明るい声 を作ろうとしたが声が震えてしまった。 兄さんから用が高額だとも聞いたの。お母さん、その心配しないで。私働いているから母さんにお金を送るわ。心配しないでね。ユナの言葉には一ぺの躊躇もなかった。もなければ条件もない。だ粋に母親を助けたいという気持ちがあった。 たの即座の拒絶とは正反対の反応だった。 ふみ子さんは電話を握る手が震えるのを 感じた。娘の無条件の愛情がこれまで 凍りついていた心を溶かしていく。お金の 話が出た瞬間に逃げるのではなく真っ先に 透けようとしてくれる。これが本当の家族 の愛なのだ。ふみ子さんはもうゆに嘘を つくことができなくなった。この純粋な 愛情を前にして偽りを続けることはでき ない。娘の優しさがふみ子さんの罪悪感を 増幅させた。ユナ実はふみ子さんの声は 震えていた。お母さん本当のことを言わ なければならないことがあるの。ふみ子 さんは勇気を振り絞って全てを話し始めた 。の家族の規制がどれほど負担になって いるか、何度断っても聞いてもらえない こと、最後に嘘をついてしまったこと、お 金の話で息子を試したこと、その全てを涙 ながらにユナに打ち明けた。お母さん、 そんなに苦しんでいたなんて知らなかった 。申し訳ない。ユナの声にも涙が混じって いた。兄さんがそんなにひどいなんて。 お母さんは全然悪くないよ。むしろよく今 まで我慢していたと思う。ユナの言葉は ふみ子さんの心に深く響いた。自分の 気持ちを理解してくれる人がいる。自分の 立場に共感してくれる人がいる。ふみ子 さんは生まれて初めて本当に理解されて いるという感覚を味わった。お母さん富山 の旅行楽しんできてね。お母さんにはそう いう時間が必要よ。兄さんのことは気にし ないで。お母さんが自分の人生を楽しむ ことは誰にも邪魔される権利はないから。 ユナの励ましの言葉にふみ子さんは心から 感謝した。娘の証人を得てようやく罪悪感 から解放された気がした。電話を切った後 、ふみ子さんは今に座りこれまでの人生を 振り返っていた。夫のけ一さんが生きてい た頃はこんな問題はなかった。け一さんが たとの間に立ってバランスを取ってくれて いた。でもけ一さんが亡くなってからたの 本性が現れたのかもしれない。ふみ子さん は夫の家に向かって小さくつぶいた。け一 さん、あなたがいなくなってからたの本当 の姿が分かったわ。でもユナがいてくれて よかった。 あの子は本当にあなたに似て優しい子に 育ったわね。翌朝ふみ子さんは早起きして 庭の手入れをしていた。トマトのみが 大きくなり、朝顔が美しく咲いている。 今日から新しい生活が始まる気がした。 もう息子の顔色を伺って生きる必要はない 。もう無理して良い母親を演じる必要も ない。お盆の1週間前、ふみ子さんは旅行 の準備を始めた。久しぶりの旅行で何を 持っていけばいいのかわからない。みつ子 さんに電話で相談すると温泉旅行だから 浴衣は旅館にあるし特別なものは必要ない わよと言ってくれた。ふみこさんは小さな スルーツケースに普段着と下着、化粧品、 薬、そしてけ一さんとの思い出の写真を1 枚入れた。この旅行はふみ子さんにとって 新しい人生の始まりでもあった。出発の 前日、ふみ子さんは家の中を丁寧に掃除し た。誰も来ないとは分かっているのにいつ もの習慣で家を綺麗にする。でも今回は誰 かのためではなく自分のためだった。旅行 から帰ってきた時に気持ちよく迎えて くれる家で会って欲しかった。仏壇の前で 手を合わせ一さんに報告した。少し旅行に 行ってきます。久しぶりに自分のためだけ の時間を過ごしてきます。たのことはもう 心配しません。あの子は自分で自分の道を 選んだのですから。 その夜ふみ子さんは久しぶりに深く眠った 。明日からの旅行への期待と長い間抱えて いた重から解放されたアンド感で心が 軽やかだった。朝8時みつ子さんの車が ふみ子さんの家の前に到着した。一緒に 旅行する仲間たちが手を振っている。 ふみ子さんは小さなスーツケースを持って 笑顔で手を振り返した。車に乗り込む時、 ふみ子さんは振り返って自分の家を見た。 40年以上住んだ家、け一さんとの思い出 が詰まった家でも最近は重にもなっていた 家。その家に行ってきますと心の中で挨拶 した。車が動き出すとふみ子さんの心も 軽やかになった。窓の外を流れる景色を見 ながらこれが自分の新しい人生の始まりな のだと感じていた。もう誰かの期待に 答えるために生きるのではなく、自分の 幸せのために生きる人生の始まりだったと 前の旅地でふみ子さんは車窓から流れる 景色を眺めながら久しぶりに心の平安を 感じていた。子さんと他の2人の友人、 佐藤さんと山田さんとの楽しい会話に耳を 傾けながらこれまでのお苦しい日々が嘘の ように感じられた。ふみ子さん本当に久し ぶりね。最後に一緒に旅行したのはいつ だったかしらと佐藤さんが振り返っていっ た。佐藤さんは73歳でふみ子さんと同じ 工夫をなくしているが、明るい性格で地域 のボランティア活動に積極的に参加して いる人だった。そうですね。もう5年以上 前になるでしょうか。ふみ子さんは答え ながらなぜこれまで誘いを断り続けていた のか改めて考えていた。いつもたの家族の ことが頭にあり、もし急に帰ってきたら どうしようという心配が先に立っていた。 でも今回は違った。もう息子の都合に 合わせて生きるのはやめようと決ねた。車 は高速道路を順調に走り、昼過ぎには富山 県に入った。竹山連邦の有大な山波が見え てくるとふみ子さんの心は軽やかになった 。東京の住宅街とは全く血が合う解放感の ある風景がそこにあった。あら、綺麗。 ふみこさんは思わず声を荒れた。山が こんなに近くに見えるなんて。富山湾も 美しいのよ。明日はホテルから海が見える から楽しみにしてて、鳥つ子さんが運転し ながら行った。午後3時頃、一は富山を 望む温泉ホテルに到着した。ホテルの ロビーは広々としていて、大きな窓からは 青い海が一望できた。フロントの女性は 丁寧に迎えてくれ、部屋の案内をしてくれ た。ふみ子さんは個室を割り当てられた。 部屋に入ると海側の窓からは富山湾の 美しい景色が広がっていた。ふみ子さんは 窓際の椅子に座り、しばらく海を眺めてい た。波の音が静かに聞こえ、かモが空を 待っている。これまでの数ヶ月間ふみ子 さんの心は重苦しい思いでいっぱいだった 。息子との関係、自分の立場将来への不安 。でも今この美しい景色を前にしてそんな 悩みが少し小さく感じられた。夕方一向は 温泉に入った。大きな露天風呂からは富山 湾が見渡せ、夕日が水面を金色に染めてい た。お湯に浸りながらふみこさんは心の底 からリラックスしているのを感じた。 ふみこさん、最近なんだか元気がなかった から心配してたのよと佐藤さんが隣で行っ た。でも今日は表情が明るくて安心したわ 。ありがとうございます。実は家庭で色々 あってふみ子さんは少しためらったが正直 に話すことにした。息子の家族のことで 少し疲れていたんです。 あら、そうだったの。お子さんとの関係 って難しいものよね。山田さんも湯舟に 浸りながら言った。山田さんは70歳で 息子2人と娘1人がいるがそれぞれ遠方に 住んでいる。うちも似たようなものよ。 子供たちはそれぞれ忙しくてたまに電話が あるくらい。でもそれくらいの距離感の方 が楽な場合もあるわね。ふみ子さんは友人 たちの言葉に慰められた。自分だけが抱え ている問題ではないのだと知って少し 気持ちが楽になった。夕食はホテルの日本 料理レストランで富山の海の子をふ断に 使った解析料理だった。新鮮な刺身2行 茶碗どれも家では味わえない上品な味だっ た。ふみこさんは久しぶりに誰かに作って もらった料理を心から楽しんだ。美味しい ですね。ふみこさんは微だ。こんなに 美味しい料理を食べるのは久しぶりです。 ふみこさん。普段は自分で作ってるの とつ子さんが聞いた。そうですね。1人分 だから簡単なものばかりですけど。でも 時々息子の家族が帰ってくると1週間 くらい任務作らなければならなくてそれが 結構大変でふみ子さんは自然に息子家族の 話をした。これまでは誰にも愚痴を言えず にいたが今日は不思議と話したい気分だっ た。友人たちはふみ子さんの話を静かに 聞いていた。そしてそれぞれが似たような 経験を持っていることが分かった。うちの 息子も似たようなものよと土佐藤さんが 言った。お正月とお盆に帰ってくるけど まるでホテルみたいに使われてる感じ。 洗濯物は山のように置いていくし、冷蔵庫 の中は空っぽになるし、でもはっきり断る のは難しいのよねと山田さんも続けた。親 として子供を拒否するなんてできないし。 ふみ子さんは友人たちが自分の気持ちを 理解してくれることに感謝した。1人で 抱え込んでいた悩みは勝ち合えることの 喜びを感じた。食後一光はロビーでお茶を 飲みながらそれぞれの人生について 語り合った。健康のこと、子供のこと、 将来のこと。ふみ子さんは普段1人で考え ていることを友人たちと共有できることの 素晴らしさを実感した。夜ふみ子さんは 自分の部屋に戻り窓から夜の海を眺めた。 旅家がポツポツと光っている。静かで 美しい光景だった。ふみ子さんは旅行から 自散した手紙用紙を取り出した。ユナの 手紙を書こうと思った。電話で話したこと をもう一度整備して文字にして残しておき たかった。ユナ、先日は電話をありがとう 。あなたの優しさに本当に救われました。 お母さんは今富山で温泉旅行を楽しんでい ます。久しぶりに心から安らいでいます。 ふみ子さんは筆を進めながらこれまでの 人生を振り返っていた。夫との結婚生活、 子育て、そして夫をなくした後の 1人暮らし。これまで常に誰かのために 生きてきた。夫のため、子供たちのため、 家族のため。でも今回初めて自分のために 時間を使っている。翌朝ふみ子さんは 早起きして海岸を散歩した。朝の空気は す々しく、波の音が心地よく響いている。 散歩から戻ると友人たちと一緒に朝食を 取った。今日は何をしましょうか?鳥つ子 さんが提案した。午前中は立山アルペン ルートの一部を見学して母後は富山市内を 観光する予定よ。一向はホテルを出発し、 まず館山び美女らまで行った。ケーブル カーで山を登るとそこには緑豊かな光原が 広がっていた。ふみ子さんは山の正常な 空気を深く吸い込み、心の奥底まで浄化さ れるような気分になった。素晴らしい景色 ですね。ふみ子さんは簡単声をあげた。 ふみこさん、表情がとても良くなったわね 。と佐藤さんが微えんだ。旅行の効果ね。 母後は富山市内の美術館や歴史的な建物を 見学した。ふみ子さんは久しぶりに文化的 な活動を楽しんだ。普段は家事と近所への 買い物くらいしか外出しないが、こうして 知的な刺激を受けることの大切さを実感し た。夕方ホテルに戻るとふみ子さんの携帯 電話に着信履歴があった。たからだった。 でもふみ子さんは電話を返さなかった。今 は自分の時間だった。2日目の夜、ふみ子 さんは再びユナに電話をした。ゆナ、お 疲れ様。お母さん今とさんにいるの。本当 に良い旅行よ。お母さん声が明るくなり ましたね。よかった。ユナの声も嬉しそう だった。ゆナ、お母さんはこれまでいつも 誰かのために生きてきたけれど、これから は自分のためにも時間を使いたいと思うの 。あなたにはいつも感謝しているわ。 お母さん、それで良いと思います。 お母さんには自分の人生を楽しむ権利が ありますよ。ふみ子さんは娘の理解に心 から感謝した。こんなにも自分を理解して くれる人がいることがどれほど幸せなこと か。3日目の朝ふみ子さんは1人で早起き してホテルの庭を散歩していた。綺麗に 手入れされた日本庭園で小さな池には恋が 泳いでいる。ふみ子さんは池のほとりの ベンチに座り、静かに自分の将来について 考えた。これまでの人生でふみ子さんは常 に家族を中心に考えてきた。自分の幸せ よりも夫や子供たちの幸せを優先してきた 。でも夫がなくなり子供たちも成人して 独立したいま、自分の人生をどう生きる べきなのか。ふみ子さんは重要な決断を する必要があることを感じていた。 それは遺言書の見直しだった。これまで ふみ子さんは自分の財産を息子と娘に平等 に分けるつもりでいた。それが公平で母親 としての務めだと思っていた。でも今回の 件でたの本当の気持ちが分かった。彼に とって母親は利用価値のある存在でしか ない。一方、ユはふみ子さんが困った時に 真っ先に透けようとしてくれた。お金の話 が出た瞬間に逃げるのではなく、むしろ 積極的に支援を戻し出てくれた。この違い は決定的だった。ふみ子さんは心を決めた 。帰宅したら遺言書き直そう。財産は本当 に自分を愛してくれる人に託したい。旅行 の最終日、一向は富山ワンクルーズを 楽しんだ。船から見る山連邦は有大で ふみ子さんの心に深い印象を残した。 ふみ子さん、今回旅行に参加してくれて 本当に良かったわ。鳥つ子さんが言った。 また一緒に行きましょうね。ええ、是非 ふみ子さんは心から答えた。今度は私から 誘わせてもらいたいわ。帰りの社中で ふみ子さんは窓外の景色を眺めながらこれ までとは違う自分を感じていた。もう息子 の顔色を伺って生きる必要はない。自分の 人生は自分で決める。そんな強い石が心の 中に芽えていた。東京に戻ったのは夕方 だった。リツ子さんが車で自宅まで送って くれたふみ子さん。お疲れ様。また連絡 するわね。ありがとうございました。本当 に素晴らしい旅行でした。ふみ子さんは 1人で家に入った。3日間ぐにしていた家 は静かで清潔だった。誰かが散らかして いくこともなく、誰かの世話をする必要も ない。この静寂がふみ子さんには何よりも 贅沢に感じられた。仏壇の前で手を 合わせ一さんに報告した。ただいま帰り ました。とても良い旅行でした。これから の人生自分らしく生きていこうと思います 。その夜ふみ子さんは所斎に入り、机の 引き出しから遺言書の用姿を取り出した。 以前から準備していたがまだ記入してい なかった。今夜がその時だった。ふみ子 さんは満年室を踊り、慎重に文字をかけ 始めた。遺言賞 鈴木ふ子は心身ともに健康な状態において 以下の通り遺言いたします。ふ子さんは 自分の財産について整理した。住宅ローを 関西した家評価額約3000万円、銀行 預金1200万円。株式と保険の解約編金 を合わせて総額約5000万円の財産が あった。年金生活には十分すぎる額でふ子 さんが失素に暮らしていれば生涯安泰な 金額だった。そしてふみ子さんは決定的な 一向を書いた。蒸気全ての財産は事女で ある鈴木に相続させる。ふみ子さんは筆を 置きしばらく考えた。たには1円も残さ ない。 それは怒りからではなく冷静な判断だった 。財産とは愛情の証でもある。真の愛情を 示してくれた人に託したい。ふみ子さんは 続けて書いた。長男である鈴木たには財産 を相続させない。これは彼への罰ではなく 真に私を必要としてくれた人への感謝の 現れである。遺言症かきを得た後、ふみ子 さんは飲をし、日付を記入した。そして 大切に封筒に入れ金庫にしまった。いつ株 がこの遺言書を読む日が来るだろう。彼は なぜ自分が何も相続できないのか理解する かもしれないし、しないかもしれない。で もふみ子さんはもうそこにはいない。説明 する機会もない。でもそれでいいと思った 。ふみ子さんはこれまで十分に説明してき た。息子には何度も自分の気持ちを 伝えようとした。でも聞いてもらえなかっ た。今更死後に説明する必要はない。 翌み子さんは法律事務所を訪れ正式な遺言 書を作成した。交渉人の前で正式に手続き を済ませ言所は法的効力を持つものとなっ た。帰宅したふみ子さんはユナに電話をし た。ユナ元気?お母さん旅行から帰られて どうでした?とても良かったわ。ところで お母さん遺言書を書いたの。え、お母さん そんな演利でもない。いえ、元気なうちに 整理しておきたくて。詳しいことは今は 言わないけれど、ユナにはお母さんの 気持ちがちゃんと伝わるようにしたから、 ユナは少し困惑しているようだったが、 ふみ子さんの意思を尊重してくれた。一方 、たからは旅行中に何度か着信があったが 、ふみ子さんは返事をしていなかった。 旅行から戻って1週間後、たから メッセージが来た。お母さん、検査は いかがでしたか?結果はどうでしたか? ふみ子さんは深く考えた後、返信した。 ありがとう。おかげ様で大きな問題はあり ませんでした。でもこれからは体に気を つけて無理をしない容器をつけます。た からは良かったですという短い変信があっ ただけだった。それきり連絡は途えた。秋 が深まった頃、ふみ子さんはリツ子さん たちと再び旅行に出かけた。今度は京都の 紅葉を見る度だった。美しいと庭園。 色取り取りの紅葉に心を現れた。ふみ子 さん。最近本当に元気になったわね。 鳥つ子さんが言った。何か良いことでも あったの。良いことというか、悪いこと から解放されたというか、ふみ子さんは微 だ。自分の人生を取り戻したんです。その 冬ふみ子さんはたの家族からの年賀情を 受け取った。表面的な挨拶だけで具体的な 規制の話はなかった。ふみ子さんも形式的 な返事を送ったが、今年もお待ちしてい ますという言葉は書かなかった。春になる とふみ子さんは庭の手入れにせを出した。 け一さんが植えたとの苗を今年も植え、 新しく花の苗も植えた。1人で楽しめるに は作りを始めた。ユナが久しぶりに寄制し た時、ふみ子さんの変化に驚いた。 お母さんとても明るくなりましたね。表情 が全然違います。そうかしら。自分では 気づかなかったけれど、兄さんのことどう なりました?特に何も向こうから連絡が あれば返事はするけれど、こちらからは 特にユナは母の変化を控していた。 ようやく母が自分の人生を生きるように なったのだと。夏が来てもたの家族からお 盆の規制についての連絡はなかった。 ふみ子さんは今年もリツ子さんたちと旅行 に出かけた。 今度は北海道の大自然を満喫する度だった 。旅行から帰るとたからメッセージがあっ た。お母さん、お盆はいかがお過ごしでし たか?ふみ子さんは素直に答えた。友人と 北海道旅行に行ってきました。とても 楽しかったです。たからの返信はなかった 。ふみ子さんはもう息子を説得しようとは 思わなくなっていた。自分の意思を伝える 努力はしたが伝わらなかった。それなら 自分の人生を自分で決めるだけだった。 そんなある日、ふみ子さんは近所の喫茶店 で偶然息子と嫁の笑みに出会った。あら、 お母さん。エミが声をかけてきた。最近お 元気そうですね。ありがとうございます。 おかげ様でふみ子さんは自然に答えた。 お母さん、最近よく旅行されてるって聞き ましたけど、たが少し探るような口調で 言った。ええ、友人たちと時々出かけてい ます。楽しいですよ。たとエミは少し困惑 しているようだった。以前のふみ子さん ならよかったら今度一緒にと言ったかも しれないが、今回は何も言わなかった。 そうですか。それは良いですね。だけは 中途半端に答えた。短い立ち話の後、 それぞれは枯れた。ふみ子さんは息子夫婦 に対して特別な感情を抱かなかった。怒り もなく悲しみもない。ただ距離を感じる だけだった。その夜ふみ子さんはユナに 電話した。今日ブーゼと笑に会ったの。 そうですか。そうでした。特に何も普通の 挨拶程度でした。お母さんそれで良いと 思います。無理をする必要はありませんよ 。ふみ子さんは娘の理解に感謝した。これ からもこのことは良い関係を続けていける だろう。その年の暮れふみ子さんは1人で 静かに年起こした。テレビで紅白歌合合戦 を見ながら1年を振り返った。激道の1年 だった。息子との関係に決着をつけ、自分 の人生を取り戻した年だった。女やの金を 聞きながらふみ子さんは来年への期待を胸 に秘めた。もっと自分らしく行きたい。 もっと様々な経験をしたい。まだまだ人生 は続く。新年の朝、ふみ子さんは仏壇に手 を合わせた。け一さん、新年おめでとう ございます。お母さん、今年も頑張って 生きていきます。自分らしく堂々と。その 時、ふみ子さんの心には穏やかな光が指し ていた。もう息子の顔色を伺う必要はない 。もう誰かの期待に答えるために無理を する必要もない。77歳にしてようやく 自分の人生が始まったのだった。春になる とふみ子さんの元にリツ子さんから新しい 旅行の誘いがあった。ふみ子さん、今度は 四国のお変に挑戦してみない?お変ですか ?体力的に大丈夫でしょうか?全部回る わけじゃないのよ。数所だけ車で回るの きっと良い経験になるわ。 さんは迷わず承諾した。新しい挑戦への 恐れよりも期待の方が大きかった。四国へ の旅行はふみ子さんにとって人生の天気と なった。お寺での静寂な時間、美しい自然 、そして巡礼者たちとの出会い。ふみ子 さんは自分の心の奥底にある平安を発見し た。旅行から帰ったふみ子さんは日記を 書き始めた。毎日の小さな出来事、感じた こと、考えたことを記録する習慣を始めた 。今日は庭のバラがだ。とても美しい。 け一さんも喜んでくれるでしょう。リツ子 さんから電話。来月の旅行の計画を 話し合った。楽しみ ユナから手紙 娘の近況が書かれていた。元気そうで安心 。一記を書くことでふみ子さんは自分の 日々がいかに充実しているかを実感した。 そんなある日、たから久しぶりに メッセージが来た。お母さん、お元気です か?今度家族で近くまで来ることがあるの で、もしよろしければお伺いしたいのです が、ふみ子さんは返信を考えた。以前なら いつでもどうぞと答えていただろう。でも 今は違った。元気です。お出かけの件です が申し訳ありませんがその日は友人との 約束があります。また機会があればお会い しましょう。この返信を送った時、ふみ子 さんは何の罪悪感も感じなかった。自分の 都合を優先することが当然のことに思えた 。たからの返信はなかった。その後もふ子 さんはリツ子さんたちとの旅行を続けた。 温泉美術館、歴史的な場所、自然の美しい 場所。日本各地を訪れ、それぞれの土地の 文化や人々との出会いを楽しんだ。ふみ子 さんの表情は日に日明るくなり、近所の人 たちも変化に気づいた。鈴木さん、最近 とても元気そうですね。ありがとうござい ます。毎日が楽しくてふ子さんは心から そう答えることができた。そしてふみ子 さんは新しい活動も始めた。地域の ボランティア活動に参加し、高齢者向けの 料理教室で行使をするようになった。長年 の主婦経験を生かして若い人たちに料理の 技術を教える仕事だった。先生の料理 とても美味しいですと受行生から感謝さ れる日々はふみ子さんにとって新しい喜び だった。ユナが寄制した時、母の変化を より深く感じておった。お母さん本当に 変わりましたね。前よりもずっと生き生き しています。そうかしら。自分では 当たり前のことをしているだけだと思う けれど。 当たり前ってどういうことですか?気持ちに正直に生きているだけ。ユナは母のその言葉に深い明を受けた。秋のある日ふみ子さんは健康診断を受けた。結果は年齢相応で特に問題はなかった。からはとても元気ですね。何か特別なことをされていますかと聞かれた。特別なことはしていません。 た、楽しく生きているだけです。医師は ふみ子さんの答えに関心していた。その日 の帰り道、ふみ子さんは自分の人生を 振り返っていた。夫をなくしてから4年、 息子との問題を抱えていた期間を含めて 様々な経験をした。苦しい時期もあったが 、それがあったからこそ今の自分がある。 ふみ子さんは息子に対してもう恨みも怒り も感じていなかった。たあ、異なる価値観 を持った人として距離を保って接するだけ だった。それが互いにとって最も良い関係 だと思えた。一方、ユナートの関係は ますます深まっていた。頻繁に電話で話し 、手紙のやり取りもしている。時々はユナ の住む町を訪れ、娘夫婦と楽しい時間を 過ごした。お母さんが来てくれるととても 嬉しいですとユナの夫も言ってくれた。彼 はふみ子さんを本当の母親のように慕って くれている。ふみ子さんは家族とは血の 繋がりだけではないのだと実感していた。 心の繋がり、互いを思いやる気持ち、それ こそが真の家族の絆なのだと。が訪れ、 ふみ子さんは78歳の誕生日を迎えた。 ユナが寄制して2人でさやかなお祝いをし た。お母さん、お誕生日おめでとうござい ます。ユナは美しい花束を自賛していた。 ありがとう。こんなに綺麗な花をもらう なんて久しぶりね。お母さんの新しい人生 のお祝いでもあります。ふみ子さんは娘の 言葉に胸が熱くなった。 本当に理解してくれている人がいる幸せを 噛しめた。その夜2人は遅くまで話し込ん だ。ふみ子さんのこれまでの人生、これ からの夢、ユナの仕事のこと、夫婦生活の こと。母娘というより親しい友人のような 関係になっていた。お母さん、私ずっと 思っていたんです。お母さんにはもっと 自分のための時間があってもいいって。 あなたがいてくれて本当に救われたわ。 1人じゃとても乗り越えられなかった。 ユナは母の手を握った。温かい手だった。 その年末、ふみ子さんは静かに年起こした 。女やの金を聞きながらこの2年間の変化 を思い返していた。絶望の底から 生い上がり、新しい自分を発見した日々 だった。新年を迎えて間もなくたから レガ城が届いた。印刷された定型文で 手書きの一言もなかった。ふみ子さんも 同様に形式的な返事を送った。もう特別な 感情は分かなかった。春になるとふみ子 さんはリツ子さんたちと桜を見るたびに 出かけた。年の山の専門は発でふみ子さん の心に深い感動を与えた。来年も一緒に来 ましょうね。鳥つ子さんが言うとふみ子 さんは迷わず頷いた。もちろんです。 楽しみにしています。その頃ふみ子さんの 元に意外な来客があった。息子のエミが 1人で訪ねてきたのだ。お母さんお忙しい ところすみません。エミは何かを躊躇して いるようだった。どうぞ。上がってお茶を 入れましょう。ふみこさんは自然に笑を 迎えた。特別な感情はなかったが、礼儀と して客をモてなすのは当然だった。 リビングでお茶を飲みながら笑は切り出し た。実はたのことでお話があってふみ子 さんは静かに聞いていた。が最近なぜ お母さんが冷たくなったのかわからないっ て言っているんです。私もどうしてこんな にお母さんとの関係が変わってしまったの か。ふみ子さんは深く考えた。エミは本当 に状況を理解していないのかもしれない。 たが家で何を話しているかにもよるだろう 。エみさん、私は冷たくしているつもりは ありません。さあ、お互いに無理をしない 関係にしたいだけです。無理をしないって どういうことでしょうか?ふみ子さんは 慎重に言葉を選んだ。これまで皆さんが 規制されるたびに私は1週間以上4人分の 食事の準備や掃除選択をしていました。 年齢を重ねてそれが体力的に厳しくなって きたんです。笑ミは驚いたような表情を 見せた。 そんなに大変だったんですか?私たちは 気づかなくて何度かお話ししたつもりなん ですが、なかなか伝わらなかったようで、 笑みは困惑していた。おそらくたは家で 母親の要求を我がままとして話していたの かもしれない。お母さん、もしそうなら 私たちがお手伝いします。当時も洗濯も 料理もふみ子さんはエミの申し出を聞いて 複雑な気持ちになった。今更そう言われて もという気持ちとエミは本当に気づいてい なかったのかもしれないという理解の 気持ちが混在していた。ありがとうござい ます。でも今は1人の時間を大切にしたい んです。友人たちとの旅行やボランティア 活動で忙しくしているので、エミは何かい たそうだったが言葉を見つけられずにいた 。お母さん、私たち何か悪いことをしたん でしょうか?ふみ子さんはエミの率直な 質問に正直に答えることにした。悪いこと をしたというよりお互いの気持ちがうまく 伝わらなかったのだと思います。私も もっともはっきり言えばよかったのかも しれません。笑みは涙んでいた。お母さん 、私たちお母さんを愛していないわけじゃ ないんです。分かっています。でも愛情の 表現の仕方が違うのかもしれませんね。 エミは1時間ほど滞在して帰った。ふみ子 さんはエミが本当に状況を理解してい なかったことに少し驚いていた。だけが家 で何を話していたのか想像に固くなかった 。その夜ふみ子さんはユナに電話した。 今日えみさんが1人で来たの。そうですか 。何の用事だったんですか?ふみ子さんは エ戸の会話を詳しく話した。ユナは静かに 聞いていた。お母さんはどう思われました か?えみさんは本当に知らなかったのかも しれない。でもそれはそれで問題ね。夫婦 感でちゃんと話し合いができていないと いうことだから。そうですね。兄さんは お母さんの気持ちを家族に正しく伝えてい なかったということですね。ふみ子さんは 娘の分析に納得した。数日後、今度は部 から電話があった。お母さん笑から聞き ました。お母さんがそんなに大変だった なんて知らなくてふみ子さんは冷静に答え た。そうですね。でももう過ぎたことです 。今度から僕たちがもっと手伝います。だ からまた帰らせてもらえませんか?たの声 にはこれまでにない真剣があった。でも ふみ子さんの心は動かなかった。たけ ありがとう。でも今は自分の生活を大切に したいの。あなたたちも自分たちの生活を 楽しんでください。お母さん、僕たち何か してしまったんですか?ふみ子さんは息子 の質問に長い間考えてから答えた。何かを したというよりお互いの価値観が違うと いうことに気づいたの。それは悪いこと じゃない。でもお互いに無理をしない方が いいと思うの。たは電話の向こうで長い間 沈黙していた。分かりました。でも お母さんが困ったことがあったらいつでも 連絡してください。ありがとう。電話を 切った後、ふみこさんは安していた。たも 最終的には理解してくれたようだった。 これで互いに距離を保った良い関係が 気づけるかもしれない。夏になるとふみ子 さんはリツ子さんたちと北陸の旅に出かけ た。今回はノト半島を巡るで美しい海岸線 と伝統的な文化に触れることができた。 ふみ子さんすっかり旅行なれしたわね。 鳥つ子さんが笑った。本当にそうですね。 最初は不安だったけれど、今は旅行が1番 の楽しみです。ふみ子さんは心からそう 思っていた。新しい場所を訪れ、新しい 人々と出会い、新しい経験をすることが こんなにも人生を豊かにするとは思わ なかった。旅行から帰るとユナから手紙が 届いていた。お母さんへ。お元気ですか? お母さんが旅行を楽しんでいる様子を聞い て、私もとても嬉しいです。お母さんが 自分らしく生きている姿を見ることができ て娘として誇らしく思います。ふみ子さん は娘の手紙を読んで涙が溢れた。こんなに も理解してくれる子供がいることがどれ ほど幸せなことか。その年の秋、ふみ子 さんは大きな決断をした。家の一部を リフォームして自分だけの所斎を作ること にしたのだ。これまで物置きとして使って いた小さな部屋を読書と手紙を書くための 空間に変える計画だった。1人で住むのに そんなに大きな家は必要ないけれど自分の ための特別な空間があってもいいでしょう とふみ子さんは公務店の人に説明した。 リフォームが完成するとふみ子さんは 新しい所斎で多くの時間を過ごすように なった。読書、日記、手紙、そして友人 たちとの旅行の計画を立てる時間。全てが ふみ子さんにとって貴重な時間だった。冬 の始め、ふみ子さんはリツ子さんたちと 温泉旅行に出かけた。雪式の中の露天風呂 は確別でふみ子さんの心を深く癒した。 来年は海外旅行にも挑戦してみましょうか 。鳥ツ子さんが提案した。海外ですか? そんなに年を取ってから大丈夫でしょうか ?大丈夫よ。韓国屋台ならそんなに遠く ないし、ツアーもたくさんあるわ。ふみ子 さんは新しい挑戦への期待を感じた。79 歳にしてまだ見ぬ世界があることの喜びを 感じていた。年末ふみ子さんは1人で静か に年起こした。テレビを見ながらこの1年 を振り返ったエミの訪問、たとの電話、 そして新しい所斎。様々な変化があったが 全てが良い方向への変化だった。女やの金 を聞きながらふみ子さんは来年への希望を 胸に秘めた。海外旅行、新しい友人との 出会い、そして娘との関係のさらなる進化 。まだまだ人生は続く。新年の朝、ふみ子 さんは仏壇に手を合わせた。け一さん、 新年おめでとうございます。お母さんこの 2年間で本当に変わりました。あなたも きっと喜んでくれていると思います。その 時、朝日が初斎の窓から差し込んできた。 温かい光がふみ子さんの顔を照らし、 新しい1年の始まりを告げていた。ふみ子 さんは微えんだ。もう息子の顔色を伺う 必要はない。もう誰かの期待に答えるため に無理をする必要もない。自分の人生を 自分の意思で自分らしく生きていく。それ が79歳のふみ子さんが手に入れた最も 大切な法物だった。春の訪れと共にふみ子 さんの庭には美しい花が先誇った。け一 さんが植えた桜の木も満になり、近所の人 たちが散歩の途中で足を止めて眺めていく 。綺麗な桜ですねとりがかりの若い母親が 声をかけてきた。ありがとうございます。 亡くなった主人が植えたんです。素敵です ね。きっと喜んでいらっしゃいますよ。 ふみ子さんはその言葉に心が温まった。 け一さんも今の自分を見て喜んでくれて いる日がいない。その日の夕方ふみ子さん は縁川に座って桜を眺めていた。淡い ピンクの花びが風に まるでけ一さんからの祝福のように感じ られた。現一さん、お母さん、ようやく 自分の人生を見つけたわ。遅すぎたかも しれないけれど、残りの人生を精一杯生き ていくから見守っていてね。桜の花びが1 枚、ふみ子さんの膝に舞いた。それはけ一 さんからの返事のように思えた。ふみ子 さんの新しい人生はまだ始まったばかり だった。でもその歩みには迷いがなかった 。自分の声を取り戻したふみ子さんはこれ からも堂々と自分らしく生きていくのだっ た。私たちの物語はここで終わりです。 この母親の心の奇跡が皆様の心に何かしら 響くものがあったなら幸いです。もしこの 物語を気に入っていただけましたら、是非 いいねボタンを押していただき、 チャンネル登録をしていただいて今後の 意味深い物語をお見逃しなく。皆様の コメントや感想、そして皆様ご自身の体験 談も私たちにとって掛けえのない励みと なります。心からお礼もし上げ、また次回 の物語でお会いできることを楽しみにして おります。

これは76歳の鈴木文子さんの物語。何度「帰ってこなくていい」と伝えても聞き入れない息子夫婦に心身ともに疲れ果てた彼女は、ついに自らの平穏を守るための”最後の手段”に打って出ます
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老後の物語
老後は穏やかな日々だけではなく、年金、社会保障、晩年の恋、離婚、再婚など、さまざまな悩みがつきものです。私は、そんなリアルな物語をお届けします。涙も笑いも、後悔も希望も詰まった人生の話。60歳からの人生に興味がある方、一緒に聞いて、共感しませんか?

VOICEVOX :青山龍星
VOICEVOX :Nemo

企画・制作部門

総合プロデューサー: 青木隆二 (Aoki Ryuji)
企画・構成: 西村智恵 (Nishimura Tomoe)
制作統括: 平野大輔 (Hirano Daisuke)
制作進行: 山本理沙 (Yamamoto Risa)
制作アシスタント: 池田美和 (Ikeda Miwa)
アソシエイトプロデューサー: 田村航 (Tamura Wataru)

撮影・映像技術

撮影監督: 森本健司 (Morimoto Kenji)
カメラディレクター: 浜田麻衣子 (Hamada Maiko)
第一カメラマン: 内田雄介 (Uchida Yusuke)
第二カメラマン: 片岡優太 (Kataoka Yuta)
照明チーフ: 坂口光男 (Sakaguchi Mitsuo)
照明アシスタント: 大野結菜 (Ono Yuna)
音声収録: 谷口真一 (Taniguchi Shinichi)

編集・ポストプロダクション

編集長: 柴田雅人 (Shibata Masato)
メインエディター: 水野愛美 (Mizuno Manami)
カラーグレーディング: 北村龍也 (Kitamura Tatsuya)
映像効果: 小川晃司 (Ogawa Koji)
モーショングラフィックス: 中島美咲 (Nakajima Misaki)

音響・音楽

音響監督: 藤原貴之 (Fujiwara Takayuki)
サウンドデザイナー: 吉野あかり (Yoshino Akari)
効果音制作: 上田翔太 (Ueda Shota)
音楽プロデューサー: 岩崎純一 (Iwasaki Junichi)
BGM作曲: 宮崎春花 (Miyazaki Haruka)
音響ミキサー: 村田慎也 (Murata Shinya)

ストーリー・脚本

脚本家: 渡邊綾乃 (Watanabe Ayano)
ストーリー監修: 高田修平 (Takada Shuhei)
物語構成: 横山千鶴 (Yokoyama Chizuru)
台本制作: 江藤美紀 (Eto Miki)
リサーチャー: 金子洋平 (Kaneko Yohei)

声優・ナレーション

メインナレーター: 久保田誠 (Kubota Makoto)
副ナレーター: 島田恵理 (Shimada Eri)
キャラクターボイス: 林田和樹 (Hayashida Kazuki)
特別出演: 石原麻希 (Ishihara Maki)

デザイン・アート

アートディレクター: 荒木直人 (Araki Naoto)
グラフィックデザイナー: 永井美穂 (Nagai Miho)
イラストレーター: 関根大地 (Sekine Daichi)
キャラクターデザイン: 竹内さくら (Takeuchi Sakura)
背景アート: 野田健太郎 (Noda Kentaro)
UI/UXデザイン: 山口花音 (Yamaguchi Kanon)

技術・配信

技術統括: 松井秀樹 (Matsui Hideki)
システムエンジニア: 佐々木純子 (Sasaki Junko)
配信技術: 伊藤翔 (Ito Sho)
品質管理: 小林真由美 (Kobayashi Mayumi)
データ分析: 鈴木拓実 (Suzuki Takumi)

マーケティング・宣伝

マーケティングディレクター: 田中康夫 (Tanaka Yasuo)
SNS運営: 大橋あゆみ (Ohashi Ayumi)
広報担当: 加藤雄大 (Kato Yudai)

サポートスタッフ

総務・経理: 長野美智子 (Nagano Michiko)
制作サポート: 福山咲良 (Fukuyama Sakura)
インターン: 山下蓮 (Yamashita Ren)

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