揺らぐ福岡の自公立「指定席」 狙う国民民主も足元に不安 参院選 #news #breakingnews
長らく「無風」が続いた選挙区で異変が起きている。参院選福岡選挙区(改選数3)では、自民党、公明党、立憲民主党系の3勢力が「指定席」を分け合ってきたが、ここへきて3番目の椅子を巡る争いが激化。背景にあるのは国民民主党の躍進だ。ただ、その国民民主も含め、各党はうつろいやすい風の行方を読めずに四苦八苦する。公示日として有力視される7月3日まで、3日で1カ月となった。
◇国民、勢いは持続するか
「国民民主党の願いはたった一つ。国民がやってほしい政策を実現したいんです」。1日午後、北九州市のJR小倉駅前で国民民主の榛葉賀津也幹事長の声が響いた。約300人の聴衆には親子連れや若者の姿が目立ち、手取りの増加やガソリン税の暫定税率廃止を訴えると拍手が湧いた。
榛葉氏の横に立っていたのは、新人で元ソニー社員の川元健一氏(45)。福岡県内の党所属議員は11人と足腰は弱く、知名度不足を補うため、玉木雄一郎代表ら党幹部が次々応援に来ててこ入れする。
毎日新聞の5月の世論調査では、国民民主の政党支持率は13%で、16%の自民に次ぐ2番手だ。昨秋の衆院選で議席を4倍に伸ばしその後の地方選でも勝利を重ねたが、玉木氏による備蓄米の「動物の餌」発言が波紋を呼ぶなど、勢いが持続するか見通せない。
0歳と5歳の息子2人と榛葉氏らの演説に耳を傾けた福岡市城南区の主婦(44)は「国民民主の主張は分かりやすく身近に感じる。でも最近支持離れが指摘されているので、演説で不安を拭いたかった」と吐露する。国民民主県連幹部は「支援者の中にはその時のトレンドで動く人がいるかもしれないが、我々は地道に活動するだけだ」と気を引き締める。
◇立憲、自民批判票分散を警戒
福岡選挙区では、2016年に改選数が1増して3となり、それまで自民と立憲の前身の旧民主党が競り合っていたところに、公明が24年ぶりに候補者を擁立。以来3回の参院選で、地方議員を多く抱えるなど組織力で優位に立つ自民、公明、立憲系で議席を分け合ってきた。得票数で4位以下を大きく引き離していたことから、3党の「指定席」「プラチナチケット」と呼ばれてきた。
国民民主の伸長で尻に火が付くのは、19年の前々回選で3位通過し、3選に挑む立憲の野田国義氏(67)だ。国民民主とともに連合福岡を支持母体としているため、組織票が割れるのは避けられない。加えて、19年選挙で野田氏に推薦を出した社民党が独自候補を立てるほか、共産党やれいわ新選組など野党系候補者が乱立する状況に、立憲県連幹部は「自民の批判票が分散する」と焦りを募らせる。
当選圏外転落の危機感は公明も同じだ。党は福岡を「最重点選挙区」に指定し、再選を目指す下野六太氏(61)の支援に全力を挙げる。大型連休中の4月に駆けつけた斉藤鉄夫・党代表は「今のままでは大変厳しい。どうか、どうか、皆様のお力で押し上げていただきたい」と切実に訴えた。
◇麻生氏「参議院の存在が自公守る」
公明にとっては、連立を組む自民の協力を最大限得たいところだ。5月に福岡市で開催された自民県連大会では公明党所属の国会議員が壇上に立ち、「政治を安定させるためには、自公で必ず過半数を獲得しなければならない」と強調。その場では麻生太郎・自民最高顧問も「少数与党となるなか、参議院の存在が自民、公明を守ると言っても過言ではない」と訴えた。
もっとも、その自民にも余裕はないのが実情だ。石破茂内閣の支持率が低迷し逆風続きのなか、24年1月から自民参院幹事長を務める松山政司氏(66)にとっては、自身の足場固めのためにもトップ当選は最重要課題だ。19年選挙を上回る60万票獲得を目標に掲げ、自民県連幹部は「(公明に)協力できるところは(支援者に)協力をお願いしたいと言っていかなければならないが、人の心にまで入ることはできない」と含みを持たせる。
福岡選挙区ではほかにいずれも新人で、日本維新の会の伊藤博文氏(56)▽共産の山口湧人氏(35)▽れいわの沖園理恵氏(50)▽社民の那須敬子氏(65)▽参政党の中田優子氏(35)▽日本保守党の森健太郎氏(47)――が立候補を予定している。【宗岡敬介、池田真由香、井土映美】